八百四十七(甲) 国内に反日勢力をでっち上げる反日パンフレット(XX教徒の離反を企む。森本あんり批判)

平成二十八年丙申
六月四日(土)
社会破壊拝米新自由主義反日パンフレットは五月五日に国際基督教大学学務副学長森本あんりの発言を載せた。これがとんでもないでたらめなので指摘をしたい。まづ
憲法が制定された当時、1947年の日本では、XX教徒も仏教徒も無神論者も、みんなが祈っていました。何百万人もの人が死んだのです。屍を前にして、できたのは、祈ることくらいだったろうと思います。

決してそのようなことはない。このとき日本はまだ独立してゐない。経済は極めて悪い。死者への追悼はあるがそれは憲法と関係ない。そもそも日本だけが戦争をしたのではない。戦前戦中と戦後の一時期まで米英仏蘭は広大な植民地を所持した。その再配分を狙って帝国主義どうしが醜い争ひをした。戦争は勝っても負けても大変なことになる。これが第一次世界大戦後の欧州の本心だった。そして第二次世界大戦後も全世界で一旦は思った。
森本あんりは知らないのか。このときベトナムではホーチミンの臨時ベトナム民主共和国政府とフランスの間で戦争中だったことを。その二年後にジュネーブ協定で第一次インドシナ戦争は終結したが、フランス側は17万2000人が死傷(戦死者9万4000)、ベトナム民主共和国側は50万人の死傷者と25万人の民間人犠牲者を出した。その後、第二次インドシナ戦争で大変なことになるが、このときはまだ誰も予想してゐなかった。森本は続けて
広島、長崎に行って慰霊碑の前に立てば、信仰や宗派にかかわらず、だれもが頭(こうべ)を垂れる。それと同じ気持ちが、この憲法に込められていると思います。

原爆犠牲者のことを思へば、誰もが頭を垂れるのは当然だ。しかし憲法なんかに頭を垂れる人はほとんどゐない。権力機構の最高法令に過ぎないからだ。
元最高裁判事の那須弘平氏は、日本国憲法を『祈りの書』と呼びました。『懺悔と謝罪の書』とも言っています。

それでは日本国憲法を『祈りの書』『懺悔と謝罪の書』と呼ばない人はどれだけゐるか。那須弘平氏以外のほとんど全員ではないか。極めて僅かな例を挙げてもそれが有益な情報なら別だが何の役にも立たない。憲法を『祈りの書』『懺悔と謝罪の書』と呼んだところで有益な情報ではない。XX教に合はせて云ふと、そのようなことを云って神が賞賛されるとは思はれない。ここで森本氏が取り挙げたのは那須氏が元最高裁判事だから、何となく職名を挙げれば虎の威を借る狐みたいな効果があるだけだ。しかし日本国憲法が『祈りの書』『懺悔と謝罪の書』かどうかを判断するのは最高裁の仕事ではないから、つまりこの文章はまったく意味を為さない。

六月四日(土)その二
森本の発言が一番悪質なのは次の部分だ。
憲法が尊重されるには、制定者の権威が必要です。憲法制定当時の権威とは何か。率直に言うと、米軍中心の連合国軍総司令部(GHQ)です。

GHQは権威ではない。権力だし武力だ。GHQになんか何の権威もない。だからサンフランシスコ平和条約で日本の独立を多くの国民が喜んだし、講和に反対した社会党左派はソ連が入ってゐないことに反対したのであって独立そのものに反対したのではない。もしGHQに権威があるなら、更に占領状態を続けてほしいと思ふはずだ。それなのに森本は
米国が自国の利益だけではなく、より普遍主義的な理念、つまり世界の正義、自由、民主主義を掲げていたからです。だから権威があったのです。

GHQの占領政策は最初、日本に厳しいものだったが朝鮮戦争など米ソ対立とともに日本を米側に引き入れようとするものになった。森本はそんなことも判らないのか。それと同時に、当時の台湾は蒋介石とその息子による世襲独裁体制だったがアメリカは台湾を支援した。支援したどころか台湾は国連に加盟し常任理事国だった。韓国もひどい独裁だったが支持した。これも支持したどころか朝鮮戦争でアメリカ軍は中心的役割を果たした。しかもマッカーサは中国に原爆を落とせと本国に進言して解任された。アメリカは自国の利益で動くのであって世界の正義、自由、民主主義を守るためではない。あの時点での自国の利益とは米ソ戦争に勝つ事だ。森本はその辺の事情を判ってゐるのか。大学副学長にしてはずいぶんお粗末だ。アメリカについて
最初の13州は、独立と同時にそれぞれが州の憲法を制定したのです。英語で憲法を意味する『constitution』には『構成』とか『組み立て』といった意味もある。(中略)そういう『身体経験』があったから憲法が尊重されているのです

