六百八十五、公開調査「左翼は絶滅したか」(その一、共産党は左翼かそれとも左翼崩れか)

平成二十七乙未
四月五日(日) 左翼世代絶滅
私は左翼と話しても右翼と話しても心から楽しむことができる。心から楽しむとは会話の内容に納得することであり、相手に取り入らうとする邪な気持ちがない状態をいふ。左翼は滅亡したか滅亡が近い。あとは共産党だけだが私のホームページは共産党を既に左翼崩れだと断定してゐる。しかしそれで正しいのか。それを調べようといふのが今回の企画である。
公開調査と銘打つたのは、今度の全労連メーデーとこれからのしんぶん赤旗、共産党の発表文書で調査をしようといふ次第である。

四月十二日(日) しんぶん赤旗
図書館で「しんぶん赤旗」を読まうと思つたが市立図書館にはない。県立図書館は一日から十三日まで休館である。といふことで共産党のホームページに載つた記事を紹介しよう。まづは五日の女性候補46.5%といふ記事である。共産党の女性候補が多いことはよいことだ。他党、特にシロアリ民主党の女性議員は目立ちたがり屋、でしゃばり女、上昇志向の異常な女ばかりである。それに比べて共産党は党職員で歳費は党に納めるからそのような人はゐない。共産党で女性候補が多いのはよいことである。

次は同じく五日の「慰安婦」記述を大幅削除語ろう日本共産党といふ記事である。「戦争立法」止める平和への一票、消費税に頼らぬ道示す、米軍新基地ノーの思いを、農協つぶし・TPP反対、行政と議会の監視役ですと五つの章に分れそれぞれ解説がある。これらは道理に適つた内容である。シロアリ民主党や消滅社民党あたりが平和を叫ぶと偽善の悪臭がして嫌な気分になるが、共産党の主張する平和は賛成である。

七日の「慰安婦」記述を大幅削除には反対である。戦争といふ異常心理状態でのことを中学の教科書に書いても意味がない。どうしても書く場合は西洋列強がアジア、アフリカのほとんどを植民地にし、しかもアメリカは国自体が植民地であることを書いた上で日本も帝国主義菅の戦争に巻き込まれ、しかも戦争といふ異常事態でのことだとして記述しなくてはいけない。そこまでして書く必要があるか。それだつたら記述しないほうがよい。何も慰安婦がなかつたと言ふのではない。言及しないだけである。
もう一つ理由がある。書くことによりどういふ結果を生じるかを考へる必要がある。今は特に拝米新自由主義社会破壊反日(自称朝日)新聞がその典型だが、反日拝米拝西洋の文章ばかりを書くから国民の意識とは異なつた見解が広まつてしまつた。その反動として今度は自衛隊の強化だとか集団自衛権だとかが出てくる。共産党はそこまで読むべきだ。

同じく七日の中学校教科書検定結果について/党国会議員団文部科学部会長 畑野君枝議員の談話である。共産党に賛成の部分を紫反対の部分を橙それ以外を緑に塗り分けた。

一、日本軍国主義による侵略戦争であったアジア・太平洋戦争を「自存自衛」「アジア解放」のための戦争だったと描く、歴史を偽る歴史教科書、憲法の平和的民主的原則をゆがめて描く公民教科書が引き続き合格となり、自民党などがその採択を進めようとしていることはきわめて重大です。
一、(以下略)
一、これらは「日本は正しい戦争をやった」という安倍首相らのゆがんだ歴史認識を、教育を通じて社会に持ち込み、日本を世界とアジアから孤立させるものです。わが党はこうした逆流を許さないため国民とともにたたかい、「村山談話」「河野談話」で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、教科書に誠実かつ真剣に反映させるために奮闘します。


ここで「自存自衛」と批判することに反対なのは、中国に対しては侵略でも帝国主義どうしから見ればアメリカの石油禁輸に対する自存自衛の一手段ではあつた。中国に対する侵略は複雑である。日華事変(当時名日支事変)は蒋介石軍と日本軍出先との私闘の性格を持つが日本は軍事力を背景に高圧的な態度であり、だから半分は侵略である。国共合作が為つた後は日華の全面戦争だから侵略である。畑野君枝議員の談話を修正すると次のようになる。

一、さきの大戦(自称大東亜戦争、通称太平洋戦争。その後アジア・太平洋戦争といふ云ひ方が西洋資本主義陣営の影響を受けた学者から出て来たがこれは間違ひである)は帝国主義どうしの醜い植民地争奪戦争であつた。教科書に西洋帝国主義と日本がそれを模倣したことを記述しないのはきわめて重大です。
一、(以下略)
一、これらは西洋の意識とは異なるものであり、西洋の影響を受けた国内の自称進歩人が本当は西洋から孤立することが嫌ひなのに露骨に云ふことは避けて、アジアから孤立するとさかんに叫んでいます。わが党は帝国主義や戦後の西洋資本主義陣営とは異なる立場を取りますが、日本全体にそれを求めることは不可能なため、せめてアジアの一員としての日本の立場を教科書に誠実かつ真剣に反映させるために奮闘します。

四月十八日(土) 共産党に投票
今回の特集を始めた五日と選挙当日に共産党から電話があり、もちろん私は共産党に投票した。県議会、市議会ともに共産党は当選しシロアリ民主党は落選し、私の希望どほりになつた。今回の選挙は共産党の当選とシロアリ民主党の落選だけを願つた。あと維新の会など新興保守政党も心の中で応援した。

