四百七十七、「関東大震災90周年記念シンポジウム」に参加して(拝西洋日本人が日韓関係を悪化させる)


平成25年
九月八日(日)「途中から期待外れのことが多い」
最初は良かつたのに後編が期待外れといふことが最近は非常に多い。図解雑学シリーズ「構造主義」に対してその後編はその典型だが、講談社「日本の歴史」も「21 明治人の力量」は良かつたのにその次は極めて悪い。民主党も鳩山政権は良かつたのに、菅に変つた途端シロアリ民主党と化してしまつた。
本日は先週に続きミャンマーで修行した日本人上座部仏教僧の瞑想会に行かうと思つた。しかし朝鮮人虐殺を扱ふ「関東大震災90周年記念シンポジウム」がマスコミで紹介された。そこで後者に行くことにした。
第一部は追悼式と鎮魂の舞である。舞台には線香が焚かれ、喪主の役を務める韓国からわざわざ来日した陶芸家の方が質素な服を着て白い紙を付けた縄を頭に巻き舞台の下の左側で立つ。粘土で作られた人形を我々観客が順番に白い紙で包み三本の紐で結はへ舞台に並べ喪主と挨拶する。
喪主の役を務める陶芸家の方は、紙と紐を配るときも、今回挨拶するときも極めて慎み深くアジアの美徳を感じた。
暫くして韓国の舞踊家で来日滞在されてゐる方が魂を天に送る舞をした。ここまでが第一部である。第一部を終つて、ミャンマーではなく韓国の行事に参加してよかつたと感じた。上座部仏教も大切だが、儒教と大乗仏教の国との親善も大切である。人形は持ち帰つてよいと放送されたので、私も一つ頂いて来た。韓国の陶芸家の作られた葬儀用の人形である。アジア親善を家訓とし家宝として子々孫々まで保存したいものである。

九月八日(日)その二「私立大学准教授T氏」
在日韓国朝鮮人のほとんどは日本で真面目に働く人たちである。ところが朝日新聞、小型朝日、新聞失格東京パンフレットなどは拝米拝西洋のくせに親アジアを装つて在日韓国朝鮮人を反日に仕立て上げようとする。だからこれらの偽マスコミと同類の反日日本人が絡むと話が変になる。しかし第一部が終つた時点でさういふ人はゐないから極めてよかつた。話が一転するのは第二部である。
第二部の二番目に登壇した私立大学准教授T氏は朝鮮人虐殺は東京では震災当日かその近辺に起きたが、神奈川、埼玉、千葉では数日後に起きて、これは誰かが言ひ触らしたためだと述べた。そして警察の親玉の内務省が全国に通達したと述べた。ここまでは問題ない。
次に千葉県の地図を表示し四ケ所に丸が付けてある。最初の丸は船橋で、海軍がここから全国に朝鮮人を厳密に取り締まれと電信したと述べた。次の丸は習志野で騎兵連隊がここから朝鮮人虐殺のため東京に出動したと述べた。
一方で習志野はバラツクを幾つか建てて朝鮮人を収容した。思想調査を行ひ何人かを習志野より北側に付けた丸の村に引き渡し殺害させた。

まづ、(1)事実を明らかにするのはよいことである、(2)背後の本質を考察するのはよいことである。しかしT氏は(1)も(2)も中途半端である。中途半端が一番悪い。例へば先の戦争を西洋列強の帝国主義から考察するのはよいことである。しかし日本だけを取り上げて米英仏は民主主義だが日本は違つたといふのは中途半端で間違つてゐる。T氏の主張はまさしく後者である。

九月九日(月)「私立大学准教授T氏、その二」
事実を調査するのが得意な(1)のタイプは発表の話し方で判る。T氏は明らかに異なる。だから船橋の丸印は内務省警保局長が全国に電信したものがここから無線で送信されたのに海軍が関係するかのような発言をした。或いは習志野から連隊が出動したのは朝鮮人虐殺のためだと述べたが、治安維持のためではないのか。
しかしT氏は(2)のタイプでもない。本質を考察してゐないからである。朝鮮人労働者は強制で連れて来られたのか自分の意思で来たのか、家族はゐるのか、日本人との交流はだうなのか、経済状態は周囲の日本人と比べてだうなのかを調べるべきだ。それらが明らかにならないと背後の本質を考察できない。
T氏の前に登壇した女性は強制徴用といふ言ひ方をした。しかしそれは第二次世界大戦の話であつてこのときだうなのかを明らかにすべきだ。

