千九百四(うた)(モリカケ柳河桜藪黒トリー敗カルト債、二百三十八) 安倍、葛西、野田
壬寅(西洋野蛮歴2022)年
十二月十八日(日)
一週間前の十一日に「官邸が安倍とハサミは使ひやうお友だちやらカルトのほかに」を作ったが、やはり正しかった。現代ビジネスのホームページに
「安倍政権最大の後見人」JR東海・葛西敬之が安倍晋三よりも昵懇だった“意外な政治家の名前”

が載った。『国商 最後のフィクサー葛西敬之』を出版した森功さんの執筆で
葛西は(中略)安倍晋三政権における最大の後見人と目されてきた。(中略)最も篤(あつ)く結ばれてきた国会議員は、自民党と民主党を渡り歩いた与謝野馨(かおる)だ。与謝野との縁で安倍と知り合い、互いの親米、保守タカ派の思想が共鳴し合い、安倍を首相にしようと支援するようになった。

旧民主党を潰した野田が、最後に頼ったのは与謝野だ。安倍を追悼する三文芝居に野田が出て来た理由が、これで分かる。
国民の期待で与党旧民主潰したのだが三文芝居

「のだ」は掛詞。記事は後半で
第二次安倍政権の発足にあたり、安倍の側近として旧知の官邸官僚を送り込んだ。その一人が警察庁出身の杉田和博であり、経産省出身の今井尚哉(たかや)だった。警察庁でもっぱら警備・公安畑を歩んできた杉田は、国鉄改革時代から極左の労働組合運動と対峙してきた葛西にとって頼りになる友人といえた。
また、今井は(中略)葛西が信を置く経産官僚の一人でもあり、交友を重ねてきた。ときに葛西は安倍から内閣の主要閣僚や官僚人事の相談を受け、アドバイスしてきたといわれる。


十二月十九日(月)
週刊ダイヤモンドのホームページに
JR東海の故・葛西名誉会長「政財界人脈」全解剖、NHKとJAXAのトップ人事まで横槍

が載った。
葛西氏がJR東海の会長を務めた14~18年は、じっこんの間柄にある安倍晋三氏が首相として権勢を振るった時期と重なる。葛西氏にとっても、政界における工作が思い通りの成果を上げる黄金期だった。(中略)リニアへの3兆円の財政投融資の投入や、対米リニア輸出への5000億円の融資などを実現した葛西氏の「政財界人脈」を徹底解明する。

ここから先は有料会員ではないと閲覧できないが、葛西と安倍の関係を知ることができた。国鉄末期に、貨物の大幅縮小をしたため、人員が大量に余った。国鉄で評判が悪かったのは動労で、怒った乗客による上尾暴動事件が起きたことさへあった。
それなのに葛西ら国鉄三課長と呼ばれた連中は、その動労と組んでJR各社への再雇用で差別をした。ここで、国鉄三課長が国労の穏健派と組んだのなら許容範囲だ。しかし動労と組んだのでは、まるでソ連と同盟を結んだナチスだ。尤もナチスがその後ソ連と戦争を始めたため、三国同盟の日本は大混乱になった。
国鉄が動労と協定を結んだときは、穏健派マスコミでさへ疑問を呈したものだった。これと同じことが、安倍派でもあった。稲田と下村がLGBT法案で野党と共闘を始めた。さすがに自民党各派から疑問が出て、この企みは不発に終はった。あれはLGBT法案で自民党内が混乱する隙に、安倍が返り咲きを図ったものだらう。

十二月二十日(火)
同じく週刊ダイヤモンドのホームページに
JR東海「皇帝・葛西」の訃報でJR3社が雪解けか、JR各社の力学変化を読み解く

が載る。
「JRの場合、社内で『全体最適を目指す』といったとき、全体とは『JR7社』を意味します。でもJR東海の(故)葛西敬之名誉会長だけは違う。彼の全体最適の単位は『国家』なのです。だから話がかみ合わない」
これはJRグループ幹部による葛西氏の人物評だ。

安倍もさうだが、彼らの云ふ『国家』とはアメリカ追従のことだ。そこには国民が無い。社会が混乱しようが、国内の人間関係が破壊されようが構はない。
実際に、JRグループの共通企画などに葛西氏が異を唱えたことは一度や二度ではなかった。
例えば、「フルムーン夫婦グリーンパス」や訪日外国人旅行者向けの「JAPAN RAIL PASS」といった乗り放題チケットは、JR東海の東海道新幹線「のぞみ」が対象外になっている。

