二百三十四、全国民は大学の秋入学に反対しよう(東京大学経済学部長伊藤元重氏批判)

平成二十四年
一月二一日(土)「国民の議論を経ない発表」
或る大学が突然、大学の秋入学を発表した。日本では長い間、入学や就職や転勤は四月に行はれてきた。それを一部の大学が突然発表するのは身勝手である。国民のことを考へてゐない。かういふ大学には税金の投入を停止すべきだ。

一月二十二日(日)「だまされてはゐけない」
一つの大学が秋入学を発表する。それだけなら取るに足らない問題である。だから発表しても世間の反応は冷ややかだつた。ところが数日後に新聞社が各大学に問ひ合わせたと称して、十幾つの大学が検討だとか、私立ではいくつが検討だとかのニユースを各紙が一斉に載せた。
英語公用語、女系天皇、小沢氏追落し、消費税のときと同じ手口である。マスコミが偏向した記事を一斉に流す。国民はだまされてはいけない。

一月二十三日(月)「もう一つだまされてはいけない」
今回の問題は、国民の目をそつちに向けさせて消費税を通そうとするものだ。マスコミのタイミングが良すぎる。秋入学で盛り上がらないときは、英語で授業を行ふだとか高校はどうするかだとかを追加してくるだらう。
女性宮家問題と同じで無視するのがよい。あるいはTPP問題でTPP反対派と共闘したやうに秋入学反対派と共闘する方法もある。

一月二十四日(火)「日本の大学は日本語で授業を行へ」
日本語の堪能な外国人は多い。しかし日本は彼らをあまり有効に活用してゐない。それが日本への留学生の増加に繋がらない。日本語の堪能な人材を増やすことこそ日本の国益である。
昨年或る外国人研究者の講演を聴いた。日本語で講演し内容も日本人に遜色がなかつた。これが普通である。英語しか話さない人間は優遇してはいけない。
言語の研修期間を考へれば、秋入学にする必要はまつたくない。

一月二十五日(水)「やはり裏でつるんでゐた」
やはり予想どおりだつた。国家戦略担当大臣古川が24日の記者会見で「卒業生を受け入れる側の態勢の整備も必要で、政府が率先して取り組みたい」と発言した。もし寝耳に水なら突然発表したことに不信感を持つ筈だ。下手な芝居である。
本日は野田が「グローバル人材の育成の観点からすると大変、評価できる動きではないか」と語つた。これで八百長試合が明らかになつた。私はこれまで海外業務をずいぶん担当したからこの分野はうるさい存在である。まづ入学を秋にしてもまつたく意味がない。前に在米日本人の英語専門家とも話して同意見だつたが、国際人材は大学では育たない。社会に出てから育つ。唯一効果があるのは日本語を話さない欧米の学生や教授が我が者顔で学内を跋扈するやうになる。さうなれば日本はかつてのインドみたいに植民地並みになり英語を話して宗主国側の仲間入りをしたい人間が出ることだらう。

しかし騙されてはいけない。今回の企みの目的は国民の目をそらして消費税を増税することだ。間抜けな大臣が何か云つても無視しよう。

一月二十六日(木)「大学をリストラすべきだ」
消費税増税は絶対に阻止すべきだ。そのため官庁のリストラを民間中小なみに実施すべきだ。まづ秋入学を言ひ出した東京大学を見よう。学部によつて社会の役に立つところと立たないところがある。マスコミ関係部門はまつたく社会の役に立つてゐない(「一四九、東京大学教授林香里氏の愚論を批判」へ)。かういふところをリストラし経費を節減すべきだ。
民間では、大手でも経費節減のため研究開発部門を閉鎖しただとか、債務削減のためドル箱の事業部門を売却したといふ話が、これまでにもたくさんあつた。大学も見習ふべきだ。

一月二十七日(金)「東京大学経済学部長伊藤元重氏批判、その一」
日経BPネツトに東京大学経済学部長伊藤元重氏の「野田政権は消費税増税を断行してほしい」が載つた。「日本の政府の税収は40兆円程度である。それに対して政府の財政は90兆円を超える規模である」で始まる。民間ではかういふ場合は製品の値上げはしない。まづ経費の節減を行ふ。伊藤氏はそんなことも知らないのか。
東京大学の場合なら、経済学部は西洋学説の猿真似ばかりで日本の役に立たない。廃止すべきだ。本来は昭和五十年代に貿易黒字を解消し、昭和六十年代にプラザ合意を避け、バブルを起こさず、その後の不景気を一瞬のうちに解決する。経済学部なのだからこれくらいやるべきだ。それができないのは西洋の猿真似ばかりを繰り返すからだ。
もし経済学部で役に立つ部門があれば、そこだけ法学部か文学部に移すべきだ。