九月十日(火)「私立大学准教授T氏、その三」
千葉県の四つ目の丸印では朝鮮人労務者虐殺が行はれ、逃げた二名は日本語が判るので別の村にかくまはれた。かくまつた理由に周囲と比べて貧しく村の中にXX教と農民運動の人がゐた。T氏はさう述べた。まづXX教と農民運動の人数はだうだつたのか、村の決定にそれらの人たちは影響を与へたのかを調査すべきだ。
考察項目も見落としてゐる。そこの村も他の村も仏教徒、神社信徒は多数ゐた。それらはなぜ虐殺を止めなかつたのか。
調査や考察が中途半端だと、XX教がゐたから虐殺が起きなかつたのかと聴衆は勘違ひするが、だからといつて聴衆でXX教に入信する人は一人も居らず単に西洋崇拝を広めるに留まる。
私は西洋思想がいけないとは思はない。しかし西洋思想が何でも正しいと無批判に取り入れるここ二十年来の風潮は社会を混乱させる。先の消費税増税騒動はその一つだし、古くは日本が軍国主義を真似したのもその一つである。

九月十一日(水)「私立大学准教授T氏、その四」
T氏は一つの証言だけを用いると右翼に反論されるから幾つか用いるとして、三つ目の丸印の村での幾つもの証言や発掘調査などを発表した。
証言は記憶が曖昧だつたり両親や祖父母から聞いた内容が不確実だつたりするので一つでは信用出来ないのは当然である。右翼とは何の関係がない。
それより左翼、右翼といふ分け方自体が戦後のものである。頭山満と中江兆民の次の世代から分離したとよく言はれるが、実際に分離したのは戦後で戦前の左翼は極めて少数派だつた。そして戦後の分離は米ソの冷戦の結果だからソ連が崩壊した今となつてはまつたく意味がない。それでもこれまで右翼といふ言ひ方があつたからT氏が右翼といふ用語を用いたことはよいとしてなぜ右翼がT氏の主張に反対するのかT氏は考へたことがあるのか。

九月十二日(木)「二つの流れ」
このシンポジウムの主催者は川崎市教育委員会教育文化会館と或る市民団体の二つである。川崎では朝鮮人三人と日本人一人が殺害され、それぞれ一名が重症を負つた。全国の犠牲者六千名、そのうち四千名が神奈川県下の犠牲者だつたことを考へれば極めて少ない。そこには田島町助役が新田神社に朝鮮人多数を保護したり土木業の親方が住み込み朝鮮人をかくまつたといふ美談もあつた。だから川崎市議会副議長もたまたま果樹園の活動での知人が田島町助役の親戚といふことがありシンポジウムに挨拶に来られ、朝鮮人団体から助役に送られた金杯の話をされた。
もう一人、警察署長が朝鮮人をかくまつた話もあつた。第二部の一人目の発言者、この人は市民団体の代表ださうだがこの人が、警察は住民を保護するのが任務なのだから当たり前だと吐き捨てるように言つた。さうだとすると田島町助役も町内居住者を保護するのが任務だから当たり前だとならないか。さすがにそこまでは言はなかつたが冷静に考へるとさういふことになる。今回のシンポジウムの根底をひつくり返す発言である。

教育文化会館は「市民自主企画事業」といふことでほとんど企画に係はつてゐないと思ふ。だから企画書にあつた田島町助役の美談の企画に賛成したのだらう。市民団体は事務局長が司会だつたが事務局長の発言は常識の範疇である。司会だから範疇に収まつたとも考へられるが、休憩時間のときに入口近くに掲示された当時の新聞について、震災直後とその後で論調に変化があると解説してくれた。記事を読むと確かにそのとおりである。市民団体も教育文化会館に近い人と私立大学准教授T氏の影響を受けた人といふ二つの流れがあるように感じた。

九月十三日(金)「新聞の二種類の記事」
震災直後の記事では、朝鮮人に警戒するよう呼びかける記事が載る。震災から日にちが経つと朝鮮人を救つたといふ美談が載る。司会者が指摘したようにここは注目すべきだ。
朝鮮出身者の中には混乱に乗じて独立運動を画策した人が少しはゐたのかも知れない。或いは食料を強奪する人が少数ゐたかも知れない。しかしほとんどの人は無関係だつた。シンポジウムなのだからさういふことを明らかにすべきだ。私はそこを期待したのにまつたく話が出なかつた。出たのは一番目の登壇者の、美談ではない、といふ話と、二番目の登壇者T氏の、美談を載せて虐殺の事実を和らげようとした、といふ話だけだつた。
T氏は混乱の中で起きたのではなく周辺部では混乱が収まつてから起きたと述べたが、周辺部はマスコミの報道に影響されたとは考へなかつたのか。今回のシンポジウムでもう一つ抜けてゐたのはマスコミの責任である。

