四百五十七、首都高速道路(株)と横浜市は嘘をついてゐないか(消費税増税は拒否しよう、國交省・環境省・総務省編)


平成25年
七月二十六日(金)「低濃度度脱硝装置」
現在建設中の高速横浜環状北線はトンネル区間が多いから、3箇所の換気所が作られる。トンネルから外に放出されるから、集塵装置と脱硝装置を実験中である。さういふ説明が12年前にあつた。それから九年後横浜市道路局の作成した文書には次のやうにある。
本市は、北線の計画されている周辺地域に対する環境保全対策を実施する必要があると考え、各換気所への低濃度脱硝装置の設置について、関係機関に働きかけを行ってまいりました。
その後、首都高にて検討を続けておりましたが、昨日12月9日、本市あてに「首都高にて総合的に判断した結果、北線の各換気所に低濃度脱硝装置を設置することとしました」との報告がありました。


低濃度脱硝装置の説明が次に載つてゐる。
低濃度脱硝装置とは、換気ガス中に含まれる二酸化窒素(NO2)を除去する装置です。SPM(浮遊粒子状物質)除去装置(電気集じん機)も併せて設置します。


七月二十七日(土)「一酸化窒素は除去されない、その一」
工場の排出ガスや自動車の排気ガスは高濃度である。それに対し一旦トンネル内に出たガスは低濃度である。だから低濃度脱硝装置と呼ぶのだが、ここに疑惑が一つある。自動車の排気ガスには二酸化窒素は少ない。ほとんどが一酸化窒素である。一酸化窒素は大気中で二酸化窒素になる。だからトンネルの中は一酸化窒素が多い。二酸化窒素だけを除去しても意味がない。

次に首都高速道路株式会社のホームページを調べると、中央環状新宿線にある九箇所の換気所にこの装置が設置されてゐる。そして浮遊粒子状物質の80%以上、二酸化窒素の90%以上を除去すると書かれてゐる。九箇所の実測値も載つてゐる。西新宿換気所を見ると

平成25年6月1日から25年6月30日
日付備考低濃度脱硝装置
入口濃度〔ppm〕
低濃度脱硝装置
出口濃度〔ppm〕
二酸化窒素(NO2)
除去率〔%〕
6月1日0.3990.02195
6月2日0.1780.01293
6月3日0.4080.01995
6月4日0.4790.02495
6月5日0.4450.02195
6月6日0.3240.01496
6月7日0.4560.01896
6月8日0.3400.01496
6月9日0.1870.01095
6月10日0.4270.01596
6月11日0.4340.01497
6月12日0.4230.01596
6月13日0.2730.00797
6月14日0.3070.00997
6月15日0.2290.00897
6月16日0.1220.00695
6月17日0.3410.01396
6月18日0.3630.00998
6月19日0.3260.01097
6月20日0.3970.01297
6月21日0.3100.01196
6月22日0.2850.00997
6月23日0.1840.00796
6月24日0.3210.01396
6月25日0.5060.02296
6月26日0.3450.01596
6月27日0.3680.01197
6月28日0.4150.01896
6月29日0.3260.01695
6月30日0.2000.00896
このようなデータが九箇所分ある。羅列することに意味があるのだらうか。平均を表示すれば済む。大量のデータを表示することで除去率が高いことを印象付けやうとしたのだらう。