フルムーン夫婦グリーンパスは、今年十月以降の発売がなく、四十年の歴史に幕を閉じた。ジパング倶楽部も「のぞみ」が対象外だ(豊橋、浜松、静岡旅行記)。「ひかり」に混ざり「のぞみ」がたまにあるならそれでもよい。ほとんどの列車が「のぞみ」で「ひかり」がたまにあるだけだから、実に不便だ。これも葛西が原因か。

十二月二十一日(水)
現代ビジネスのホームページに
元運輸事務次官が暴露! JR東海の天皇・葛西敬之が「中国に日本の新幹線技術を盗まれた」と激怒して川崎重工を「出禁」にしていた

が載った。森功さんの最新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』からの引用である。
安倍政権は、実はたった一人のフィクサーに操られていた――そのことを詳細に書いた森功氏の最新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』が話題だ同書には様々な暴露・スクープがあるが、その中でもトップクラスと言えるのが、元運輸省事務次官の黒野匡彦氏が明かすこの話だろう。なんと葛西氏は、あまりにも中国が嫌いすぎて、中国と取引をした川崎重工を「出禁」にしていたというのだ。

日本には、長い歴史を尊重して中国との友好を願ふ人と、拝米属領を維持したくて反中の人がゐる。JR東海は公共交通なのだから、一方に偏ってはいけない。前者の人たちが東海道新幹線に乗らない事はできないからだ。
安倍与謝野野田を繋げる黒(くろ)妙(たへ)の不治の低値に火災起きつつ


十二月二十二日(木)
同じく現代ビジネスのホームページに
「中国嫌いな保守」で安倍晋三と共鳴した‟JR東海の天皇”・葛西敬之が死の際で‟1カ月半後に凶弾に倒れる”安倍に託した「最期のひと言」

が載った。森功さんの書下ろしである。
葛西は靖国神社の「崇敬者総代」や「日本会議」の中央執行委員を務め、反共産主義の保守・右翼思想でも知られた。中国嫌いを隠さない。そんな保守思想で響き合い、最も信頼してきた政界における盟友が、元首相の安倍にほかならない。

そして
葛西の葬儀は(中略)安倍をはじめ、政官界でもごく親しかった友人、知人だけが焼香し、JR東海関係の参列も、社長や副社長経験者などに限られた。(中略)弔辞も、生前の葛西自身が安倍に頼んだものかもしれない。実は前国家安全保障局(NSS)長の北村滋が安倍の弔辞を書いている。北村もまた、葛西が信頼してきた警察官僚である。が、弔辞まで引き受けた裏には別の理由もある。

それは
葛西は今年3月4日、自ら主宰してきた勉強会「育成会」に参加した。安倍を首相にしようと葛西が財界に呼びかけてつくった懇親会「四季の会」はすっかり有名になったが、育成会はそれよりずっと古く、(中略)今年3月まで24年間続き、(中略)最後にあたる95回目の講師が(中略)北村なのである。

記事は最後に
安倍と葛西はあたかもコインの表と裏のように互いを補い、支え合ってきた。自民党最大派閥を率いた安倍は政界きっての実力者として表舞台に立ち、世間から注目された。だが、葛西という後ろ盾がなければ、憲政史上最長の政権を築くことはできなかったに違いない。葛西は安倍・菅政権における最大の黒幕と呼んでいい。
JR東海の葛西は国を舞台にビジネスを展開し、時の首相に国策を指南してきた。「国商」である。

記事は後半へ続く。

十二月二十三日(金)
安倍晋三が最後に読んだ「山縣有朋の歌」…安倍にとって「かたりあひて 尽しゝ人」とは誰だったのか? 菅義偉ではないと「断言」できる理由
(中略)
岸田文雄はいち早く9月27日の国葬を閣議決定した。国葬を取り仕切ったのは、かつて「総理の分身」の異名をとり、アベノミクスの陣頭指揮を執った元首相政務秘書官の今井尚哉だ。
一方、生前の葛西はこの今井をはじめ、多くの官僚たちのスポンサーとなって懇親会を開いてきた。そうして彼らを自らのブレーンに育て、安倍のいる首相官邸に送り込んだ。「官邸の守護神」と呼ばれ、官房副長官と内閣人事局長を兼務した元警察官僚の杉田和博、さらに前NSS局長の北村……。

