四百四十六(丙)、偏向記事見本東京パンフレツト(自称東京新聞)七月十九日朝刊


平成25年
七月二十日(土)「七月十九日朝刊」
東京パンフレツト(自称東京新聞)七月十九日朝刊は偏向記事の見本として国内の新聞マスコミ研究者に必読である。とはいへ毎月購読すると中日パンフレツト東京本社(自称中日新聞東京本社)の思ふつぼである。図書館で読むのがよい。

朝刊一面の先頭には「改憲 もつてのほか」といふ2cm×2cmの見出し。同じく宮崎駿監督 いま 声を大にといふ1.5cm×1.5cmの黒抜き見出し。前者と後者は一辺が0.5cmしか違はないが面積は4平方cmと2.25平方cmといふことで前者がはるかに大きい。しかし後者は黒抜きだから目立つ。といふことで見出しが両方目立つ記事である。それだけ二つの見出しを目出つやうにしたのだから、さぞ重大な記事だらうと思ふがスタジオジプリが毎月発行する小冊子の記事である。
宮崎氏の主張であれば内容に寄らず賛成できるはずだ。しかし東京パンフレツトに載ると実に嫌な印象を与える。このパンフレツト社(自称新聞社)はよほど能力が劣るのだらう。護憲に嫌悪感を持つ読者をわざわざ大量生産してゐる。と言ひたいが東京パンフレツトを読む人はそれほど多くはない。他の全国紙は政党の広告がたくさん載るのに東京パンフレツトはほとんど載らない。全国紙に大差を付けられた。そもそも偏向記事が載るのは東京地域だけで愛知、北陸などは載らないのではないか。全国紙の体をなしてゐない。

七月二十一日(日)「守るのは九条なのか拝米なのか」
憲法9条と照らし合わせると、自衛隊はいかにもおかしい。おかしいけれど、そのほうがいい。

かつての社会党総評ブロツク時代の護憲運動は第九条を守れといふもので、これは自衛隊が第九条に違反するから政府は憲法に従へといふことを中心に、だからといつて憲法第九条そのものを変へるのは駄目だよといふものだつた。
宮崎氏の主張はこれではなく、五五年体制の自民党の主張そのものである。 これまでこの形態で存在したのだから今後もこの形で行くことに私も反対ではない。しかし最近の世論調査を見ると改憲賛成のほうが多い。これは今までの政治に国民が失望したものだ。だから改憲は賛成だが悪い方向に向はせないやう、九条を現状に合はせる或いはアメリカに押し付けられた直訳部分を改正することで国民を納得させるべきだ。
今回の改憲論議は九条を守るかだうかのほかに、拝米を守るかだうかが係はる。拝マツカーサといつてもよい。宮崎氏の主張は九条とそれに関係して九十六条である。ところが東京パンフレツトは一面の先頭で憲法全文つまり後者である印象を読者に与えた。この偏向はもはや新聞失格である。

七月二十一日(日)その二「深沢晟雄村長」
東京パンフレツトの一面左側は「7.21参院選 岐路 憲法を歩く」といふ記事が載る。岩手県和賀郡沢内村(現、西和賀町)の深沢晟雄(まさお)村長が全国で初めて乳児と高齢者の医療費無料を実現した。国と県から国民健康保険法に違反すると指摘されたが「憲法には違反しない」と押し通した。
立派である。普通は国や県から言はれたら補助金を減らされるのではないか、次の選挙で落選するのではないかと心配になる。似たやうな例に、米軍が存在することは違憲である。なぜなら憲法第九条の武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄するといふ以上は、戦争と威嚇と武力行使を目的とする米軍が存在してはいけないからだ。米軍が戦争と威嚇と武力行使以外に日本に駐留するはずがない。政治家ならいつかは米軍に退去をお願ひすべきだが、田中角栄氏がロッキード事件で逮捕されてからは、米軍が恐くて何もいへなくなつた。日本の政治家は深沢氏を見習ふべきだ。
さて深沢氏は憲法に違反しないとは言つたが憲法を一切変へるなとは言つてはゐない。憲法に違反しないことと憲法を改正しないことは意味が違ふ。中日パンフレツト東京本社の上層部はそんなことも知らないらしい。
それにしても一面の右上は「改憲 もつてのほか」、左側は「7.21参院選 岐路 憲法を歩く」。一面の2/3をこんなガラクタ記事で埋めながら読者から3250円も取り、しかも新聞を自称するとは「もつてのほか」である。

七月二十一日(日)その三「こちら特報部」
こちら特報部については以前もその劣悪さを指摘した。今回もひどい内容である。
安倍政権の発足以来、日本自動車工業会の統計では、四輪の自動車の輸出は昨年十~十二月は百十六万台だったが、今年一~三月は百十二万台に減少している。

輸出台数は季節で変化する。比較するなら同じ月どうしを比較しなければ意味がない。しかも円安になつて暫くして小売価格を下げる。或いは小売店へのリベートを設ける。さうすれば販売台数が増へて輸出も増える。円安になつた前後の三ヶ月間を比較して台数が増へる訳がないではないか。トヨタ自動車が昨年度の連結決算で増収増益になつたことについて
宮崎准教授は「円安になったことで帳簿上の利益が増えたに過ぎない」と言い切る。

これでは何のことか判らないが宮崎氏の責任ではない。編集の仕方が粗悪である。私も判らないから売り掛け金と買い掛け金の為替レート差か、或いは原料輸入と製品輸出の差か、などいろいろ考へたがもしかするとドル建ての利益を円に換算すると高くなる。それだけのことではないのか。素人なみのずいぶん雑な編集である。アベノミクスとは別の道はあり得るかといふ質問に対し、日本総研の主席研究員の
「経済を活性化させるには、若い労働者の給料をまず引き上げるべきだ」「若者の給料は安く、買いたい物が買えないのが現状だ(以下略)」

これには反対である。若者の給料が安いのではなく非正規雇用の増大が原因だ。非正規雇用は消費を下げ労働力の無駄使ひでもあるから二重に経済を停滞させる。そればかりか少子化や病気の増大など社会を不安定にする。この研究員は円安についても間違つたことを述べてゐる。
燃料や食料品価格が上がれば、内需に頼る企業や個人の生活を圧迫する。今の日本は円高の方がプラスに働く

どこが間違つてゐるかといふと、日本はプラザ合意以降の円高でデフレ傾向が続き、物は有り余るから贅沢になつた。ここは少しでも高度経済成長に近付けるため円安にすべきだ。それによる値上げは等しく国民すべてで忍耐すべきだ。「こちら特報部」は結論として或る教授のいふ
『ゼロ成長』を前提にムダな公共事業はやめて医療や福祉など、命を守る社会基盤に財政支出する。そのために、企業からも個人からも応分の負担を求めるべきだ

当ホームページは直接税と間接税を応分に上げることを主張してゐる。消費税だけを上げるといふマスコミの度重なる洗脳行為も批判してきた。何を今さら応分かと言ひたい。諸悪の根源は我田引水のマスコミである。ニセマスコミを解体すれば日本は再生する。(完)


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