四百四十五、草取り日誌(その二)


平成25年
八月六日(火)「物干しを登つた部分が下ろされた」
先週まで胡瓜と苦瓜は二階の物干しの手すりを登り続けた。物干しの手すりは金属製の縦長の棒なので、胡瓜と苦瓜にとつて絡まるのが苦手らしい。どちらもひげを出して絡まらうとしても、ひげが滑つてしまふらしい。だから私が洗濯物を干すときに手でひげを絡ませてゐた。一回絡むとあとは自力で毎日手すりをよじ登つて行く。
ところが日曜によじ登る茎がすべて物干しに落とされてゐた。確かにあれだと布団を干せない。よじ登つた茎が物干しに折り重なつただけだから大丈夫とは思ふが、日照不足にならないか心配である。

八月七日(水)「雑草の伸びるのは速い」
雑草は取つても翌日は同じくらいに伸びる。最初は判らなくて狐に騙されたやうな気分だつた。庭全体を取るのは簡単である、狭いから。しかし蚊に食はれるから手つ取り早く庭の半分くらいを刈り、植木に水をやるついでに手に付いた土を洗い終了させる。
刈る場所は日毎に入れ替へるが、雨で日が空くことがある。するとかなり伸びる。家庭内の其の筋からのお達しで「向うの端が伸びた」と行政指導があつたときは翌日その場所を優先させる。

八月八日(木)「歯が黄色くなつてきた」
茎の下のほうの葉が黄色くなつてきた。最初は、物干しの手すりを上がつた茎を物干しに下げたのが原因かと心配した。しかし物干しは黄色くなつてゐない。下のほうから紅葉が始まつたのかも知れない。なにしろ昨日は立秋である。
立秋は意味がある。人間は気候に慣れるから、気温が同じでも秋の気配を感じるやうになる。今年は梅雨明けが異常に早かつたから植物もそろそろ秋を感じたのであらう。

八月十日(土)「苦瓜収穫」
昨日と今日で苦瓜を収穫した。一つが緑、一つが一部黄色、二つがだいだい色、二つがだいだい色で破裂である。緑が変色するとあつといふ間に色が変り、変つたものも食べられるが栄養が失はれるさうだ。破裂した二つは廃棄した。

八月十三日(火)「二つがその後破裂」
だいだい色の二つは収穫してゐたが昨日破裂したので廃棄した。一部が黄色のものは全体がだいだい色になつてきた。緑のうちに収穫しないと熟成して破裂することが判つた。
破裂したものは廃棄してきたが食べられると思ふ。次に破裂したら調理して食べてみようと思ふ。

八月十四日(水)「物干しの上まで達した」
昨日はつるが物干しの柱を登つて上に達した。朝干した小物干しに夜はつるがからんで来たから今朝は別の場所に干した。苦瓜に、つるべとられて、貰ひ水。何か状況が少し違ふやうな気がする。
今朝は肥料をやつた。キュウリは花は咲くが実がならない。

八月十七日(土)「緑の一つも廃棄」
収穫したらその状態で固定されると思つたらそれは外側の色だけらしい。水が出て来たといふので捨てられてしまつた。といふことでこれまで収穫したものはすべて破棄し本日収穫したものをさつそく食べた。これまでのところ一将功為つて六骨枯るであつた。しかし苦瓜はまだよい。きゅうりは一つも採れない。花は沢山咲くのだが。

八月二十一日(水)「他の植木にも水」
一昨日から他の植木にも水を撒くことにした。暑さで土が乾いてきた。しかし雑草が毎日伸びるから、土の中は乾いてゐないのかも知れない。

八月二十七日(火)「半分黄色になつたものを食べてみた」
先日妻が緑を一つ採り皆で食べた。今日は下半分が黄色になつたものを私が採つたが妻は食べられないといふ。私は食べられると思ふから塩でアク抜きをして一人で食べた。黄色でも固さは緑と変らなかつた。

八月二十九日(木)「小物干しに絡まる」
昨日はつるが伸びて小物干しにまで絡まつた。いつまでも際限なく茎が伸びるが実ができない。不思議である。
笹のような雑草がある。茎と根が固く土の中が残つてしまふ。昨日から無理やり抜くやうにした。20cm位の深さまで伸びた根がすつぽり抜ける。しかし指が痛くなる。

八月三十一日(土)「だいだい色のものを食してみた」
今日は黄色のものとだいだい色のものを採つた。だいだい色のものは包丁で切るとき一部が崩れた。しかし痛んでゐる訳ではないのであく抜きをして一応沸騰させて食べてみた。インターネツトで調べると、だいだい色になつたものは変な味がして栄養が少ないが食べられるとある。たしかにあく抜きをしてもだいだい色のものは味が苦い。栄養はカロチンのことを言つてゐるのだらうがカロチン自体は緑色ではないからいろが変つても少なくはならないと思ふ。