一月二十八日(土)「東京大学経済学部長伊藤元重氏批判、その二」
国債市場は現在安定してゐる。これに対して伊藤氏は
私も含めて多くの経済学者は、ずいぶん前から財政問題が深刻化すれば国債価格の暴落(つまり国債金利の高騰)が起き、日本の金融市場は大変なことになりかねないと指摘してきた。現実には、この10年ほど、日本の国債利回りは上がるどころか、むしろさらに低くなっている。「オオカミは来なかったではないか。経済学者はまず自分たちの間違いを認め、その上で財政問題について発言すべきである」と、ある金融機関のエコノミストが発言しているのを聞いたことがある。

伊藤氏はこれに対して、欧州で起きている財政破綻などから
日本で起きないという理由はないのだ

と結論を出す。そして次のように述べる。
・なぜこんなに財政状況が悪いのに、日本国民の中には消費税増税に反対の人がこれほど多いのだろうか。
・財政制度は複雑だ。普通の国民には分かりにくい形で巨額のお金が動いている。だから、冷静に考えればおかしいと思われるような「不思議な経済政策論」が横行する。こうした不思議な経済政策論をブードゥー(呪術)経済学という。

複雑な財政制度を判りやすく説明するのは政府や経済学者の義務だ。複雑をいいことに財務省が好き勝手なことをしてきたのではないのか。それにしても国民をブードゥー(呪術)経済学と見下すことは許し難い。

消費税増税に反対する理由は、一番めにその逆進性である。二番目に中曽根が大型間接税はやりませんと言つて選挙に勝つたのに、消費税(当時は売上税)を導入しようとして結局は退陣し、次の内閣で導入された。だから消費税自体が欺瞞だが、これ以上税率を上げると大型間接税そのものになる。もし上げるなら一旦廃止して中曽根内閣の状態に戻してから大型間接税が必要かだうかを議論すべきだ。三番目に消費税が導入されてから日本経済は駄目になつた。駄目になつた理由は他にも総評の解体、プラザ合意がある。しかし消費税の持つその非道徳性が日本経済を駄目にしたのではないのか。

一月二十九日(日)「東京大学経済学部長伊藤元重氏批判、その三」
「週刊東洋経済」2011年2月号に10人のエコノミストに聞くといふ記事があつた。最初の四人がアメリカ留学組で伊藤氏はそのうちの三番目。その後の四人が非留学組で、その後にアメリカ留学組と非留学組が一人づつ続く。この並べ方と人数に意図的なものを感じる。10人執筆すれば最初を重点的に読む。といつて全員がアメリカ留学組ではまづい。そこでこの人選になつた。しかし10人中の五人がアメリカ留学組でも異常だ。日本の経済学はアメリカの植民地になつてしまつた。
植民地が悪い理由は日本経済に貢献しないことだ。伊藤氏は次のやうに述べる。
企業の海外進出の波は止まらないだろう。人材レベルでも気の利いた企業は日本人を採用しなくなっている。英語ができる中国や韓国、アジアの人材を採用したほうがいいという。

ここで伊藤氏は重大なごまかしをした。日本の企業は中国や韓国、アジアの人材は日本語のできる人を採用する。日本語のできない外国人を採用することは稀である。それより海外進出が止まらないのはプラザ合意が原因だ。日本の経済学者どもはあのとき何の役にも立たなかつた。
潜在成長率を引き上げるには、という質問に対しては
女性の労働参加率が日本はまだ低い。(中略)米国の女性がやっているように、外国人のメードさんを雇えないとか、そういう政策の失敗を改めて、女性が働く機会を提供できれば、成長率が上がる可能性が出てくる。(中略)フィリピンやインドネシアの労働者を入れたくないというのは、業界のエゴだ

と回答した。これで伊藤氏がアメリカ猿真似だと判る。アメリカの女性がメードさんを雇うから日本でもさうしろと云ふのだ。女性の労働参加率が低いのは女性の再雇用先が少ないからだ。女性だけではない。男性も再雇用先が少ない。その理由は日本の労働組合が企業別のため、非正規雇用や失業者を無視するからだ。伊藤氏はそんなことも判らないのか。フィリピンやインドネシアの労働者を入れたらますます再雇用先がなくなる。業界のエゴでも何でもない。

