二百六十三、平成24年二つのメーデー(連合編)

平成二十四年
四月二十八日(土)「連合の特長、その一」
今年は連合メーデーには行かなかつた。花粉症で頭が重く昨夜の労組の会議はほとんど頭に入らなかった。今日は耳鼻科に行つた。だから連合についてこれまでの経験で書くことにしよう。

どんな組織にも長所と短所がある。連合には二つの特長がある。1つは結成時の自民党長期政権を終了させようとする意欲である。社会党が大躍進し「連合の会」とともに消費税廃止法案を参議院で可決させたことは快挙である。しかし自民党が給料からの組合費控除(チエツクオフ)を法律で禁止することの検討を始めた途端、連合は腰砕けになつた。

四月二十八日(土)その2「連合の特長、その二」
連合の二番目の特長は「連合歌」のメロデイーである。最初に聞いたとき「すごいなあ、カネの威力は」と思はずうなつた。連合は大企業労組が中心だからカネがあるとまづ思つた。実際に作曲家に幾ら払つたかは知らない。この曲の特長は、5音音階と西洋音階のハイブリツドである。最初の8小節は(1音例外があるが)5音音階である。次に西洋音階、5音音階、西洋音階と4小節づつ交互に現れて終る。
一昨年のメーデーで紹介した日本式のインターナシヨナルの特長は、前奏の最後が5音音階なのと同じである。聴いて心地のよい音階は後世に伝へるべきだ。「聞け万国の労働者」が心地よいのも同じ理由である。

四月二十八日(土)その3「連合の欠陥」
連合には欠陥が二つある。一番目は連合結成時の総評5項目補強見解のうち次の2つが無視されたことである。
(4)中小企業労組・未組織労働者の援助
(5)企業主義の克服と社会的責任の重視
これ以外に(1)から(3)までも無視された。つまり全部である。
(1)国民春闘路線の継承
(2)「反自民」「全野党の協力、共同闘争」
(3)選別方式は絶対にとらない
しかし(1)から(3)はまだよい。私は共産主義者以上に容共である。それは同じ人間として共産主義でもキリスト教でもイスラム教でも外国人でも誰とでも話せば判ると考へるからである。だから(2)(3)を無視するといふ反共行為であつても、旧ソ連や中国の過去の混乱を考へれば理解できなくはない。しかし(4)(5)を無視したことは許し難い。特に電機連合のように、自分たちがいい思ひをするため非正規雇用をみとめることは企業主義そのものではないか。総評から連合に行つた単産はなぜそのことを指摘しないのか。

連合の二番目の欠陥は「連合歌」の歌詞がひど過ぎる。「未来の大地」「理想遙か」「輝く命」。抽象的な単語を並べただけである。それより「燃える熱意と湧く勇気」と歌いながら、給料からの組合費控除の禁止をちらつかされただけで腰砕けになつた。
一番ひどいのは「自由が誇り」である。江戸時代や東條内閣時代に言ふなら尊い。今のように自由が溢れてゐるのに言つても意味がない。何もやらないといふことだ。そればかりではない。中庸が大切である。失業者や非正規雇用が増へたら規制を強化するし、経済成長が必要なときは規制を緩める。いつも「自由」を求めるのは新自由主義者である。

四月二十九日(日)「首相野田、厚労相小宮山が来場」
昨日は連合メーデーに行かなくてよかつた。野田、小宮山が来たからだ。野田のすべきは「国民の生活が第一」に戻り消費税増税を撤回することだ。小宮山のすべきは労働者派遣と有期雇用を禁止することだ。もちろん今の議席比率ではできない。しかしそれは菅直人の責任である。菅が突然消費税増税を言ひ出し衆議院選に敗北した。つまり小宮山のすべきは菅直人を批判することだ。
TBSテレビによると野田は次のようなことを話した。
社会保障・税一体改革は震災の前から待ったなしの課題です。与野党の壁を乗り越えて、なんとしても実現させてまいります

メーデーは労働者の集会だ。だから民主党、社民党、国民新党は呼んでも自民党は呼ばない。もちろん自民党が財界の言ひなりを止めて党内から拝米新自由主義派をなくし、本来の国民政党に立戻れば呼ぶことは可能となる。今はまだそうなつてゐない。それなのに野田は「与野党の壁を乗り越えて」と間抜けなことをいふ。労働組合もバカにされたものである。国産車愛好者の会合に外車で乗り込むようなものだ。NHKテレビによると野田は次のようにも言つた。
政権交代から2年半、民主党、連立政権に、まだまだいたらぬ点があることを率直におわび申し上げる

何ででまかせをいふのか。鳩山政権が今まで続いてこのように言ふなら判る。至らぬ点はあつても自民党政権でできなかつたことを次々に実行したからだ。管と野田は国民を裏切つた。鳩山政権とは正反対のことを始めた。「まだまだ」ではなく「ますます」である。そのことを素直にお詫び申し上げ、今までのゴリ押しを撤回するか辞職すべきだ。

四月三十日(月)「連合は再編を」
消費税増税騒ぎや非正規雇用に連合系労組はなぜ反対しないのか。消費税を上げないで済む方法がある。公務員の給料は民間の非正規雇用を含むすべての労働者に準拠することだ。そうすれば消費税は上げなくて済む。これは森本卓郎氏の意見である。
そこまでやらないと、公務員の労組はなぜ非正規雇用を禁止しなくてはいけないのか判らないらしい。総評は実質30年の寿命だつた。本当は39年だが最後の10年は死に体だつた。連合は昭和57(1982)年結成の全民労協が実質の結成である。このとき既に将来の総評、同盟の解体と官公労の合流が決まつたからだ。だから連合は今年が実質30年目である。
結成当時は自民党の長期政権が続き、共産党を排除すれば政権交代がなるのではないかといふ期待もあつた。「連合の会」も議席を取り、社会党などとともに参議院で消費税廃止法案を可決させた。しかし今では消費税の増税に反対する気概などまつたくない。そろそろ連合は再編すべきだ。
しかし当時と今では大きく異なる。日本のますますのアメリカ化と、技能職の減少と、非正規雇用の増大である。大企業のユニオンシヨツプは時代に合はないからこれを禁止するとともに、雇用権を経営側から労働側に取り戻すためクローズドシヨツプを勝ち取り、中小の組織率を向上させるべきだ。その上で再編しないと企業主義は克服できない。

五月一日(火)「自治労は全国一般を分離すべきだ」
自治労は総評時代には地区労を支へてくれたし、都道府県の労政事務所の職員は労働者のために真剣に相談に乗つてくれる人が多かつた。総評が解散し全国一般が三つに分裂した後は、連合に行つた人達を自治労は吸収したからきつと中小労働者のため尽力してゐるのだろうとこれまで信じてきた。しかし中小は何かすねているといふ発言に、連合に行つた連中の本音が現れてゐる。彼らは組織から給料をもらふから大きな組織のほうがよいだけだ。自分たちは中小労働者とは別だと思つてゐる。
やはり自治労と全国一般はいつしよになるべきではない。全労連や全労協の全国一般は自力で活動してゐる。連合もそうすべきだ。自治労は一旦は森本氏の主張する非正規雇用を含む賃金を受け入れ、次に非正規雇用を無くす運動をすべきだ。それはともかくとして、少なくとも消費税を上げて中小労働者や非正規雇用者の犠牲の上に公務員があぐらをかくことは許されない。


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