九百五十九 愛媛大学教授阿部俊之助と今治市長菅良二の邪論を批判
平成二十九丁酉年
四月七日(金)
加計学園については、理事長のアジア主義に賛成なので一旦終了したが、これ以外にも我田引水の邪悪な主張をする輩がゐる。と云ふことで愛媛大学教授阿部俊之助と今治市長菅良二を批判することとした。

四月九日(日)
まづ今治市のホームページに、獣医学科に学生が応募するのかと云ふ質問に、倍率が15倍だから定員割れすることはないと回答がある。この一言で、今回の騒ぎは単に獣医学科の人気に便乗した濡れ手に粟商法であることが、明らかになった。卒業生の就職を考へず、倍率や定員割れするかどうかで判断する。およそ教育とは無関係の発想だ。

今治市が悪質なのはまだある。公務員と産業動物の獣医の充足割合のグラフを載せて、将来は更に不足するやうに載せてゐる。これだけを見れば、多くの人が獣医は今でも不足してゐて、将来は更に不足すると騙されてしまふ。これには重大な情報操作がある。
獣医学科の学生に取り、ほとんどの人が一度は臨床をやりたいだらう。公務員になったら一生、検査や行政で終はってしまふかも知れない。
産業動物の獣医が少ないのは、卒業生のエゴかも知れない。私が産業動物の獣医が不足してゐると云ふテレビ特集を観たのは今から二十年以上前だ。犬や猫の小動物の獣医に人気があって、産業動物が少ないのは卒業生のわがままだが、産業動物の縮小が続いたことを考へれば、やむを得ない。私の父方の祖父の実家は群馬県でニワトリを飼ってゐたが、その後、ブタをたくさん飼育するやうになった。この時点では転作の成功例だった。しかしその後、円高で廃業した。
公務員は人気が無い訳ではない。うちの子は入学してから希望が、小動物は希望しない、産業動物がいい、動物園がいい、小動物も有りか、といろいろ変はったが、農林水産省に勤務する先輩を囲む飲み会に参加したあと、獣医の行政に関はるのもよいと一瞬だが話したことがあった。ほんの一瞬だったが。
農水省はともかく地方自治体の獣医希望者を増やすには、地元の動物医院で勤務医を募集するところと契約して、週に2回臨床をするなど採用側は努力しなくてはいけない。人間を診療する医師だって週に二回だけ来て、あとは大学で教へるなどの勤務の人もゐる。獣医応募者を増やす努力をせず、しかもその数値だけを挙げて如何にも獣医が不足してゐるやうに見せかけるのは詐欺だ。

まだある。「全国及び愛媛県における獣医事に従事しない獣医師の割合」と云ふ表がある。全国で獣医事に従事しない人の割合が平成二十年で12.3%、愛媛県は26.1%。これだけ見ると今治市に不利だ。そんな情報をわざわざ市のホームページに載せたのはからくりがある。その次に愛媛県では20歳代から50歳代でそれぞれ3.5%から6.9%、60歳で36.4%、70以上で79.5%とある。要は現役世代で獣医事に従事しない人は少ないことを云ひたいらしいが、重大な欺瞞がある。 獣医事には製薬会社や食品会社、行政、検査に従事する獣医が含まれる。今治市は臨床に従事しない獣医の表を載せるべきなのに、ここで悪質な情報操作を行なった。

四月十一日(火)
次に、愛媛大学教授阿部俊之助は産経新聞の特集に
獣医学部は公的な色彩が強く、長年の地元の悲願だ。政治利用して思いを踏みにじらないでほしい。

政治利用は今回の獣医学部新設騒ぎだ。五十二年間新設が認められなかったには理由がある。それを政治利用で覆したのだから、元に戻すのも政治利用で行くべきだ。
このままでは教員集めに支障が出るのではないか。安倍首相を攻撃するため、獣医学部を政争の道具とする国会議員は地方のことを分かっていない。教員が集まらなかったらどうするのか。ものすごく無責任だと思う

野党はどんどん騒ぎ立てたほうがいい。民進党は名誉回復のチャンスだ。「濡れ手に粟の商売を狙った組織の教員になると、あなたの人生に傷が付きますよ」と云ふことを判らせる必要がある。

四月十六日(日)
産経新聞の特集は更に
今治市に新設される獣医学部では、愛媛大学と連携して生命科学分野の研究を進める計画という。四国における水産・養殖漁業に大きく寄与するのみならず、動物や食品産業、新薬、医療機器といった関連企業の周辺への集積も視野に入る。
これなら獣医師の免許は不要だ。今回問題になったのは、四国の畜産水産とは無縁に、全国の獣医人気に便乗して濡れ手に粟の商法をしようとしたことにある。今治市長の菅良二は次のやうに主張する。
獣医学部の誘致
  四国では畜水産業が盛んで ありながらも、獣医学部がな いことから、誘致に取り組ん できました。愛媛県や四国にとって、食の安全確保や畜水 産業振興のために獣医師確保 は必要不可欠です。

学生確保の見通し
  獣医学部は志願倍率が約 15 倍と高いため、将来にわたる 安定した学生の確保ができると考えています。
前半でもっともらしいことを云ふものの、後半を読めば濡れ手に粟の商法であることは明らかだ。

五月六日(土)
産経新聞の特集は後編があり、ここで阿部俊之助について
専門は分子細胞生物学で「私は獣医ではなく、本来の研究はエンドウ豆などの植物」というが、四国で畜産や水産などの分野を手がける研究者が少ない事情から、専門外の畜産や水産分野の研究で奔走することになった。しかし、愛媛県には研究拠点がないため、必要な設備を求めてその都度、瀬戸内海を渡り県外へ出るしかなかった。
「国は中央に集約し、地方はそのブランチとして存在すればよいと考えている。だが、拠点がなければ必要な研究もできない」と阿部教授は話す。設備の整った他の機関に研究を委託しても、「四国のような地方は後回しにされるのが実情だ」という。
ここまで賛成だ。ところが最後の一行で
産業振興のためには、四国に拠点施設が必要と力説する。獣医学部の誘致が地元の熱意となった背景には、このような理由がある。
この一行は完全な欺瞞だ。これなら生物学部や畜産水産学部を新説すればよい。獣医学部を新設する必要はまったく無い。(完)

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