七百九十九 朝日新聞批判、その二十一(マスコミの横暴を許すな51、内田樹氏に前半賛成後半反対)

平成二十八年丙申
一月十三日(水) 前半賛成
五日の社会破壊拝米新自由主義反日(自称朝日)新聞の四面に内田樹氏の発言が載つた。発言の前半は賛成、後半は反対だが、よく読むと前半の前半は賛成、前半の後半は疑問符といふ複雑な構造だ。一貫して云へることは、この記事を執筆した人間には呆れる。こんなところに社会破壊拝米新自由主義反日(自称朝日)新聞の問題点が現れる。
-いま、どのような時代でしょうか。
「移行期です。地殻変動的な移行期の混乱の中にある。グローバル資本主義はもう限界に来ています。右肩上がりの成長はもう無理です。収奪すべき植民地も第三世界ももうないからです。投資すべき先がない。(以下略)」

ここまで同感だ。その後、内田氏の発言とその次の取材者が太字で書いた部分を飛ばす(通過する)が、これは一旦最後まで終つた後で批判したい。その次の
「左右を問わずメディアは『経済成長せねばならない』を前提にしています。大量生産・大量流通・大量廃棄のサイクルを高速度で回すことで経済成長するのが良いことだと信じている。でも、ぼくはそれは違うと思う。成長がありえない経済史的段階において、まだ成長の幻想を見せようとしたら、国民資源を使い果たすしか手はない。(以下は明日に続く)
ここまで同感だ。

一月十四日(木) 前半の後半で風向きが急変
(昨日の続き) 今はいったんブレーキを踏むべきときです。成長なき世界でどうやって生き延びてゆくのか、人口が減り、超高齢化する日本にどういう国家戦略があり得るのか、それを衆知を集めて考えるべきときです」

ここは変だ。まづ更に成長を求めてはいけないが、だからといつてブレーキを踏んではいけない。次に、衆知を集めて考えろといふが、それだとニセ労組シロアリ連合の圧力を受けたシロアリ民主党が先の増税騒ぎのように我田引水の案を出してくる。まづ内田氏が案を出すべきだ。新聞に載る内田氏の略歴は某大学名誉教授なのだから。
「世界ではいま左翼のバックラッシュ(反動)が起きています。米国大統領選で民主党の指名争いでは、社会主義者を名乗るバーニー・サンダースがヒラリー・クリントンを窮迫しています。カナダではリベラルのジャスティン・トルドーが成長より融和を重んじる国家ビジョンを提示しました。どうやって成長させるかより、限りある資源をどう国民に公正に分配していくかに社会的な関心が移りつつある」

社会主義者とリベラルを並べるところに悪質さがある。まづ国ごとにリベラルの定義が異なるから、二名を並べたこと自体は問題ない。しかしリベラルといふ語を日本で使へば日本の定義になる。日本でリベラルと云へばシロアリ民主党や社会破壊拝米新自由主義反日(自称朝日)新聞のように悪い印象を持つ。
次にアメリカもカナダも移民の国だ。つまり国が平衡状態になつてゐない。しかし平衡状態になるとは人口密度が今より遥かに増えることだから、地球保護からは好ましくない。内田氏はアメリカやカナダではなく、普通の国を取り上げるべきだし、日本はアジアの一員なのだからアジアを取り上げるべきだ。

一月十五日(木) 後半の偏向部分
この発言に続き、次の括弧が始まる。括弧で囲はれた文章が三つ連続しその最終なので、執筆者の偏向に都合のよい部分だけを抜粋したと見るべきだ。
「昨夏の国会前デモでぼくが見たのは、国会内では『システムを今すぐ根本から変えなければ大変なことになる』と叫びたてるおじさんたちが暴走し、国会外では若者たちが雨にぬれながら『憲法を守れ、立憲デモクラシーを守れ』とそれをたしなめているという不思議な構図でした。(以下略)

