九百八 1.トランプ新大統領の誕生でTPPは発効しても日本が不利になる、2.憲法改正を促進か妨害か

平成二十八年丙申
十一月十九日(土)
アメリカ最優先を掲げるトランプ氏が新大統領に当選した。トランプ氏はTPP撤回を主張してきた。ここで重要なことはトランプ氏の主張はTPP撤回が目的ではなく、アメリカ最優先が目的であり、その手段の一つにTPP撤回がある。
日本はTPP参加をトランプ氏に勧めてはいけない。それでは再交渉に持ち込まれ、アメリカ最優先のTPPに改変されてしまふ。その分、日本を含む他の加盟国が不利になる。わざわざ不利な条件に変更することはない。

十一月二十日(日)
TPP賛成派のこれまでの主張を改めて読み直すと、一番多いのは経済成長のチャンスだと云ふものだ。二番目は日米安保条約がある限りTPPに参加しない訳には行かない、TPPに参加しないと日米関係が悪化するといふものだ。
まづ経済成長はチャンスであるがリスクでもある。国全体でどちらになるかはやってみないと判らない。つまり戦争と似てゐる。先の戦争で日本は勝つ場合のことしか考へなかった。戦争とTPPは博打に似てゐる。勝つだけではなく負けることもあることに気がつかなくてはいけない。
国全体で勝ったとしても産業間の格差が広がり、社会が不安定になる。日本は既に不安定な社会だが、GDPの高さが不安定を隠蔽してきた。しかしこれ以上不安定になればもはや国民の許容限度を超えるだらう。
二番目の日米安保条約や日米関係への悪化は、アメリカが離脱するのだから日本にとっても好機だ。今こそTPPを離脱すべきだ。トランプ次期大統領と云ふ外因があるのだから、安倍内閣の支持率が下がる心配はない。

十一月二十一日(月)
経済成長をするには、大企業のユニオンショップを禁止することだ。協定と組合費天引きと企業外組合員禁止協定を法律で禁止すればよい。公務員の組織率が異常に高いのは、公務員の雇用政策が民間と異なるためで、民間と同じ離職率にする必要がある。
大企業のユニオンショップを禁止することにより経済は成長する。不安定な社会も解消される。TPPを遥かに上回る効果がある。

十一月二十二日(火)
憲法改正は急務だ。せっかく改正賛成派が2/3を超えたのだから、このまま改正すべきだ。ところが一時期、来年早々に衆議院を解散すると云ふ話があちこちから出るやうになった。私は、自民党内にも憲法改正を妨害する人たちがゐるのではないかとまづは危惧した。しかし自民党は世論調査をきちんと行ってゐるだらうから、その上での解散ならよいことだと思ひ直した。
その後、TPPの話が出てきた。私はTPPに反対だが、経済成長を願ふ人は多いから、やむを得ないと特に反対はしなかった。シロアリ民進党が内心は賛成のくせに可決されるのを見込んで反対のふりをするから尚のこと、自民党に賛成した。
しかしトランプ氏が当選したあとは、自民党の対応がよくない。自民党内ではなく官僚内に憲法改正に内心は反対の人がゐるのではないかと疑ふやうになった。

十一月二十三日(水)
世界の国々を分類する方法は三つある。一つは文化、二つ目は伝統国か移民国か、三つ目は資本主義陣営か共産主義陣営か。
まづ一番目の文化では大きく、欧州、アジア、中南米、アフリカに分けられる。二つ目は移民国がアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド。準移民国が中南米とシンガポール。
TPPは移民国の比重が異常に高い。こんなものが成立したら伝統国は、移民国の悪い部分と伝統国の悪い部分で混成されたごみ溜めのやうな国になってしまふ。
三つ目はもはや論じる必要はない。ベトナムが入ってゐることで、この分類は不要になった。しかしかつて資本主義陣営と共産主義陣営が争ったときに、資本主義陣営には朴正熙の独裁政権や蒋介石の息子の独裁政権も含まれてゐた。つまり自由や民主主義や最近では法治主義を加へて、これらかどうかで無理やり世界を二分する方法は完全なでっち上げだ。そもそも冷戦時代にも当てはまらなかった。そのことを指摘するため、時代遅れではあるがここに記した。
余談だが日本は法治国家とは云へない。憲法違反の自衛隊が存在するからだ。憲法を改正するか自衛隊を廃止するか。私は前者を支持する。あと、シロアリ(この当時は天下り官僚のことを民主党はこう呼んだ)や税金の無駄をやめて消費税増税はしないと公約して民主党(シロアリ化する以前)は政権を取った。ところが菅と野田がシロアリを退治することなく消費税を増税した。この時点で民主主義は死んだ。あとは憲法を改正するしかない。(完)


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