四百四十五、草取り日誌(その一)


平成25年
七月七日(日)「今年から除草剤を使はない理由」
我が家には庭がある。近所を見回すと一番広い。といつて我が家が一番裕福な訳ではない。周りはほとんど自家用車を持つ。そして既に建て替へた家が多い。建て替へるとき家を後方に移動し前面を駐車場にする。我が家は十数年前に中古を購入しまだ建て替へてはゐない。といふことで我が家はささやかではあるが庭があることと、家がこの辺りで二番目に古いことが自慢である。なぜ古いことが自慢なのかと云へば、木材の有効利用になる。地球温暖化防止に貢献してゐるのである。
今年はビルトツテン氏を見習つて庭に胡瓜と苦瓜を植へた。毎朝水をやるついでに雑草を抜くことにした。これで昨年まで使つた除草剤を省略できる。ここでも環境保護に役立つ。

七月八日(月)「腹黒シロアリの出現か」
草取りは素早くやるのがこつである。時間を掛けると蚊に刺される。窓を開けないうちにやるのも有効である。窓を開けると蚊が家に寄つてくるから外に出るとすぐ食はれる。
昨日は家の中を虫が飛ぶから手を叩いたが逃げられた。その後、網戸に止まつた。見ると黒いシロアリである。いつまでも飛ばないから腹黒シロアリもお腹が空いて飛べないのか窓を開けて逃がさうかとも思つたが、家を食ひ荒す悪いやつだから紙で潰した。すると赤い血が出た。血を吸つて太つた蚊だつた。

七月九日(火)「雑草の成長速度」
草を採つても翌日には草が生へる。雑草の成長速度には驚く。昔は農家の日常業務は草取りだつたのだらう。田植へと収穫は大変である。しかし時期が限られてゐる。草取りは数日やらないと大変なことになる。
今は除草剤がある。除草剤は環境を破壊する。除草剤使用禁止を世界で決めたらだうか。移民国は先住民や野生生物の土地を盗んだとんでもない連中である。そんな国が除草剤を大量に使ひ、安価に食物を生産するのは許されない。世界は除草剤の禁止を決めるべきだ。従はない国からは農作物も工業製品も輸入しない。これくらいしないと生態系は守れない。

七月十日(水)「肥料」
今日は百円シヨツプで購入した肥料を撒いた。妻が除草剤も買つてきたが、これは使はなくていいように庭の隅の雑草を抜いた。いつも野菜の周辺と庭を一通り抜くが、隅が目立つやうになつてきた。

七月十一日(木)「雑草の成長速度と蚊の出現速度」
草取りは、雑草の成長速度と蚊の出現速度との勝負である。雑草の成長が早くなつた。草をむしつても翌日には同じ高さになる。しかも早く終了させないと蚊が出現する。今日は蚊を数匹追い払つたり潰したりしながらの作業だつた。

七月十二日(金)「根から取つたはうがよいのでは」
昨日辺りから気が付いたことがある。草取りは葉つぱをむしるだけだから根が残る。だから翌日は前日と同じ高さになるのではないか。あまり無理に引つ張つて土が掘り返され元々植はつてゐる植木に害があるといけないので無理に引き抜くことはしなかつた。春だと小さな雑草は根から抜けることもあり、その場合は土に戻して再生するといけないから根元を切り離したり、コンクリートの上に置いて乾燥させたりした。今の時期は雑草も頑固で根からは抜けない。蚊が来ないうちに早くやらうとする理由もある。
あと、雑草を刈ると昆虫がときどき飛び出す。昆虫の餌を残さうとすると草刈りが不十分になる。

七月十三日(土)「草を刈ると手に土が付く」
最初は野菜に水をやつてから草を採つた。終つたあと家に入り手を洗ふと土が手に付いてゐる。少しだが下水に流れるからその後は、草を採つてから水をやることにした。その時に手を洗ふ。土を元の場所に返さうといふ発想である。
靴も同じである。最初は蚊に食はれないやうに靴を履いて水をやつた。靴は朝食が済んだ後に通勤に履く。あるとき靴の裏を見ると土が付いてゐる。これだと道路を歩くうちに土が道路に僅かだが散乱する。それを防ぐため毎日同じサンダルで水をやるやうにした。
人間は生活しても自然は元に返す。その発想が必要である。だから化石燃料はすぐに停止すべきだ。

七月十八日(金)「兼業農家が普通だ」
兼業農家ではなく専業農家を支援すべきだといふ意見が一時、偏向マスコミにさかんに登場した。そのときは私もそんなものかと思つた。しかし我が家も家庭菜園(といつても苦瓜ときゅうりが数本づつだが)をやつて判つたのだが、雑草取りの労力たるや大変なものである。前日取つたのと同じくらい次の日には伸びる。除草剤があればその分の労力が余る。兼業農家をやるのは当たり前だ。
首都圏、中京、近畿以外では労働者は兼業農家を基準にしたらだうか。賃金を上げるだけではなく米や麦や果実や酪農の価格も、労働組合は考慮すべきだ。二男や三男で田畑のない人はだうするか。今は少子化だから婿に行くほか旧総評の残存組織(地区労など)で対策すべきだ。(完)


(その二)へ

メニューへ戻る 前へ 次へ