七百七十六 1.ミャンマー祭り、2.桐谷征一師「仏教のふるさとを散歩する ~中国編~」(その二)
平成二十七乙未
十一月二十八日(土)
ミャンマー祭り
増上寺で行はれるミャンマ-祭りに、ミャンマー寺院が出展することになつた。一時は出展しないことになつたが、その後、急速に展開した。二つ並べたテントに四つの団体が入り、門司の世界平和パゴダ、高田馬場のミャンマーカルチャーセンターと軒を並べた。
十時開始でその直後に到着すると、比丘二名、日本人向け経典学習会の参加者が私を含めて三名でうち一名は日本の大乗仏教僧侶。実務は在日ミャンマー人四名ほどが担当した。名称がミャンマー人向けなので、大乗仏教僧侶が東京のミャンマー寺院と紙に書いて貼つた。宗派はどこだらうと考へたが、場内の別の場所で到着した観光バスの統率をされる僧侶と同じ衣だから浄土宗かも知れない(上座部仏教僧と日本の僧の写真)。
昨年は安倍首相夫人の出演する講演会を見たが、今年は専らミャンマー寺院の出展の前で日本人どうしやミャンマーの比丘を含めて雑談したり、会場を見て回つたりで過ごした。昨年の安倍首相夫人の話を聴くまでは、安倍首相のことを菅野田亜流の亜倍(自称安倍)と呼んでゐたが、あれから安倍首相と呼ぶようになつた。消費税増税を延期した功績も大きい。あとは10%増税時に食料品を無税(8%据え置きでは駄目)にするか、或いは10%増税を無期延期して、菅野田の悪辣さを国民に示し、その勢いで憲法を改正することを期待したい。
せつかくのお祭りだから、白ぶどう酒(500円)を飲んだ。会場を一周したあと寺院出展前の雑談に再び加はり、二回目に会場を見て廻つたときに、この店で今度は赤ぶどう酒(500円)を飲んだ。店は家族で運営するのか、小学生くらいの女の子が飲み物の担当だつた。ミャンマーでは親の仕事を手伝ふのは子供の役目である。かう云ふ家庭を応援しようといふ次第だつた。赤と白のぶどう酒を、黒と白と云つたので日本語が達者だがミャンマーでは呼び方が少し異なるのかも知れない。さういへば、ミャンマー寺院に両親と来た小学生が仏像を神様と呼んだことがある。日本語が達者でも、ミャンマー語の感覚では礼拝する像を神様と呼ぶのだらう。
その足で池上本門寺へ向つた。「仏教のふるさとを散歩する ~中国編~」を聴くためだ。ぶどう酒は一杯が0.5合程度だし、度数も低めのようだ。講演を聴くのにまつたく支障はない。
十一月三十日(月)
房山石経
「仏教のふるさとを散歩する ~中国編~」の二回目は「房山石経-未来への贈りもの-」である。石経とは石に彫つたお経で、
その刻石総数は、約一万五千石(せき)、仏典900部3452巻。隋の大業(605)より開始され、明末(1644)に終息するまで、連綿と続けられた刻経事業は一千年以上に及びました。
刻経を行つた理由は破仏、廃仏である。中国では大きなものが四回あつた。破仏、廃仏があつてもお経を後世に伝へようといふ大変な努力であつた。
中国では仏教史上に、大きな"法難"(仏教徒側ではこう呼びますが、中国史上では破仏、廃仏といいます)が四回ありましたが、中でも北魏太武帝の破仏(440-451)と、北周武帝の破仏(572-578)が大きく、多くの出家者が殺され、経蔵は破壊されました。
仏教徒の法難の受容には、その背景に中国で発展した"末法"という歴史観があります。
それにしても一千年とは想像を絶する長さである。文化大革命のときに紅衛兵が石経山まで来て、仏顔1500体を金づちで壊し、X経も最初の板を五つに壊したといふ話もあつた。
十二月三日(木)
末法
仏教の基本思想を縁起と諸行無常(空)としたのは実に適切である。空を虚無の意味で捉へる人が多いが、それなら無と書けば済む。空としたのは変化があるからである。桐谷師は次の話もされた。以下は私のメモ書きである。
中国では、正法500年、像法1000年、末法1万年
日本では、正法1000年、像法1000年、末法1万年
インドはこのような思想は無かつた。
日本は仏教が伝はつた最初から末法だといけないので500年ずらした。中国は西暦552年に末法、日本は1052年。伝教大師はもうすぐ末法といふことで中国式だつた。中国にも正法1000年といふ考へもあつた。
僧X、浄土系は末法の危機感、禅系はあまり危機感を持たなかつた。
次に質問の時間に入り、雲居寺の当時と今は何宗かといふ質問に対し
中国では偽経が作られ、どの経が本物か偽物かといふ教相判釈が行はれ、日本の留学僧はその影響を受けた。天台山は一時、教宗、国清禅寺
雲居寺に今は僧がゐない。今の中国は禅宗と浄土宗のみ。中国北部は仏教活動しない、南部はする。
なるほど私が上海や広州で寺院を見たのは南部だからだ。次に破仏についての質問に
破仏した皇帝は真面目な皇帝だつた。僧は働かず、兵にもできず、寺に武器を蓄へた。
漢字が読みやすいといふ質問には
日本の正字体が使はれたのは隋の時代
と云ふ説明があり、この日の有意義な学習会は終了した。
十二月五日(土)
世界遺産
中国政府は石経山と雲居寺を世界遺産に申請した。雲居寺に二つある仏塔の一つを、先の戦争のとき日本の飛行機が爆撃し破壊した。世界遺産に登録されれば、日本軍による爆撃の話も出るだらう。そして日本の偏向マスコミどもはまた大騒ぎをするだらう。国売り(自称読売)とKKK(自称サンケー)は拝米反アジアの立場から、社会破壊拝米新自由主義反日(自称朝日)と小型反日(自称毎日)とニセ新聞東京パンフレット(自称東京新聞)は拝米反日の立場から、国民に反中意識が高まる記事を書き続けることになる。
雲居寺には桐谷師が訪問した1980年代に兵舎がある。国民党時代もあつたのだらう。だから爆撃が行はれた。あの戦争は帝国主義になつた日本と蒋介石軍が起こしたもので、蒋介石軍の背後には同じく帝国主義の米英がゐた。列強は皆、帝国主義だつたのだから、日本は大騒ぎすることなく、日本仏教の師匠である中国仏教の世界遺産登録を歓迎すべきだ。(完)
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