まづ憲法違反といふのであれば、自衛隊自体が憲法違反だ。村山富市の前まではこれが野党第一党の主張だし、全国の革新知事、革新市長の主張でもあつた。自衛隊を合憲とする以上、安保法案も違憲とまでは云へない。
-夏に参院選があり、結果次第で憲法改正が俎上に上る可能性があります。
「民主主義というのは実は危険な仕組みであって、一時的な激情に駆られて暴走しやすい。(中略)だから、(中略)憲法があり、三権分立があり、両院制があり、内閣法制局があった。けれども、小泉政権以来、そうした行政府の暴走を阻止するための『ブレーキ』に当たる装置がひとつずつ解除されている」

民主主義が暴走しやすいとはいへ、憲法は民主主義の手順で制定しなくてはいけない。今の憲法は形式的には国会が作つたが、実態はGHQの強制だ。だから自民党は自主憲法、革新は民族独立を目指した。革新が民族独立を目指した例として、左派社会党の綱領論争のほかに「民族独立行動隊の歌」、或いは総評第2回大会宣言の「講和を前にして今や日本は民族の完全独立と平和をかち取るべき重大な段階に到達した。/この時に当りわれわれ労働階級の結集体たる日本労働組合総評議会は輝ける第二回全国大会を開き(以下略)」がある。だから行政府の暴走を許すような改正には反対し、国の独立のための改正には賛成しなくてはいけないのに、内田氏にはその区別が見られない。
次に、内閣法制局を三権分立に準じた組織に見立てることには反対だ。そんなことをしたら戦前の統帥権と同じで、軍部の代はりに憲法学者なる怪しげな連中を始めとする一部の人間の暴走を許すことになる。

一月十六日(土) 守旧の暴走
ここで軍部の暴走は判るが、「憲法学者なる怪しげな連中を始めとする一部の人間」が暴走するかと疑問に思ふ人もゐよう。変更の暴走は誰にも判るが、守旧の暴走は判りにくい。例へ話を考へればわかりやすい。夏は海水パンツ、冬は宇宙服で街中を歩く人がゐたら季節に合はせて変更し過ぎの暴走だ。しかし、夏は長袖のワイシャツにカーディガン、真冬も長袖のワイシャツにカーディガンの人がゐたら守旧し過ぎの暴走だ。真夏には熱射病になるし真冬には凍死する。
日本には後者の人たちがゐる。かつて社会党が護憲を主張したのには理由があつた。アメリカの命令で作られた自衛隊の違憲をいふためだつた。その後、左翼崩れの連中は護憲の言葉だけを真似した。理由は正反対で、拝米のためだ。改憲派からの守旧も生じた。日本のアメリカ化を進めたいくせに、保守の立場から改憲を云はれたために、改正反対を主張する。つまり現時点で護憲を主張する連中は拝米で暴走した。暴走が守旧だから目立たないだけだ。守旧の暴走は次の発言からも判る。
「(前略)衆院と参院が『ねじれ』でいるのは両院制の本義からすればむしろ望ましい事態。けれども、衆院で決まったことがただちに参院でも通過するのが『効率的』だというのなら、そもそも参院は要りません」

衆院と参院の両方で可決しないと法律が成立しないから、それが望ましいといふことは、つまりは守旧だ。憲法の守旧は拝米だが、法律の守旧は既得権派だ。

一月十六日(土)その二 低級な論理の暴走
「その理屈でゆけば、長い時間をかけて国会で審議しても最後には与党が採決を強行するなら、野党がいるだけ非効率だということになる。それなら野党は要らない。いや、法律は行政府が起案するのだから、そもそも国会審議自体が時間の無駄なのだということになる。『ねじれ国会』の解消から独裁制までは論理的には一本道なんです」