葛西は財界人ではない。東海中部地方の在来線では赤字だから、分割民営の時に東海道新幹線を組み合はせた。これでは経営者とは云へない。ITmediaビジネスの記事を引用すると
鉄道事業の運輸収益のうち、新幹線が占める割合をJR東日本と比べてみます。(23年3月期第2四半期時点)
・JR東日本:26.3%
・JR東海:91.6%

それなのに財界人のふりをして、財界や安倍政権の官邸を混乱させた。
安倍第一次政権の「美しい国」のスローガンも葛西が授けたものだった。第二次政権では宇宙開発の政府審議会で物申し、一方で安倍・菅とともにNHKの会長人事に介入して支配下に置こうとした。そして、葛西と安倍の「ボス交渉」でリニア中央新幹線への3兆円財政投融資が決まった。


十二月二十四日(土)
賛否の割れた国葬のクライマックスが菅の弔辞だった。葬儀の最後に登場し、友人代表として「追悼の辞」を読み上げた。
かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ

こんな駄文を選ぶとは驚く。理由は「かたりあひて」「尽しゝ人」「今より後の 世をいかにせむ」が口先だけで事実とは乖離した美辞麗句だ。しかも皆がそのことに気付く。残ったのは「先立ちぬ」だけだ。添削すれば
徳川と戦ひし友先立ちぬ今より後も吾等助けよ

(12.31追記)小生は、当て字の字意を歌に使ふとともに特別な読みをさせることはしない。八一がひらがなのみで歌を書く所以もこれだが、当て字を試しに使へば
徳川と戦ひし戦友(とも)先立ちぬ今より後も吾等助けよ
  (追記終了)
それより
菅は主を亡くした衆議院第一議員会館1212号室に残っていた読みかけの岡義武著『山県有朋 明治日本の象徴』(岩波文庫)にある歌を引いて、弔辞を結んだ。山県有朋が満州で凶弾に倒れた伊藤博文の訃報に接して詠んだ歌だ。生前の安倍がその歌にマーカーペンで線を引いていたという。
(中略)あまりに出来すぎていやしないか。なにより安倍にとって「先立った友」は誰か。(中略)菅ではなく、葛西敬之、その人以外にいない。
実は葛西の関係者葬の2日後にあたる6月17日、安倍は自らフェイスブックにこう投稿していた。 〈葛西さんが最も評価する明治の元勲は山縣有朋。……〉(原文ママ)
さらに太字の〈もっと見る〉をクリックすると、こう続いていた。
〈好敵手伊藤博文の死に際して彼は次の歌を残しています。
「かたりあひて尽しゝ人は先だちぬ今より後の世をいかにせむ」
(中略)
もとはといえば、岡義武の『山県有朋』は葛西が安倍に薦めた本だった。
(中略)
「権力を手放してはいけない」
そう心に決め、明治時代を生き抜いた山県のあり様に学んだのが葛西であり、安倍がその教えを受け継いだ。そして一強と恐れられる長期政権を築いた。(敬称略)
「週刊現代」2022年12月24日号より


十二月二十五日(日)
それにしても山県の駄文を引用するとは、安倍の国語能力に驚く。あの歌が駄目な理由は昨日述べた。安倍は口先だけの言動に鈍感だ。自身が嘘答弁を繰り返したためだ。
山県は 政党による陸相に備へ権限参謀の本部拡大 文民の陸相出ずに 制度だけ残りて遂に国を亡ぼす

(反歌) 陸相は参謀本部総長の任命権を本来は持つ
(反歌) 山県は亡国東條岸も同じ安倍は感覚麻痺亡国か
(反歌) 山県を評価するとは同類だ名前に反し遂に朋無し

十二月三十日(土)
日本を敗戦に追ひやった陸軍について、山県がやったことは(1)陸軍卿として参謀本部を創設し初代参謀本部長、(2)第二次山県内閣で、政党の官僚組織進出を阻むため文官任用令改正、(3)軍部大臣現役武官制の制定。これ以外に、(4)枢密院権限の拡大、(5)台頭する労働運動に対処するため治安警察法の制定。
敗戦の遠因は山県にもあった。敗戦の近因は東條英機と岸信介だ。(終)

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