九百十一 会社移転前に訪問(乙、佼成図書館)

平成二十八年丙申
十二月三日(土)
佼成図書館は良心的な施設だ。立正佼成会の会員ではなくても利用できる。宗教関係の書籍が揃ふ。私は杉並区内の都立学校で教へたあと会社に戻るときに、昼食は10分で終るから残りの時間、佼成図書館に寄ることがよくあった。だから今年三月で授業が終了の後は立ち寄る機会がなくなった。そのため六月末に午前半休を取り市立図書館と佼成図書館に行った。
あと一か月半で会社移転のため佼成図書館に行くこともなくなる。と云ふことで土曜は佼成図書館に行った。

十二月十一日(日)
佼成図書館では「世界平和パゴダの可能性 ミャンマー仏教を語る」を読んだ。昭和33年に建立したとき、日本とミャンマーが2000万円づつ出し合った。私は日本側が建てたと思ってゐたのでこれは以外だった。マインドフルネスを直訳すると「注意が向いた状態」「気づいている状態」になると書いてあるのが印象に残った。私はこころが豊かな状態のことだと思ってゐたからだ。
次に西澤卓美さんの「仏教先進国 ミャンマーのマインドフルネス」を読んだ。西澤さんは96年30歳で出家し16年間比丘として過ごした。このうち10年間はミャンマー、残りは日本。ミャンマーで出家するときは鈴木一生さんが世話役としていっしょに渡航した。トゥダンマ派のマハーシ瞑想センター。ヴィパッサナーのほかサマタもした。本の内容で印象に残ったのは上座部仏教では尼(比丘尼)が滅んてしまひ、女性は尼ではなくティラシン(修行者)として出家するが、ミャンマーでティラシンに向かってあなたたちは差別されてゐるといっても理解されないと云ふ話だ。ミャンマーの人たちがそれで満足してゐるのだから外国人、特に西洋人が男女差別だと云って騒ぐのは変な話だ。

十二月十四日(水)
今から二十年ほど前、インターネットが普及し出したころに仏教、上座部仏教の英語版の掲示板をよく読み、たまに書き込むこともあった。当時はスリランカで比丘尼を復活させたニュースが話題になった。実際はティラシンに大乗仏教の比丘尼の戒と上座部仏教の比丘の戒を授けたものだから、正式の比丘尼ではない。それなのに騒ぐのは主にアメリカ人やオーストラリア人だった。今回西澤さんが、ミャンマーのティラシンは本人たちが満足してゐると書かれたので安心した。
タイに二か月出張の時、ホテルで一日おきに英字新聞が無料で配布された。タイの上座部仏教の男女差別を批判する記事が二回載った。私が西洋文明による規範のアジアへの押し付けに気付いたのはこのときだった。タイ人が満足してゐるのになぜ西洋人(或いは英字新聞社に勤務するタイ人)がそれを批判する必要があるのか。
数年前にタイ、ミャンマーの仏教大学に留学中の日本人女性が国連だったかの賞も受賞し、一時帰国したときに話を伺ったことがある。その女性はティラシンについてタイのメーチーより更に下だ(或いは逆だったか。この女性はどちらも体験したのでそのときのことについて語った)と批判した。タイとミャンマーに留学しても、英語で学ぶと西洋人の感覚になることに気付いた。
西澤さんはミャンマー語を習得し、そして十年間ミャンマーで修業した。貴重な存在だ。(完)


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