九月十四日(土)「不適切な副題」
今回のシンポジウムには「関東大震災から学ぶ多民族共生への道」といふ副題が付けられてゐる。しかし関東大震災の虐殺は民族対立ではない。日本に併合された以上、朝鮮出身者を虐殺する理由がないし逆に国力を損なふからだ。普通に考へればあの事件は異質な集団への恐怖である。更には自分たちより貧しい者への軽蔑の感情もある。
例へば町から少し離れた場所に日雇ひ労務街があるとする。身なりは町に比べるとはるかに貧しい。大地震が起き日雇ひ労務街の0.1%の人が町を襲つて食料を強奪した。マスコミが騒いだため関東地方各地で日雇ひ労務街の住民が来るや皆で虐殺した。朝鮮が日本に併合されて十二年。日本語も判らず身なりも日本人とは大きく異なる人たちが集団でゐた。不幸な事件であつた。しかし民族対立では絶対にない。だから日本人でも虐殺された人がゐる。

戦後はアジアアフリカの時代であつた。独立が相次ぎバンドン会議も開かれた。しかしそれにも係はらず今でも西洋文明が優勢である。そのためアジアアフリカの各国で国民の生活が不安定になつてゐる。そのようなときに本来は民族対立ではない事件を民族対立に仕立て上げ西洋を崇拝することは生活がますます不安定になる。

九月十五日(日)「韓統連」
日韓の親善は重要である。その思ひが通じたのであらう。昨日労組の大会に来賓として参加したところ隣の席に在日韓国民主統一連合の方が座られた。福島みずほさんがその方に挨拶したので、阿部知子議員の秘書かなと最初は思つた。阿部知子さんの秘書も来られたからである。
「韓統連」で検索するとホームページが見つかると発言されたので早速拝見させて頂いた。そして日韓関係が悪いのは北朝鮮を無視するためだと判つた。
短期的に日韓関係が悪いのはシロアリ民主党の前原が原因である。竹島を実力で取り返すと発言し韓国大統領の竹島訪問を招いた。そのときの不和が今でも継続してゐる。
中期的に日韓関係が悪いのは北朝鮮を無視するためである。だからといつて日本は韓国と北朝鮮を天秤に掛けて競争させようなどと考へてはいけない。韓国と北朝鮮の統一を願ひながら、日本から両国に口は出さない。戦争中の利益代表国みたいに韓国の側に立ち韓国の依頼で北朝鮮と交渉するくらいはすべきだ。

九月十六日(月)「官僚を憎んで国を憎まず」
話をシンポジウムに戻すと、T氏は国家責任を問う会の事務局長ださうだ。だつたら高級官僚は幾ら憎んでもよい。例へば震災の二日後に全国に通達を出した内務省警保局長である。しかし江戸時代と異なり現在では国には国民も含まれる。江戸時代であれば批判の対象は徳川宗家だが、現代では国民の選挙で選ばれる。高級官僚を使用した責任として国を含めるならよいが、直ちに国を批判すると国民は冷たい反応しか示さなくなる。

九月十六日(月)その二「マスコミの責任」
シンポジウムでは資料集が配られ、それによると10月1日の新聞に「投毒流言無根」の記事が載り、17日には虐殺犯(横浜自警団員)が逮捕され、川崎署でも2名が逮捕されたニユースが載り、以後28日まで同様のニユースが載つてゐる。
会場では、震災直後と後日では論調が変はつてゐるといふ話があり、三日頃の新聞に朝鮮人が事件を起こした記事が載つてゐたように記憶してゐる。複写のため字が不鮮明で後半の無根といふ部分を見逃したか、或いは資料集に載せなかつたのかも知れない。だから新聞が流言を煽つたといふ事実は確認できないが、私はマスコミに重大な責任があると思ふ。

