千十二(その二十九) 麻生さん、岸田さん、野田さんは安倍の飼ひ犬になつてはいけない、2.高橋洋一と岸博幸の怪
平成二十九丁酉年
八月十一日(金)
上に立つ人間は人格、能力ともに優れなくてはならない。実際はさうではない場合がある。駄目な典型に(1)わがまま、(2)えこひいき、(3)下を競争させて自分は安泰を決め込む、がある。
何と驚いたことに安倍は全部に該当する。まづ批判され続け頭に来たから、獣医学部を全国展開すると云ふ発言はわがままそのものだ。江戸時代だったら殿ご乱心だから、重役一同協議の上、座敷牢に閉じ込めるか毒殺して幕府には病死と届けるしかない。
二番目のえこひいきは、お友達を大臣にしたりお友達濡れ手に粟商法を進めたことを指す。
三番目の競争はまさに今回の内閣改造だ。麻生、岸田、野田の三名に安倍への忠誠を競はせて、自分はその上に乗って安泰を決め込もうと云ふ次第だ。三人は計略に引っ掛かってはいけない。協力して安倍を引き擦り降ろすべきだ。
八月十二日(土)
ほとんどの国民が驚愕するニュースが昨日報道された。絶叫暴行事件の豊田は一昨日離党が認められたと云ふのだ。離党届はあの事件が報道されてすぐに提出された。今まで何をやってゐたのか。国民は本来であれば、時間を掛けて審議してきたからだと捉へる。しかし今回はさうは思はない。細田の高速道路逆走豊田弁護発言があるからだ。
自民党の各派閥及び無派閥議員は、細田派から実権を取り返さないと大変なことになる。細田派の良識議員は、細田を会長から追放すべきだ。
もう一つ、驚愕すべきニュースがある。豊田の新しい公設秘書に、一度も会ったことのない青森県の町議が兼任することになった。自民党各派と野党は、「元細田派」の豊田が公設秘書問題で税金を無駄使ひすることを、厳しく追及すべきだ。
八月十三日(日)
高橋洋一と岸博幸は、産経新聞と週刊ダイヤモンドで偏向した主張を繰り返してきた。産経新聞は改憲を実現したいため安倍への贔屓が過ぎた。週刊ダイヤモンドは理由が判らなかった。しかしやっとその理由が判った。リテラによると
安倍政権の加計疑惑打ち消しをはかる論客たちがじつは、揃いも揃って、その国家戦略特区を使ってビジネスを展開していたある会社にかかわっていた疑惑が浮上した。
ある会社とは、「株式会社特区ビジネスコンサルティング」(以下、特区BC社)。現在、HPは消されているが、アーカイブに残っていたものを確認すると、特区BC社の業務内容にはこう書かれている。
〈国家戦略特区をはじめ、規制改革を伴う民間企業のビジネス展開において、行政に対する提案から事業開始までのコンサルティングおよびロビイング活動を行います〉
説明を読むと、どうやら特区BC社は、国家戦略特区をはじめとする規制改革を利用しようとする地方自治体および民間企業に対し、企画提案にはじまり事業の構築、さらには広報・PR活動のサポートまで請け負うらしい。
また、会社設立は2015年1月だというが、特区BC社の「会社案内」を読むと、(中略)2015年度だけで、「新型美容能力試験の地域限定導入」「クールジャパンと外国人材」「港区旅館業務法特例」「外国人就労に関する特区提案」などの実績が並び、「国家戦略特区WGヒアリング済」と説明されている実績はじつに11にもおよぶ。
これだけでも驚きだが
しかし、問題はここからだ。じつはこの特区BC社の「顧問」に、「獣医学部新設は岩盤規制を突破しただけ」と繰り返し主張し、安倍政権を必死に擁護してきた、経済学者の高橋洋一氏が就いていたのだ。
そればかりか
しかも、高橋氏と同様に「獣医学部新設は岩盤規制を突破しただけ」と声高に叫んできた論客が、この"国家戦略特区ビジネス"を展開する特区BC社にはかかわっていた。それは元経産省官僚で慶應義塾大学教授の岸博幸氏だ。
岸氏の主張も高橋氏とほぼ同じで、「一連の手続きに違法性はない」「内閣府と文科省が交渉して文科省が負けただけ」と主張。なかでも産経ニュースのインタビューでは、前川氏のことを「官僚のクズ」と口汚く罵り、『ニュース女子』(DHCシアター)では「てめえが行政歪めてたくせに、そのこと何も言わないで、今回の問題だけ行政が歪められたって書く新聞の神経がわかんない」とメディア批判もおこなってきた。