一月三十日(月)「東京大学経済学部長伊藤元重氏批判、その四」
総合研究開発機構といふ公益財団法人がある。昭和49年に総合研究開発機構法に基づいて設立された。5年前にこの法律は廃止され、財団法人になつた。そこの理事長が伊藤氏である。同機構が発行する「NIRA対談シリーズ」といふ小冊子に伊藤氏と森信茂樹氏の対談が載つてゐる。森信氏は財務省主税局総務課長、東京税関長のかたわらプリンストン大学講師、コロンビアロースクール客員研究員を務めた。経歴からするとアメリカ経済学植民地主義の嫌な予感がする。
(伊藤)海外と比べると日本では、一番ボリュームが大きい中間所得層の所得税負担が非常に低いですね。
(森信)低いです。限界税率で説明すると、日本の場合、国税でいえば、納税者の80%が5%と10%です。ところがアメリカやイギリスでは10%以下というのはほとんどいない。すぐに15%、20%になっていく。日本の税負担は年収700万円前後のところで薄い・低いということになる。
かういふ非道徳な税制を更に悪化させるのが、ペテン師連合の野田と森である。

一月三十一日(火)「東京大学経済学部長伊藤元重氏批判、その五」
ところが森信氏はすぐ違ふことを言ひ始める。
(森信)ただこれは非常に難しい問題です。そこの税負担増に手を着けるぐらいなら、消費税で負担増をはかるべきだという意見が一方であるわけです。
どこが難しいのかを明らかにせず、もう一方の意見しか選択肢がないふりをするのが、与党側では菅、野田と二代続けてのペテン師コンビ、野党側では森である。森信氏は続いて
(森信)いずれにしても、歳出と歳入のギャップを消費税だけで負担する形にすると、消費税は果てしなく上がってしまいます。
その対策として
(森信)例えば年金です。実際には、数百万円という本当に高い企業年金をもらっている方も結構いますが、「公的年金等控除」によって税金が軽減されているわけです。給与も年金も所得という意味では同じですが、年金は給与よりも少ない税負担、甘くなっているうえに控除の上限がない。

二月一日(水)「民主党新自由主義派と大手マスコミと高給官僚と財団法人理事長兼任者のごり押しを許すな」
森信氏は「年収700万円前後のところで薄い・低い」と云ひながら「そこの税負担増に手を着けるぐらいなら、消費税で負担増をはかるべきだという意見が一方であるわけです」と誤魔化した。その一方で企業年金には言及した。これは森信氏が企業年金と無縁なためであらう。
民主党新自由主義派と大手マスコミと高給官僚と大学教授(特に財団法人理事長と兼任者)が、自分たちにとつて有利なのは消費税増税だと騒ぎ立てた。これが今回の消費税騒ぎの真相である。売つたのは自分たちの魂だけではない。国民を売つた。


二月二日(木)「子供手当、終末医療」
対談では、民主党が配偶者控除を廃止して子ども手当にすることを考えたが手が着いてゐないことも話されてゐる。配偶者控除の廃止は私は賛成である。我が家は控除範囲内のパートだから配偶者控除の廃止は本当は不利である。子どもも子ども手当てがもうもらへない年齢である。それでも廃止に賛成である。それは少子化対策として子ども手当ては十分に支給すべきだからだ。「中の上」の人達も自分たちだけではなく世の中全体を考へるべきだ。
対談では週末医療についても語られてゐる。
(森信)(終末医療に)一番お金をかけているのは日本です。スウェーデンは基本的に在宅医療です。
(伊藤)胃廔(胃に穴を開けて食べ物を入れること)はほとんどしない。医者の勧めは人間の寿命を必要以上に短くしたり長くしたりしないことだといいます。
これは同感である。無理に心臓と肺だけが動く状態を長く保つてはいけない。莫大な費用がかかるのだから尚更である。
せつかくこのやうによい意見を述べながら、対談の後半では消費税賛美を繰り返すことになる。
森信氏は財務省の官僚のかたわらなぜ、プリンストン大学講師やコロンビアロースクール客員研究員を兼任したのか。経済学部の教授連中と言ひ財務省と言ひ、アメリカの息のかかつた連中ばかりである。経済学者と財務省こそ、日本がここ三十年迷走を続けた元凶である。