シンポジウムのプログラムには今年1月25日の朝日新聞の記事が綴じられてゐる。都教委の副読本が「虐殺」から「命奪われた」に変更になつたといふ内容である。同じく朝日新聞6月13日の神奈川版に横浜の副読本が「虐殺」から「殺害」に変更になつたといふ記事も載つてゐる。
教材としては「虐殺」より「殺害」のほうがよい。私のホームページでは「虐殺」といふ表現を用いてゐるし、虐殺はなかつたと主張する人がゐればそれは違ふと反論する。しかし当時と今は事情が異なるから教材に「虐殺」は不適格である。南京大虐殺と事情は同じである。なかつたといふ主張には絶対に反対である。しかしその後、国民党左派の汪兆銘が南京に親日政府を樹立したのだから、今の事情で当時を考へてはいけない。
それより注目すべきはなぜ朝日新聞が此の記事を書いたかである。かつて拝米反日反アジアの船橋洋一が英語公用語を唱へた。朝日新聞は後に主筆といふ社長と並ぶ権限を持つ役職を復活させ船橋を就任させた。朝日新聞の路線は親アジアのふりをしてアジアどうしを対立させ西洋化を図るといふものである。

九月十六日(月)その三「マスコミの責任、その二」
朝日が拝西洋反日なら、国売り(自称読売)は拝米反アジアである(船橋洋一は拝米反日反アジアだから両方の悪いところを集めたといへる)。国売りに島根県主催「竹島問題を考える講座」の原田環・県立広島大名誉教授の講演が載つた。
竹島問題の背景には、近年の経済発展に加え、日本に対する古くからの文化的な優越意識「小中華思想」が根深くあると分析。「自国の愛国心は強く主張するが、日本の愛国心は『右翼的』と批判する」と述べ、「話せば理解し合えるという関係は難しい」とした。


この講演はよくない。韓国は漢字を捨てた、つまり過去を捨てたのである。「日本に対する古くからの文化的な優越意識」があるはずがない。あるのは竹島問題である。島の帰属は大した問題ではない。問題はそれに付属する海域や海底である。それらは西洋が勝手に決めたものだ。西洋の決めたルールでアジア同士が争ふといふ馬鹿げたことに、原田氏はなぜ気付かぬのか。
この集会は参加者が40名で、川崎のシンポジウムと同じ程度である。読売新聞がなぜ原田氏の記事を載せたのかを考へる必要がある。朝日は反日、国売りは親日反アジア。国売りの親日は西洋化した日本のことだから、反対の立場を装ひながら反アジア文化では同じである。そして朝日への反発と国売りに煽動された人たちが反韓反中になる。ヘイトスピーチの真犯人は朝日と国売り(自称読売)であつた。

九月十七日(火)「アジア関係の悪化は日本の西洋化が原因だ」
戦前は日本だけが西洋化を進めたため軍事力が不均衡になり、朝鮮半島、中国に膨張した。戦後も日本の西洋化が進んだため経済力が不均衡になり、まづ東南アジアで摩擦が起きその後は収まつた。
現今の中国、韓国との摩擦は、日本のアメリカ化を進めたい連中により起こされた。日本国内には進歩的なものが好きな連中がゐる。そして拝西洋になる。シロアリ民主党、朝日、小型朝日、新聞失格パンフレットなどである。そこが冷戦時代の米ソ対立で米側に付いた自民党との違ひである。自民党の場合は冷戦を考へれば賛成できる余地はある。だから自称進歩派は中国や韓国を遅れた国だと見下し、それが前原の竹島発言と野田の尖閣諸島国有化につながつた。その不和が今でも続いてゐる。
西洋化が進んだ状態を干潮、アジアを残した状態を満潮だとすると、潮位の差が摩擦の原因である。シンポジウムに話を戻すと、せつかく関東大震災の調査を行つたのに自分たちが干潮状態だから多くの国民と潮位差がある。アジアの親善を願ふなら多くの国民が納得できる運動にすべきだ。それには進歩思想、西洋優越思想を捨てることだ。

九月十九日(木)「政府高官とマスコミの責任は今からでも厳しく追及すべきだ」
朝鮮人虐殺に対する政府高官個人とマスコミの責任は今からでも厳しく追及すべきだ。朝鮮人虐殺だけではない。南京事件も先の戦争の敗戦責任も厳しく追及すべきだ。そこがうやむやだから、国が悪い或いは日本の昔からの習慣が悪いと丸山真男ばりの主張になつてしまふ。それらの主張に従ふと国民の生活を不安定にすることを皆知つてゐる。
広く国民に支持される運動にすべきだ。それには正しい調査と本質の考察が必要である。先の戦争中の朝鮮人の強制徴用については、日本人は徴兵されたが朝鮮半島には徴兵されなかつた。朝鮮半島は選挙権がなかつたが日本列島に住むと選挙権も被選挙権もあつた。民族対立といふ西洋野蛮人の作り出した概念を用いてはいけない。反日本文化拝西洋になつてもいけない。それはアジアを見下すことでもある。(完)


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