九月八日(日)「五個収穫」
ここ三日間で苦瓜を五個収穫した。早く食べないと悪くなるのではと、一個を自分で調理し全部食べた。妻が調理すると油で炒めて肉など他のものと混ぜるが、私の場合はあく抜きをして煮るだけである。
本日は肥料をやつた。数日前に水を撒くときに使ふ洗面器の底に穴があいた。キュウリは1つも生らない。

九月十四日(土)「四個を昼食に」
一個を私があく抜きして一人で食べ、翌日あたりに妻が一個調理し皆で食べた。四個を私が毎日あく抜きして会社に持つて行き昼食のときに食べた。昼食に野菜を買はなくて済むので百円くらいの節訳になる。
今まで通算で二個を家族全員で食べ、九個を私一人で食べ、六個を破棄した。これとは別にだいだい色で破裂して地面に飛び散つたものが四個くらいある。
今でも黄色の花が多数咲く。きゅうりの花かと思つてゐたが苦瓜の花らしい。昨日は花に蛾が来た。自然界にもこの花が役立つてゐるのだと嬉しく感じた。

九月十七日(火)「台風」
昨日は台風が通過した。苦瓜は網に絡まつて上に登つてゐるが、ネットが大きく揺れるので庭に出ると、ネットを下側で止めるプラスチック製の棒がすべて抜けてゐた。再び土に埋めたが風でネットが揺さぶられるとまた抜ける。なのでそのまま放置することにした。
台風通過後に見ると、苦瓜は土から出たところの茎が太い。これなら風にも負けないと思つた。物干しに苦瓜が一つ落ちたので、あく抜きをして昼食用に会社に持つて行つた。

九月十九日(木)「草取り中止」
私がこれまで毎日草取りをして来たのは、除草剤を使はれないためと雑草を一般ゴミとして捨てると土地が痩せるためである。ところが毎日草取りし土を覆つてゐた枯れ草をゴミ袋に入れられたため、草取りをする気がしなくなり今日から中止した。
秋になり雑草がそれほど伸びず除草剤を使はれる心配が少なくなつたためでもあるが、生態系に役立たないから今後は来年以降もやらないことにした。その分、ホームページを作つたほうが世の中の役に立つ。しかし苦瓜はまだ三つほど成り、花も二十くらいは咲いてゐるから草取り日誌は続ける予定である。

九月二十日(金)「花は咲くが実がならず」
最盛期には黄色く小さな花が五十近く咲いた。そのうち実がなるのは一つか二つである。人工授精をしないと実ができないのかも知れない。朝夕寒くなつてためか実が小さいのに一つがだいだい色に変色した。一つは下に落ちてゐた。両方合せて一つ分だから会社で昼に食べた。
それ以外に二つ採り、こちらは急いで食べる必要はないから食卓に置いておいた。妻が調理するか、しないなら私が一つづつ食べることになる。夜家に帰つたら調理してあつた。

九月二十一日(土)「肥料をやつた」
実が大きくならないから今日は肥料をやつた。気温が朝晩下がったのが原因だと思ふが一応肥料をやつた。
妻ははやく撤去したいらしい。その理由は蟻や蜘蛛が二階にくるらしい。なるほどベランダの柱は蟻には昇りにくい。植物の茎なら昇りやすい。

九月二十二日(日)「葉が黄色くなつてきた」
昨日緑のものを一つ、今朝突然半分黄色くなつたものを一つ採つた。半分黄色くなつたものは妻が腐つてゐるといふので腐つてはゐないといふことで朝、私があく抜きして食べた。
台風が行つてから葉がしなびた。本日は葉がだんだん黄色くなつたことに気付いた。

九月二十四日(火)「台所に四つ」
昨日妻が二つ収穫し、よく見ると目立たない位置に一つあるので私が収穫した。台所に合計四つある。悪くなるといけないので一つ昼用に持つて行つた。

九月二十七日(金)「一つ収穫」
その翌日小さな二つを昼に食べた。あく抜きに塩を入れるのを忘れたが味に変わりはなかつた。妻が一つ調理した。台所にない状態が一日続いたが、今朝一つ収穫した。

九月二十九日(日)「蔓を撤去」
私はこれまで時期尚早と反対したのだが本日蔓を撤去することになつた。三つ収穫し四つになつたが、蔓が上るための網と蔓が撤去された。(完)


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