五百七十五、1.雇用共同アクション、2.最近急速に労組活動の熱意が冷めた

平成二十六甲午
六月七日(土)国会抗議要請行動
我々の労組の加盟する中小政策ネットと首都圏ネットはともに雇用共同アクションの参加団体である。その雇用共同アクションが参議院議員会館前抗議要請行動を行ひ、うちの労組は大動員を掛け私も会社が終了の後に参加した。
抗議集会に参加することは重要である。参加しないと労働組合は集金組織と化してしまふからである。専従にとつては給料をもらふための組織、非専従にとつては役職名や行動費をもらふための組織。そんなものにしてはいけない。
雇用共同アクションは全労連、全労協、その他中小組織が参加する。うちの組合はその他中小組織に該当する。中でも共産党系が熱心である。「雇用共同アクション」で検索すると共産党の機関紙「しんぶん赤旗」や全労連のページが上位に出てくる。
かつての総評や全国に革新知事市長を誕生させた社共共闘をほうふつさせる。あの当時は鉄鋼労連、全電通、電機労連、社会党江田派が社公民路線を取り共産党を排除したため崩壊してしまつた。ここで江田派は世間では右派と呼ばれたが、江田派は右派ではない。右派は既に民社党として社会党から独立したからである。江田派は西欧の社民党の真似を目指したのであり、いはば反共親西洋であつた。そんなものが昭和五十年までの日本で広く受け入れられる訳はなかつた。

六月七日(土)その二熱意が消失した理由
私が労組に熱意を失つた最初は五月二十日頃だつた。ある最高幹部が「私は左翼は嫌いです」と大勢の組合員の前で発言した。私自身は別に左翼ではない。特定の政治団体に属す訳ではないからである。しかし昨年十月に倒れ今は闘病中のA前副委員長は典型的な左翼だし、うちの労組が全労協全国一般東京労組内に結成されたときの東京労組の書記長には本人と東京労組に三顧の礼を以つてうちの労組も兼任して頂いてゐる。その全労協は典型的な左翼である。それなのに左翼が嫌ひだとなると組織の団結が保てない。
だからといつて私は右翼が嫌ひではない。うちの労組の副委員長の一人は石原元都知事の時代の尖閣諸島を都が購入する募金に応じた。私はアジアの連帯を重視する立場だから尖閣基金に賛成ではない。しかし国民の心情として募金に応じることは理解できる。
だから左翼も右翼もどちらとも国民全体のために連携する。これが私の立場である。

六月八日(日)陰で悪口を言つてはいけない
この最高幹部はここ三年ほど陰で他人の悪口をいふようになつた。これはよくない。組合が分裂して結成されたときの大会は人数も少なく来賓を少人数だが揃へて何とか体裁を整へた。そのとき来賓に来て頂いたからさぞ仲がよいのだらうと思つたがその後その人の悪口をいふようになつた。
私は影で他人の悪口は言はないようにしてゐる。或る男女関係の事件がある。私は本人には言つたが他人にはこれまでまつたく言はなかつた。唯一の例外は先日或る組合員がその件で質問をしたから、あれは双方とも独身だし不倫でも何でもなく純愛物語のこじれたものだと説明した。

六月八日(日)その二総資本対総労働
国会抗議要請行動では労働弁護団の挨拶で総資本対総労働といふ発言があつた。同感である。総資本対総労働の気持ちがなければ単産やナショナルセンターを結成してはいけない。私利私欲のための圧力団体になつてしまふ。だから大企業のユニオンショップ労組の単産とニセ労組シロアリ連合は解散すべきだ。その歪んだ圧力団体が今回の消費税増税といふ悪政を生んだ。
集会では他に共産党の小池副委員長、無所属の阿部知子衆議院議員などが来た。
福島みずほは本人ではなく秘書が来た。秘書が話す間、私は会場を背にして隣の反戦活動を見に行つた。聴くことを拒否した。福島みずほが消費税増税可決直後に護憲、護憲(当時亜倍は改憲を言つていなかつたから橋下氏に対して)と批判した発言は許し難い。その後、裏切り女で消費税増税賛成の辻元清美と護憲共同行動を取つたのも許し難い。社民党の消費税反対は口先だけだつたことが明らかになつた。

六月九日(月)議員に向かつて叫ばなくてはいけない
参議院議員会館の前で集会を開いた目的は議員に抗議と要請をするためである。ところが我々参加者に向かつて派遣法はこういふ問題点があると発言する人が多かつた。参加者はそのことが判るから大雨の中をびしよ濡れになりながら参加したのである。発言は議員会館に向かつて云はなくてはいけない。
今回の発言で総資本対総労働に次いでよかつたのは中曽根に言及した人である。中曽根の時代は日本は経済が毎年成長し給料も毎年増へた。そのようなときに派遣法を作つてもそれほど困る人はゐない。しかし中曽根のプラザ合意はその後のバブル経済で誤魔化されたがあれで国内の産業はめちやくちやになつた。消費税は中曽根が言ひ出し(当時は売上税)次の内閣で実現した。それを引き継いだのが菅、野田とその亜流の亜倍である。諸悪の根源は中曽根にある。