それでは赤旗の記事である。十一日は「戦争立法 動き急」として28日には日米首脳会談が行われます。奇しくも63年前、旧日米安保条約が発効したのと同じ日に行われる首脳会談で、安倍晋三首相は戦争立法を最大の“手土産”にする狙いです。対米従属が、新たな段階に入る危険がありますとある。これ以上、対米従属を強めてはいけないから私は赤旗に賛成である。しかし最近別の考へも持つ。日本はアメリカの戦争に一回巻き込まれることで国民も独立の意義を学ぶ。丁度山を登る途中で道が二つに分かれる。一つは水平、もう一つは下り坂である。実は下り坂の道はすぐ登りに変り頂上に行ける。それが判らないと水平の道を選んでいつまでも同じ標高をさまよふ。共産党は、対米従属には反対、米軍との協同にも反対。しかし国の独立に役立つなら軍事に限つては協同を認める。ここまでは柔軟になるべきだ。
だからといつて辺野古埋め立ては絶対に認めてはいけない。17日の「地元同意」の論拠破たんでは
日本共産党の赤嶺政賢議員は16日の衆院安全保障委員会で、政府が1999年当時の沖縄県知事と名護市長の同意を持ち出して同市辺野古への新基地建設を推進していることについて、「計画の変更をめぐる経緯を無視したきわめて不当なやり方だ」と批判しました。(中略)中谷防衛相は「嘉手納町や沖縄市、北谷町で移設案に反対する姿勢が示された」と述べ、移設先となる自治体で反対が広がっていたことを認めました。

これは全面賛成である。

四月二十二日(水) アースデイ
19日は代々木公園で行はれた「アースデイ東京2015」の記事が載つた。
フェアトレード(公正な貿易)の雑貨や食品、無農薬・無化学肥料で栽培した農産物などが並びました。
フェアトレードなんて変な日本語を用いてはゐけない。どの程度不公正なのか実感が伝はつてこない。「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会が登場したとあるが、ノーベル賞は極めて西洋に偏向し佐藤栄作や大江建三郎の受賞は極めて不適格である。そもそも自衛隊が存在し、米軍が駐留(占領?)する以上、第9条は死文と化した。憲法を改正して自衛隊を認めるか、自衛隊を廃止するしかない。私は憲法を改正すべきだと思ふ。9条にノーベル平和賞なぞと偽善言辞を吐いてはいけない。

四月二十五日(土) アメリカに押し付けられた憲法
本来共産党は現憲法をブルジョワ憲法として批判しなくてはいけなかつたが、これは三十年前までの話である。プロレタリアとブルジョア、資本主義と社会主義とデジタル分類できるものではない。一方でアメリカは帝国主義、在日米軍は占領軍といふ感覚は今でも持つべきだ。なぜなら日本の内政はアメリカの圧力で大きく曲げられてきた。そればかりではない。アメリカのマスコミ小作で日本のマスコミは偏向の激しいものばかりになつてしまつた。このような中で現憲法をアメリカに押し付けられた憲法と指摘することは国民感情に合ふものである。
左翼は左翼崩れになる前から進歩史観を持つてゐた。しかしマルクスの時代は科学が進歩して社会が破壊された。その対策を考へた訳で社会を破壊することが目的ではない。社会が永久に進歩することはあり得ない。進歩して滅びるか、進歩と退化の循環かどちらかである。

四月二十六日(日) この内容だと左翼崩れになつてしまふ
二十四日には志位委員長の記者会見が載つた。
安倍首相の演説についていえば、私は、植民地支配終結と民族自決権を高らかにうたったバンドン会議の60周年という非常に重要な国際会議の場で、日本の首相が、過去の日本の歴史に対して、どういう基本認識を持っているかが問われたと思います。

バンドン会議は西洋列強のアジア植民地が戦後も完全に解消されないばかりか米英にその他の西欧を巻き込んでブロック化することに米ソ冷戦とは別の立場で欧米に反対しようとすることが目的である。日本が反省すべきは欧米の猿真似をしたことだ。志位氏の主張だと欧米の帝国主義を免罪し米英仏は正しくて日本は悪いといふ極めて偏向したものになる。
共産党がかつての社会党中間派くらいに堕落したのではと心配する。私は社会党最左派の社会主義協会のセクト性には反対だが左派の佐々木派(旧鈴木派)と右派で後の民社党、更に中間左派までは賛成である。しかし中間派の現村山富市派とシロアリ民主党派には絶対に反対である。
ところが志位氏のこの発言内容だと旧社会党中間派と全然変らない。

四月二十九日(水) バンドン会議閉幕の記事
二十五日のバンドン会議閉幕の記事はよかつた。
1955年のアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年を記念するアジア・アフリカ首脳会議は23日、「国際規範を損なう一方的行動」を非難する「バンドン・メッセージ2015」(首脳声明)を採択して閉幕しました。中東などで国連決議のない主権国家への軍事介入が相次いでいる事態を念頭に置いたものです。(中略)
首脳会議はパレスチナに関する宣言も採択し、2国家共存のもとでのパレスチナ独立を改めて支持。占領地からのイスラエルの撤退を強く求めました。(中略)
首脳声明は、民族自決と各国の平等、平和共存などを掲げるバンドン精神は「アジア・アフリカ諸国の関係を育む適切、有効で確かな基盤」であり、「引き続き地域的・世界的な共通課題の解決を導く」ものだと確認しました。


私は記事に全面賛成である。左翼と左翼崩れの違ひは、欧米の視線で世界を見るか、それともアジア、アフリカの視線で見るかによる。そのことに本日始めて気付いた。尤もかつて日本社会党が、アジア共産主義はよくて欧州社民主儀は駄目だとなぜ考へたかの理論でそれに類することは書いたことがある。


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