これは低級な理論だ。まづ衆議院と参議院は同じ顔触れの国民が投票するものだから、一院に統合してもよい。しかし与党と野党は別の投票者が選んだものだから、野党を切り捨ててはいけない。こんなことも判らない男がなぜ名誉教授で、それを記事にする新聞社がなぜ数少ない全国紙のうちの一つなのか。
与党が採決を強行するなら、野党がいるだけ非効率だというが、それは党議拘束が原因だ。拘束しなければ議員は審議をきちんと聞くようになる。法律のほとんどは行政府が起案するが、それは行政府の起案を認めるからだ。議員立法でなくてはいけないように規制を掛ければ議員が起案する。つまりこの二つは技術的な問題に過ぎない。独裁制まで一本道といふことは絶対にあり得ない。
-先行きは厳しいですね。
「ええ。でも、歴史には必ず補正力が働きます。ある方向に極端に針が振れたあとは、逆方向に補正の力が働き、歴史はジグザグに進む。いまは針が極端に行き過ぎた後の補正段階に入っている。(以下略)」

として、世界的なバックラッシュと、日本での若者たちの国会でもを挙げる。まづ、歴史がある方向に極端に針が振れ、次に補正力が働くことは正しい。しかし内田氏のいふように安保法案で針が振れたのではなく、戦後七十年に亘りGHQ憲法を改正できなかつたことで針が振れたので、今、憲法改正といふ補正力が働き始めた。
内田氏が安保法案で針が振れたと主張することに反対の理由は、弊害が何もない。針が振れたときに補正力が働くには弊害があるからだ。戦後七十年に亘り憲法改正しなかつた弊害は、まづ憲法を読めば自衛隊は違憲なのに存在することと、二院制で税金が無駄なことと、憲法で国民平均所得以上の歳費を禁止しないことと、企業内労組を禁止しないからニセ労組シロアリ連合が出現したことと、何より菅や野田のような嘘つき政治屋が出現したことだ。国民は消費税増税に反対して民主党に投票したのだから。

一月十六日(土)その三 一番悪いのは執筆者だ
十三日に、内田氏の発言と取材者が書いた太字の部分は後で触れると書いたので、それを引用すると
「若い人の賃金は下がり、法人税を下げ、株の配当を増やす。株をやっている人からすれば、(中略)こんなありがたい政権はない」

若い人の賃金が下がったのは非正規雇用が増えたためだ。非正規雇用が増えたのは失業率が高いためだ。失業率が高いのは資本主義の欠陥であつて、その対策を立てないまま批判しても偽善に陥る。
次に法人税を下げるのは景気を良くして失業率を下げるためだから、もし批判するとすれば景気がよくなるのは一時的だとか、失業率が下がったら非正規雇用規制を強化すべきだと云はなくてはいけない。
続く取材者の太字の主張は
私自身、経済成長は「良いこと」と信じてきた。経済が成長すれば景気が良くなって、一人ひとりの暮らしも良くなるかもしれない。だが、内田さんはそうした考え方は違うと言う。

地球温暖化がこれだけニュースになつたのに、まだ経済成長が良いこととは呆れる。尤も世界がパイの分配を巡つて争ふ中では、経済成長は悪いことではないかも知れない。パイを広げるのではなく決められたパイの中での競争だ。しかし経済が成長すれば格差が拡大し、次に不景気が来たときに大変なことになる。朝日新聞の記者はそんなことも判らないのか。そのことは取材後記にも表れる。
(前略)あなたが当然と思っている「経済成長」は、当たり前でもなんでもない-そう言われて改めて前を向いてみると、視界が少し開けた気がした。

今回の取材をするまで経済成長がよいことだと思つてゐたとは呆れる。消費税増税の悪質なところは経済成長を前提とすることだ。増税すればその分の経済が悪くなるに決まつてゐる。パイの大きさは変はらないのだから。(完)


朝日新聞批判、その二十一(マスコミの横暴を許すな50)
朝日新聞批判、その二十三(マスコミの横暴を許すな52)

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