二月三日(金)「拝米主義者は大学と財務省に不要だ」
財務省勤務のかたわらアメリカの大学講師や研究員を兼任することは許されない。日本経済に役立たない人間が経済学部に居座ることも許されない。どちらも税金の無駄遣ひである。
雑誌「Voice」の昨年の8月号に、伊藤氏と長谷川閑史氏(経済同友会代表幹事。経団連アメリカ委員会委員長、日本製薬工業協会会長などを歴任)の対談が載つてゐる。
(長谷川)企業はもう出ていけばよいのです。
(伊藤)世界でもっともグローバル化しているアメリカに住む、アメリカ生まれのアメリカ人の多くは英語しか話せず、海外に行ったこともあまりない。それでもアメリカ企業がグローバルで活躍できるのは、世界中から優秀な人材を集めているからです。
長谷川氏の発言は非常識だ。円高は31年間の貿易黒字が原因である。円高で海外の企業に競争力が付き輸入が増へる。そうしたら次に日本企業が工夫をする番である。ところが海外に進出してカネだけ吸い上げると円高が収まらない。まづ企業は大規模で海外に出て行つてはいけないといふ国際ルールを創るべきだ。珍しい製品など独自性を持つものに限るべきだ。長谷川氏は自分の会社の収支しか考へない。実に了見が狭い。
伊藤氏は、アメリカ企業がグローバルなのは世界中から優秀な人材を集めるからだといふが、それは違ふ。戦後しばらくまではイギリス帝国主義、その後はアメリカ帝国主義で英語を世界に押し付けたからだ。世界から集めた人間はあまりアメリカの国際収支に貢献しない。そもそも地球温暖化で移民を受け入れることは禁止すべきだ。
今はメールで世界中と仕事の話ができる。メールなら高校生程度の英語で十分通用する。そんなことも知らずに英語、英語と叫ぶ連中には困つたものだが、日本経済に役立たない経済学者にはもつと困つたものである。英語をやりすぎると頭が悪くなる典型である。
円高を防ぐには、昭和55年に長時間残業と下請けを禁止すべきだつた。これで十分だが更に必要なら米軍に出て行つてもらひ独立すべきだつた。企業内労組は法律で禁止すべきだつた。

二月四日(土)「下請け禁止がなぜ貿易黒字解消に役立つか」
昭和55年当時はまだ人手不足の時代である。だから中小より大手のほうが給料が安いくらいだつた。だから下請け禁止は貿易黒字の削減に役立たないといふ反論もあらう。しかし大手は将来、悪くても課長、よければ社長まで昇進の可能性がある。富士通なんか高卒で頭の悪いやつでも部長くらいにはなつてゐた。高卒は頭が悪いといふのではない。その人は事実、頭が悪かつた。
昇進する可能性とその収入を全員で平均すればその金額は中小とは比べ物にならない。目の前ににんじんがぶら下がればサービス残業でももーれつサラリーマンでもやる。そこが貿易黒字の原因である。西洋人はサービス残業など理解できない、日本人は変だと言つたが十分理解できるではないか。アメリカ猿真似ニセ学者もここまで理解できないであらう。だから日本経済の役にたたない。
その後、プラザ合意を経て人手不足は人余りの時代に突入した。大手と中小は金額の上でも差が厖大になつた。その上、非正規雇用といふ化け物まで現れた。今こそ下請けを禁止すべきだ。国際収支を赤字にしてメタボ状態を解消すべきだ。

二月六日(月)「貿易黒字」
昭和56年は日本にとり先の戦争の開戦に匹敵する大混乱の幕開けとなつた。この年から一昨年まで大幅な貿易黒字となつた。先の戦争は日華事変から数へて敗戦まで8年だが、貿易黒字は30年続いた。
これにより国内がおかしくなつた。まづ消費税が中曽根の嘘に始まり紆余曲折の末に導入された。官僚も変になり学者も変になつた。
今こそ30年前に戻さう。まづ官僚と学者の海外留学を特別の目的のない限り禁止すべきだ。アメリカの大学などとの兼務も禁止すべきだ。日本の役に立たない学者は放逐すべきだ。社会で自分の学説が成り立つかやつてみるとよい。
31年ぶりに貿易赤字とはなつたものの、その間に溜め込んだ厖大な海外資産と、日系企業の海外進出があり、貿易は赤字でも国際収支はまだ黒字である。今後、国際収支も黒字になつたり赤字になつたりを繰り返す状態にすべきだ。さうすれば国民の連帯も生まれる。英語、英語と九官鳥みたいに叫ぶ連中も淘汰される。(完)


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東京大学教授林香里氏の愚論を批判その二
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