六月九日(月)その二非西洋批判の賛否はは内容による
日本人のアジア各国への批判は、経済が豊かな国から見ればアジアの国々は不十分に見える。 例へば私が小学生低学年の時に酒屋の軒下には「なくそう密輸入酒」といふ鉄製の看板が吊り下げられてゐた。 おそらく昭和三十八年辺りから密輸入酒はなくなつたがそれは経済が増加(かつては成長と呼んだが地球を破壊する行為を成長と呼ぶのは不適切なので増加に改めた)したからだ。 だから地球破壊活動の多い国が、より少ない国を民主主義や国内制度が不十分だのと批判することは許されない。
うちの組合で数年前から嫌なのは飲み会などで中国批判が出ることだ。 最高幹部の飲み会で毎回出てくる中国の文化への批判、例へば昔中国で捕虜だか罪人だかをまとめて生き埋めにしただとかの話はよくない。労働組合はどんな思想の人がゐても構はないからこれまでこのような発言も問題視せずに来たが、アジアの連携を重視する立場の私からすればこういふ発言は容認できない。 日本にも切腹だの殉死だの外国から見れば異様な制度があるからである。 それだけ取り出せば異様である。しかし全体から見れば永続の知恵のことが多い。
だから文化論や金持ち国の論理でアジアアフリカを批判することには反対である。 しかし労働組合だからいろいろな意見があるといふことで許容して来たのに、左翼は嫌いだといふことになると事情は異なる。

六月十日(火)示談屋になつてはいけない
二年ほど前に全国集会で、我々は示談屋になつてはいけないといふ発言があり、私もこの意見に賛成である。 労働組合は組合費で運営すべきであり、しかし退職条件で相談する人が多くその人たちは退職と同時にほとんどが脱退する。その際に解決金から一部をカンパとして労組で頂く。 相談者を困らせないため退職条件の交渉もするのであり、決してそれが組織の目的になつてはいけない。 四月の消費税増税でカンパ比率を2%上げるといふ話があつた。組合の経費にも消費税の3%増税は掛かるからそのうち2%分の負担をお願いするのは仕方がないかと半分賛成半分保留だつたが、そこに今回の左翼は嫌い発言である。 うちの労組の執行委員会はかつては左翼が多かつたが定年退職を機に執行委員を辞任したり病気で療養中だつたりと今は四割弱だらうか。 少数派だから切り捨ててよいといふことには絶対に反対である。右翼だらうと左翼だらうと切り捨ててはいけない。

六月十七日(火) 労働運動の良心はどこから生じるか
労働運動の良心は総資本対総労働からしか生じない。これは私の経験則である。だから中間派より 左派のほうがよい。一方で左派は政治団体にも所属し、その利害で行動することが過去に多数あつた。 或いは思考が硬直してゐる。これが総評の労働運動を弱めた。
労働運動の原動力は総資本対総労働のほかに自分の利害からも発生する。大手労組はまさにその 典型である。しかし中小労組でも自分の利害で活動する人は現れる。

六月十七日(火)その二 総資本対総労働とは何か
総資本対総労働は昭和五十年前半までは多くの国民に共有されてゐた。その後、これが死語と化した のは国鉄スト権ストの敗北と米ソ冷戦の終結である。だからその後は労使協調を獲得することを総資本 対総労働とすべきだ。
このようにいふとそれでは穏健過ぎると思ふだらう。しかし考へてみてほしい。世の中は悪質な退職勧奨 、長時間労働による精神疾患や、非正規雇用による出生率低下が続出してゐる。労使協調は本来は当 たり前の話だがここまで持つて行くことが重要である。
と同時にこんな当たり前のことさへ労働組合がないと達成できない資本主義は悪魔の思想であり撲滅を 目指すべきだ。つまり昭和五十年辺りまでの日本社会党である。

六月十九日(木) 本当の良心はどこから発生するか
一昨日「労働運動の良心は総資本対総労働からしか生じない」と書いたが、本当の良心は伝統心から 生じる。伝統心で語弊があれば宗教心である。人間がこれまで存続できたその伝統の心である。それを 破壊したのが資本主義であり、その対策が社会主義である。
但し左翼崩れは駄目である。伝統破壊の元凶たるアメリカの民主主義をありがたがる。アメリカは 武力と資源浪費で他国の文化を破壊するのだから今でも帝国主義である。
全労協もかつての総評左派から限りなく左翼崩れに近づいた。中小労組の活動家にはその傾向 はない。中小には生活の息吹があるからである。全労協は公務員組合が主導するのではなく民間を 支援する立場に一歩下がつてもらつたほうがよい。公務員が主導すると生活の息吹がなくなり文化破壊 になる。
弁証法的唯物論で良心を生むには党幹部を含めて仕事のローテーションが必要である。中国も ベトナムも北朝鮮も、党幹部を勤めたら翌年は一労働者に戻る。さうしないと良心は生まれない。(完)


右派と左派が共存する国、共存する党、共存する社会(その二)

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