八百二十八 心の時代「“ブッダ最後の旅”に学ぶ」(その一、その二)

平成二十八年丙申
四月十七日(日) 第一回(その一)
本日から日曜朝五時の「心の時代」で「“ブッダ最後の旅”に学ぶ」が始まつた。講師の名前を見て驚いた。半月前に批判したばかりの「丸井 浩(東京大学大学院教授)」とある。内容が悪くはなかつたので更に驚いた。なぜ浅草寺文化講演はあんなに悪かつたのか。その理由も探索しながら番組を紹介したい。
テレビを観たときの感想では、内容が悪くはなかつたのでさう書いたが、詳細に検討するとやはり問題点はある。これらはNHKの責任だ。対談者が回答を聞きだしたのだから。対談者が回答を聞きだしたから浅草寺のときみたいに悪くはならなかつたとも云へる。
今回は大パリニッパーナ経だ。仏教には北伝の大乗仏教と南伝の上座部仏教があり、北伝の漢訳経にもあるが、あまり注目されなかつた。この解説は良い部分だ。パーリ語をサンスクリット語の派生とするのは悪い部分だ。サンスクリット語は文語だがパーリ語は口語ではないのか。或いはパーリ語は半マダガ語ではないのか。これらは中村元氏やその後の研究などだが、その後更に新しい研究が報告されたのかも知れない。さうではないのに派生と説明したのなら適切ではない。
古教照心、心照古教といふ語を引用して、今の世のイノベーションで古い物を捨てると発言された。私も賛成だが、これだけだと説得力に乏しい。多くの人は軽く聞き流すだらう。縦穴式住居に住む人がゐないのと同じ理由だ。古い物が大切なのではなく、古いものが続くことが大切であり、その理由が大切だ。やはり丸井氏は分析の突つこみが足りないのかも知れない。

四月十七日(日)そのニ
私のメモ書きによると

バラモン教は宗教儀礼で天に生まれることを目的としたが、途中で変化した。
バラモンの輪廻、解脱が仏教にも入つた。
伝統的なバラモン「生まれ」が大切、ブッダは「行い」が大切。
当時は二種の国があり、王権の国、共和制の国。マガダ国の大臣が隣国の攻撃を相談に来た話は、仏教教団存続の方法の話の枕。
文字に書かれる前は口伝。同じ話が繰り返され、読むのは大変だが、同じ話で覚へて、時代性もあつてのんびりした時代。
苦 思ひ通りにならない現実、中村元氏の名解釈。
戒律が第一段階、禅定が第二段階、慧が第三段階。

以上の話のうち、最後の話をテレビで聞いたときは良い解釈だと思つた。なぜ私は今まで気付かなかつたのかと思つた。しかしホームページに書く段になつて思ひ返すと、智慧は最終段階ではない。また智慧は最後に登場するにしても智慧があるからその先があるのではない。三つが揃つてその先がある。三段界説は間違ひとは云はないが正確ではない。
放送はまだ続き

功徳 バラモンでは宗教儀礼を行ふことが功徳、ブッダは良いことをすれば功徳。
ジャイナ教では二十四人の祖師 渡し場を作る人。ブッダは渡される人ではなく、多数の弟子を渡す立場だから川を飛んで渡つたといふ伝説を生んだ。

ジャイナ教の二十四人の話は何のことか判らなかつた。テレビを観終つた後で調べて判つた。といふことで、元々判つてゐる部分は疑問のある解釈だし、判らない部分は判らないといふ結果に終つた。

五月十七日(火) 二回目
二回目は群馬県のジャパンスネークセンターに行く準備をしながら慌ただしい中でテレビを見た。まづ次のお話しがあつた。
輪廻
ウパニシャッド
水の循環
生まれ変はることは永遠に生きてよいではと思つてしまふが、思ひ通りにならない
業の思想
心を整える-----他の思想家との違ひ
仏陀が最後の旅で幾つか説法をする。まづ
法の鏡(在家信者向け)
1.仏陀に対する清らかな信仰
2.法に対する清らかな信仰
3.教団に対する清らかな信仰
4.戒律を守る
ここで丸井氏の優れたところは、法の鏡は在家信者向けに説いたと説明された。我々ともすると釈尊の直に説かれたものをすべて実施しようとするが、僧侶向けに説いたのか在家信者向けに説いたのか、そこをまづ判ってから読む必要がある。次に
無我---インドの宗教で、仏教の最大の特長
中村元氏は我に二つあると云ふ。1.我執をはなれるべき自己、2.しっかりした自己
自分を離れて修行すればしっかりした自分を作れる
島、灯明と二つの意味。中村元氏は他の経典と比べても島が自然
松原泰道 自灯明は外の光に照らされて自分が輝く----灯明と訳したことで、違ってゐてもそれが膨らむ
以上のお話しがあった。これは丸井氏ではなく完全にNHKの責任だが、釈尊のお経を読むときに、死にさうな老人の声で読むが、我々は経典として聴くのだから普通の声、或いは多少年老いた声にすべきだ。死にさうな老人が絞り出すやうな声は実に不愉快だ。不愉快と云へば4時58分ころにNHK教育テレビは電波の送信を開始するが、変な目覚まし時計みたいなものが起きろ、と蹴とばす場面から始まる。こんなくだらない映像を作ってカネが無駄だと感じないほど、NHKは堕落してしまった。(完)


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