人類の長い歴史の中でアメリカ大陸は人類の過去の歴史から切り離されて突然表われた。判り易く云へば地球の癌細胞だ。その一方でヨーロッパにおける産業革命以降の歴史も引き継いだ。肝細胞から発生した癌は肝細胞の性質を持つのと同じだ。ところが森本は前者だけを重視する。
そもそも移住は人間の活動が地球に影響を与へなかった時代のもので、地球温暖化の今となっては立ち入り禁止の野生と先住民保護区に違法に居住する集団だ。続いて森本は
ただ、そんな国はあまり多くありません。憲法はイラクやアフガニスタンにもあります。でも、多くの国では洟(はな)もひっかけられません。

ここを読むと多くの国が間違ってゐてアメリカが正しいとおもってしまふ。しかし常識で考へれば多くの国が正常で、それほど多くはないといふ国が異常だ。だから
フランスの憲法は、最初の100年間に十数回も書き換えられました。

それは新規に作ったからだ。新しく作れば不都合が次々に出てくる。ところが森本は
憲法ができる直前まで、『朕は法なり』で王様が法律だった国ですから、革命と同時に憲法をつくっても身体感覚が伴わなかったんだと思います。

と見当違ひのことを云ふ。王様が法律だった国だから身体感覚が伴はなかったのではない。新規に作ったから安定するまでに不都合が次々に出た。それは先ほど引用した「最初の13州は」の直前にある次の文章でも明白だ。
大切なのは、米国で憲法ができる以前です。独立までの150年間、いわゆる植民地時代の人々は、自分たちで基本法をつくり、それに合わせて自治社会を建設していました。
150年間基本法があり改正を続けたから安定した。それだけのことだ。

六月五日(日)
森本の発言が一番間違ってゐるのは次の部分だ。憲法改正の声が大きくなったことについて
終戦直後に人々の目前にあった屍のリアリティーがなくなったからじゃないでしょうか。改憲を唱える安倍首相は戦後生まれです。
学年でいふと、私は安倍首相より一つ下、森本は私より一つ下だ。私の感覚だと、戦前に成人した人は徴兵に取られたり戦友が死んだり、空襲で家族が亡くなったりした人も多い。戦前の軍部による偏向情報は戦後のGHQのラジオ発表や新聞記事で十分に中和をされた。
しかしこれらの人たちはGHQの反日宣伝を受けても、祖国を批判することをせず、軍部を批判することはあっても戦犯遺族に年金を支給することに共産党を含めて全会一致で可決した。少年雑誌には昭和40年代でも米軍を敵とする漫画(あかつき戦闘隊など)が載ったし、テレビでも米軍を敵とする漫画(ゼロ戦はやと)が放送されたし、歌番組では軍歌が放送された。
自民党は結成されて以来、改憲を目指したし、社会党が護憲を主張したのは米軍の強制で警察予備隊、今の自衛隊を作らされたからだ。つまりアメリカ製の憲法を有り難がる人は当時はゐなかった。社会党は護憲を掲げても反米だった。
これが森本の云ふ「目前にあった屍のリアリティー」を体験した人たちの本心だ。戦時中は祖国のために戦ひ、戦後は焼野原となった日本を復興させたこれらの人たちの精神は引き継がなくてはいけない。

六月六日(月)
森本の発言は次で終はる。
いまの憲法には内容的な正当性がある。手続き的な正当性でそれをひっくり返しても、権威は備わりません。手続き上はたとえ合法だとしても、です。
いまの憲法に「内容的な正当性がある」と云っても、第9条と自衛隊は矛盾してゐるではないか。改憲しても「権威は備わりません」と云ってみたところで、GHQ占領下で強制された憲法を初めて国民の手で改正したのだから、逆に権威は備はるではないか。自民党が結党時から理念とした「自主憲法」も、社会党左派の社会主義と祖国独立を同時に進めるのか祖国独立を先にするのかといふ議論も、民社党(社会党右派の大部分)は自民党よりタカ派だと云はれたことも、すべて憲法改正で祖国独立が達成できる。
なぜ森本がこれほどまでに現憲法とGHQを持ち上げるのかは、国際基督教大学を調べると判る。戦後の昭和28年に設立された。何とマッカーサーが大学設立に際し財団の名誉理事長だった。これではGHQと憲法を有り難がる訳だ。それにしても許しがたいのは社会破壊拝米新自由主義反日パンフレット(自称朝日新聞)だ。この事実を読者に隠して、あたかも国内のXX教徒が憲法改正に反対してゐるかのやうに装った。(完)


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