二千六百十三(朗詠のうた)1.お屠蘇の話、2.日本酒
新春前甲辰(西洋発狂人歴2025)年
一月二日(木)
年末に、デイリー新潮のホームページに
東京と福岡の“お屠蘇”は全く別ものだった…なぜ西日本では元旦に「みりんと屠蘇散の入った日本酒」を飲むのか
が載った。福岡出身の人が
「上京して都内の大学に通い、卒業すると都内の会社に就職しました。結婚し(中略)相手は“3代続く江戸っ子”という家の長女。年末年始は交通機関が混み、(中略)福岡は2月に帰ります。そのため新婚の頃から正月は妻の実家に泊まりました。(中略)初めて妻の実家で迎える元旦に義父が『お屠蘇を飲もう』と言って普通の日本酒を銚子に入れた時には驚きました。私が福岡県の実家で飲んでいたお屠蘇は日本酒にみりんを入れ、印象的な香りのする粉末が入った『屠蘇散(とそさん)』を漬けたものだったからです」
この記事に驚いたのは、我が家も福岡の飲み方と同じだ。
中国の屠蘇散が日本に伝わったのは平安時代。(中略)それが次第に一般庶民にも広がり、江戸時代になると屠蘇散を入れたお屠蘇を飲む人は相当な数に達した。
ただし、伝来の地が京都ということもあり、(中略)西日本では「日本酒にみりんと屠蘇散を入れたもの」をお屠蘇と呼び、特に関東より北の地域では「正月に飲む普通の日本酒」をお屠蘇と呼んだ。
さらに熊本県では赤酒、鹿児島県では黒酒に屠蘇散を入れる。どちらも主に地元で醸造される伝統的な酒で、みりんに似た味が特徴だ。
ところが
京都府民は今も元旦に屠蘇散の入った伝統的なお屠蘇を飲んでいるのかと思いきや、徐々にではあるが伝統が失われつつあるという。
「そもそも日本酒を飲まないという人が相当な数に達しています。若い人だと京都在住でもお屠蘇を知らないという人も多いです。(中略)日本酒に屠蘇散とみりんを入れ、元旦に飲むだけで日本の伝統を味わうことができます。こんなに気軽で楽しい伝統文化はそうはありません。ぜひ、ご自宅で作って飲んでみてください」
わが家は、みりんに屠蘇散を一晩漬けて、日本酒で薄めて飲んできた。ところが今年は屠蘇散に作り方が書いてあるため、日本酒180mlに屠蘇散を一晩漬けて、翌朝みりんを30乃至50ml追加した。これだと甘みが足りない。
昨日はこの方法だったが、今朝はみりんを100mlくらい入れた。それはみりんの消費期限が25年1月5日までで、まだ1/5くらい残る。
みりんにてお屠蘇を作りやまと酒薄めることを五十と七年
一月二日(木)その二
年末に買った日本酒は、武州北足立郡指扇村(現、さいたま市西区指扇)の小山本家酒造「界」だった。「旨くて飲みやすい 17度」と副題が付く。一回目に飲んだときは、吟醸酒の味がした。これは旨い、と感激した。
ところが二回目からは、吟醸酒の味が皆無だ。原材料名に、糖類と酸味料を含むことも難点だ。そのため、次は神戸市東灘区の菊正宗酒造「菊正宗 ピン」にした。
小山本家酒造は、都区内唯一の酒蔵(当時)だった小山酒造の遠縁だ。小山酒造は、おそらく借金を返せなくなったのだらう。小山本家酒造は土地と酒造所の買ひ取りはせず、一部設備と商標に留めた。そのためマンション建設で高い利益を狙ふ不動産業に売却されたのだと思ふ。以上は、推測である。
一月六日(月)
「菊正宗 ピン」は、冷だと美味しいが、ぬる燗にすると雑種の味がする。或いは燗にすると、日本酒はどれもかう云ふ味になるのか。やはりいろいろな酒を飲んでみたい。
やまと酒 甘(あま)水酸(すい)水入らずに 大き工(たくみ)場使はずに 作る酒こそ飲み続けたし
反歌
やまと酒清き酒とも呼ばれるは色清きほか心も清し(終)
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