どれだけ料金を取ってゐたかについて
この会社案内によると、同社は特区申請の手続き1案件につき「150万円~」の料金を取っていたようだが、もうひとつ、同額で〈有識者ネットワークを活用した各種シンポジウム・セミナー/各種メディア・媒体活用〉をおこなう「広報・PRサポート」のサービスも用意している。岸氏や顧問の高橋氏は、そうしたセミナーで講演を引き受けていたことが資料には記載されているのである。
だが、驚くのはまだ早い。なんとこの特区BC社には、国家戦略特区の決定プロセスにかかわる「当事者」までもが関係していた。国家戦略特区の「生みの親」であり、国家戦略特区諮問会議の民間議員である竹中平蔵氏だ。(中略)自身が取締役会長を務めるパソナグループが、国家戦略特区が認定した神奈川県の家事支援外国人受入事業の事業者に選ばれているほか、兵庫県養父市の農業改革でも、竹中氏が社外取締役を務めるオリックスの子会社・オリックス農業が参入。これは明白な利益誘導だが、特区BC社の講演会で利益を得ていたとなれば、特区を決定する民間議員としてあり得ない問題だ。
いや、特区BC社の「広報・PR活動」に一役買っていた国家戦略特区の関係者は竹中氏だけではない。会社案内には、国家戦略特区WGの委員であり、先月10日・24日に開かれた閉会中審査にも参考人として答弁をおこなった原英史氏の名前も出てくるからだ。(中略)この原氏もまた、加計学園問題では「岩盤規制」を強弁してきた。現に、参考人として国会に招致された際には、獣医学部の定員抑制を「あまたの岩盤規制のなかでも、かなり異様な規制」と断言。加計学園は石破4条件をクリアしているとし、「ワーキンググループでは、この問題を何度も議論してきた。新規参入を一切禁止する合理的な根拠を求めてきたが、十分な説明がなされなかった」「(WGでは)判断に至る議論の過程については公開しており、中立性、公平性についても担保している」と強調してきた。(中略)いまや加戸守行・前愛媛県知事とともに「なぜ原氏の答弁をテレビや新聞は取り上げない!」と"偏向報道"の拠りどころとなっている。
しかし、現実はどうだ。結局、岩盤規制だと先頭に立って主張してきた者は、こうやって民間の特区ビジネスにかかわり、国家戦略特区という仕組みを利用していたのだ。
更に驚くべきは
くわえて、この特区BC社が主催したシンポジウムや講演会などでは、「NPO法人万年野党」なるNPOが協力をおこなっているのだが、このNPOの理事には岸氏と原氏が就いている。さらに、アドバイザリーボードを務めている人物には、竹中氏や高橋氏のほか、国家戦略特区WG座長の八田達夫氏や、前川氏の出会い系バー通いについて『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で"前川氏がお金を渡した女の子に取材した""ホテルに行ったと言っている"と話したジャーナリストの須田慎一郎氏や、やはり前川氏批判をおこなっている評論家の屋山太郎氏やコンサルタントの城繁幸氏の名前が出てくる。
結論として
今回発覚したように、国家戦略特区の誕生によって、この特区BC社のような特区ビジネスという新たな事業が生まれ、そこには特区の選定プロセスにかかわった人物までもが群がっていたのだ。高橋氏をはじめ、規制改革派は口癖のように「反対するのは既得権益者」と言うが、実際のところ、自分たちが新たな利権をつくり出していただけだったのではないか。
周知のように、国家戦略特区WGのヒアリングをめぐっては、新たに加計学園幹部が同席していながら、その名前も発言も議事要旨からは消し去られていたことがわかった。(中略)挙げ句、選定プロセスの透明性を主張してきた特区擁護派の切り札となっている原氏自身が、こうした裏側では特区ビジネスにかかわっていたのである。とてもじゃないが、そんな人物の言い分を信用できるわけがない。
これは貴重な情報だ。常識で考へれば、安倍の退陣は避けられない。江戸時代なら、殿ご乱心で座敷牢か毒殺だから、退陣で済むならずいぶん穏健だ。(完)
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