七月二十七日(土)その二「一酸化窒素は除去されない、その二」
私の知りたいのは一酸化窒素の濃度だ。首都高速道路(株)は発表してゐないからインターネツトを探して2002年のNGOいのちと環境ネットワーク長野晃氏のレポートを見つけた。長野氏は単位にppbを使つてゐる。1000ppbが1ppmである。
(前略)京浜島の国土交通省による「道路トンネルにかかる低濃度脱硝技術―第二パイロットスケール実験」の現場を見学しました。 実験は「首都高速道路湾岸線空港北トンネル京浜換気所」に設置された二つの処理装置で昨年から実施され、(中略)吸着型の装置の稼動状態を数字で表している計基盤を見てびっくりしました。たしかに、二酸化窒素(NO2)は入り口で一一六・五ppb、出口で九・五ppb、脱硝率九二%です。しかし、もうひとつの窒素酸化物、一酸化窒素(NO)は入り口で八八三ppbですが出口は八七七ppbで脱硝率は〇・七%にすぎません。 次に見た、吸収型脱硝装置の場合、入り口三一ppb、出口0ppb、脱硝率は九九・九%と表示されていましたが、一酸化窒素(NO)は入り口六〇二ppb、出口五四四ppb(脱硝率九・六%)です。 わたしは、これでは、ディーゼルエンジンのなかで発生した窒素酸化物の多くを占める一酸化窒素(NO)はほとんどとれず、大気環境に出て行くと思いました。そこにいた担当者に聞いたところ、「P1実験では窒素酸化物(NOX)全体を除去する実験をおこなっていたが、コストのことも含め、二酸化窒素(NO2)だけを除去する方法に絞り込んだ」という説明を受けました。 一〇年ほど前に、フィールド実験を見に来た時には、レーザーや電子ビームなどをつかって窒素酸化物を、窒素と酸素に分解する技術などさまさまな方法が実験されていたのを思い出しました。たしか、一酸化窒素を電子ビームで破壊し、窒素(N2)と酸素(O2)にするとか、一酸化窒素(NO)をオゾンなどで参加して二酸化窒素(NO2)=酸にして、それをアルカリで除去するなどの技術の実験がおこなわれていたと思います。


七月二十七日(土)その三「一酸化窒素は除去されない、その三」
一酸化窒素を除去する技術がないなら仕方がない。しかしインターネツトを探すと「日本産業機械工業会会長賞」を受賞した西松建設株式会社の「トンネル/沿道のNOX・SPM同時除去システム」がある。二つのタイプがあり
本システムの脱硝タイプとしては、酸化装置を付加したNOx 除去タイプと付加しないNO2 除去タイプがあり、発注者仕様に応じて両タイプを適宜選択することができる
とある。つまり酸化装置を付加したタイプを使へばよい。なぜ付加しないタイプを選び、そのことは一言も言はずそれでゐて二酸化窒素だけのデータを大量に表示するのか。

七月二十八日(日)「国土交通省の怠慢」
国土交通省のレーザーや電子ビームを使ふ実験は如何にも大げさである。しかも実用化はされなかつた。それに対して西松建設の開発したものは実用化され日本産業機械工業会会長賞も受賞した。
国土交通省は税金の無駄である。消費税を上げる必要はない。

七月二十九日(月)「環境省の怠慢」
工場からの排出基準は窒素酸化物(一酸化窒素+二酸化窒素)である。ところが環境基準は二酸化窒素のみである。環境基準を根拠に二酸化窒素のみを計測し空気が浄化されたと主張する輩が現れないとも限らない。といふか既に現れてゐる。首都高速道路株式会社のホームページによると

二酸化窒素の年間測定結果(平成23年度)
監 視 局時間値の
年平均値(ppm)
日平均値の
年間98%値(ppm)
環境基準の
達成状況
羽田0.0260.046
目黒0.0270.046
護国寺0.023※0.039※
加平0.0290.052
三郷0.0230.036
枝川0.0340.058
0.0240.046
堀船0.0250.048
滝野川0.0270.047
西新宿0.0270.047
汐入0.0280.051
元町0.0310.051
中村小0.0250.047
永田町0.0220.043
大師0.0270.047
錦町0.0320.054
※ 護国寺については、補正処理後の測定値です。

七月三十一日(水)「環境省の怠慢」
環境省の怠慢とともに、それを悪用する首都高速道路株式会社、監督責任を果たさない国土交通省も許し難い。民間では考へられない怠慢である。横浜市の報告書も怠慢である。全国の各自治体で同じやうなことが起きる。政策は各自治体の特長を出すべきだが情報は共有すべきだ。さうしないと同じ調査を各自治体が繰り返すことになる。昔の自治省、今の総務省も怠慢だ。中央から地方への出向は禁止すべきだ。
消費税増税は必要ない。これらの無駄な役所をリストラすればよい。(完)


(消費税反対その四十九)へ (消費税反対その五十一)へ

メニューへ戻る 前へ 次へ