千百九(その百一) 規制緩和が本来と逆の方向に向かふ理由
平成三十戊戌
三月四日(日)
規制緩和と聞くと、多くの人は暮らしが豊かになるのだらうと期待を持つ。ところが実際は逆の方角に向かふ。そこにはお友達濡れ手に粟を狙ふとんでもない連中が出るためなので、今回はそれを解明することにした。
まづ紹介したいのは、プロパンガスの規制緩和だ。その結果、競争が激化し賃貸アパートなどの家主にエアコン、テレビカメラ付きインターホン、ウォッシュレット、台所セットなどのどれか一つを無料で付ける代はりに、プロパンガスを契約することが普通になった。
プロパン業者はこれら費用を回収するため、プロパンガスの単価を高くする。結局、プロパン業者は家主とお友達になることにより、居住者から濡れ手に粟で儲けることになった。
更に許し難い例もある。都市ガスが引いてある地域で、これら無料機器を目当てにわざわざプロパンに引き直す家主まで現れた。居住者はプロパンの単価をよく調べたほうがよい。
三月六日(火)
岡山県の両備バスと岡電バスが一か月前に、両社の路線バスの約4割を廃止すると中国運輸局に届け出た。ドル箱路線に他社が安い運賃で参入するさうだ。そんなことをされたら赤字路線は廃止するしかない。表面的には先を読まない運輸行政の失策だが、本当の理由は行政の背後から規制緩和、規制緩和と叫ぶ連中の圧力がある。
三月七日(水)
京都市営バスの運転手が体の不自由な人の着席を待たずに発車し転倒させ、しかも「また転んだ」と発言して懲戒解雇になる事件が昨年あった。今から二十年くらい前にこれと同じくらい悪質な運転手に川崎市営バスの臨海地区で遭遇したことがあった。これらほど悪質ではないが先週都バスで問題のある運転手がゐた。
確かにバスで問題のある運転手はゐる。しかし自由に参入させたら岡山県のやうな騒動になる。やるなら一定地域の運輸計画を出させて参入させるなどをするべきだ。
それより更に重要な点がある。問題のある運転手は公営交通ばかりだ。かつて赤字で廃止した路線を公営交通が引き取ることが一般に行はれたが、今は逆で横浜市営や都営のやうな公営が撤退したあとを民間バスが引き取ることが普通になった。
規制緩和は、強者、高収益業界、大規模経営者のパイを一般に開放するはずが、弱者、低収益業界、小規模経営者のパイを開放させてゐる。なぜさうなるかは、政治献金、圧力団体などが原因だ。
モリカケ疑惑はお友達が原因だ。お友達だって、首相夫人と組んだり、落選中の同じ派閥の人間を教授にしたりするから、政治献金、圧力団体の一種だ。
三月九日(金)
獣医学部特区に関して、規制緩和を叫ぶ奇妙な連中がゐる。高橋洋一と岸博幸で昨年八月に批判したことがある。当ホームページでは岸を五年前にも批判した。
特区はその状態が解消されれば廃止すべきだ。既に獣医学部特区は四国の振興、特別な獣医とは無関係が明らかなのだから、速やかに廃止すべきだ。(完)
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