三百六十二(乙)、東京新聞は小型朝日新聞と化した(平和を重視するふりをして帝国主義を賞賛する)


平成25年
三月八日(金)「帝国主義を賞賛」
東京新聞はときどき偏向のひどい記事が載る。三月八日の社会欄は東京大空襲の記事だが、戦勝しさうなのに戦争に反対といふ平和運動なら賛成である。例へば日露戦争前の幸徳秋水たちである。もつとも万朝報を退社の後に新たに始めた新聞が明治政府の弾圧で廃刊になり幸徳秋水は入獄もした。渡米ののち文化性を喪失しつひに死刑になるがそれは後の話である。
拝米偏向新聞には特徴がある。戦争の悲惨さを書くふりをして読者を拝米にするといふ手の混んだやり方である。

三月九日(土)「低質記事の例」
大空襲とは無関係だが、東京新聞に早速、低質な記事が載つた。低質記事なんか取り上げたくないが、大手マスコミによる小沢潰し、消費税増税のための財政危機を煽る記事、総選挙の時の維新やみんなの党だけを取り上げる偏向はひどすぎる。消費税増税が撤回されるまで大手マスコミを攻撃し続けようではないか。横浜版に載つた鶴見区と石川県輪島市が友好交流協定を結んだといふ記事である。
輪島市門前町には一九一一(明治四十四)年まで曹洞宗大本山が置かれた総持寺祖院があった。鶴見区の総持寺は祖院が移転した寺で、石原裕次郎さんの墓があることで知られる。


この記事によれば総持寺祖院といふ曹洞宗大本山が明治四十四年鶴見に移転し総持寺となつた。「大本山が置かれた」と過去形だから大本山は鶴見の総持寺には置かれてゐない。同じく「総持寺祖院があった」と過去形だから輪島市門前町には寺はない。総持寺は石原裕次郎さんの墓以外には取り立てて有名なことはない。さう解釈するのが普通である。
ところが正しくは、大本山の総持寺が鶴見に移転した。輪島市の跡地は総持寺祖院となつた。実に判りやすい。なぜこんな回りくどい記事を書くのか。

三月十日(日)「放射性トリチウム」
十日の朝刊の一面トツプに、福島第一原発の「急造タンク群 3年後破綻」といふ記事が載つた。その中の「準備中の新たな除染装置が稼動すれば、約六十種類の放射性物質は除去されるが、放射性トリチウムは残り、海への放出はできない」はひどい。
放射性トリチウムといふ物質はない。トリチウムは三重水素ともいふが昭和四十六年ころからトリチウムといふ言ひ方が出てきた。トリチウムは普通の水素より中性子が二個多くベータ線を放出しヘリウムに崩壊する。このベータ線は弱いから水中ではすぐ停止する。つまり外部被爆は無視してよい。しかし体内に入ると内部被爆を起こす。
トリチウムは放射性だから放射性トリチウムといふ言ひ方はない。どうしても放射性だと言ひたければ、放射性物質のトリチウムといふべきだ。東京新聞には解説も載つてゐる。これが本文以上にひどい。
放射性トリチウム  原子炉内で発生する放射性物質の一つで、三重水素とも呼ばれる。水と非常に似た性質のため、現在、大量に処理する技術はない。(以下略)
水素と水はまつたく似てゐない。水素は気体で火をつければ燃える。水は液体で火をつけても燃えない。ところがこの解説は三重水素と水が似てゐるといふ。冗談ではない。三重水素原子は重さが普通の水素原子の三倍だけであとは変らない。それなのになぜ水素と水が似てゐるのか。中学生でも理科が好きな子供なら三重水素と水の違ひは知つてゐる。理科が嫌いでも高校生なら皆が知つてゐる。
再販制度と数紙しか存在しない全国紙と終身雇用制だから、このような駄文記事が現れる。

三月十二日(火)「偽善平和運動」
平成年間に入り、日本の平和運動は変になつた。朝日新聞や小型朝日新聞は、米軍の存在を認めたままで平和を叫ぶ。当時の帝国主義どうしの醜い植民地獲得戦争を無視して日本だけを批判して西洋を誉める。或いは日独伊だけを批判して米英を誉める。丸山真男ではあるまいしそんな平和運動ではいけない。
偽善平和運動は国民を国益に向はせる。国民を平和に向はせるには、戦前の列強は日本を含めて帝国主義だつた、戦後も戦勝国は植民地を手放さうとはしなかつた、第一次世界大戦の後に平和を唱へてもそれは植民地の現状維持を狙つてのことだつた。さういふことをきちんと言論すれば国民は平和に向ふ。日本は間違つてゐて米英は正しかつたなどと帝国主義丸出しの偽善記事ばかり書くから、国民は尖閣諸島問題にはけ口を求める。

三月十三日(水)「恥の上塗り」
東京新聞が恥の上塗りの記事を書いた。十日の朝刊で代々木公園での原発反対集会を報じたことについて昨日、「ノーベル賞作家の大江建三郎さんから誤りを指摘されました。」と書いた。
まづここからしておかしい。大江建三郎の発言内容とノーベル文学賞を受賞したかだうかは関係ない。発言内容が受賞の理由となつたのなら別だが。もし国民がノーベル賞受賞に適切だと思つてゐるならわざわざ記事で断る必要はない。「全国紙の新聞社である中日新聞社は」といちいち断るやうなものだ。ノーベル文学賞選考委員会は日本語を読んだ訳ではないし、そろそろアジアから出さないとバランスが取れないと選んだだけではないのか。それなのに東京新聞はノーベル賞作家の大江建三郎さんと、ノーベル賞の選考は神の選択とばかり書いた。私は佐藤栄作、大江建三郎はノーベル賞に不適格だと思ふ。
十日の記事の誤りは、長崎で被爆した林京子さんの文章を引用し、内部被爆を公式に認めてこなかつた政府に無念と怒りの涙を流したことを、「『内部被ばく』という言葉は被爆者に恐怖を呼び起こすとして、その言葉を使う役人の無神経さに涙を流した」と正反対に書いてしまつた。
人間には間違ひもある。だからそのこと自体は不問である。問題なのは十二日の新聞に大江建三郎の演説草稿を全文載せ、そして
大江さんは本紙への指摘の文書の中で、「いつも東京新聞の『フクシマ』報道に教えられ励まされてきたものです」との言葉も添えています


と書いたことだ。正反対のことを書きながら大江氏の指摘文書の一部を抜き出して東京新聞はよい新聞だと思はせる。

三月十七日(日)「大江発言の問題点」
大江発言の全文が載つたから問題点を見て行こう。日本人得意の慣用句、ナカッタコトニスルことは絶対にできないものであるからですの部分である。まづ「ナカッタコトニスル」のは日本特有ではない。アメリカだつて人類史上唯一原爆を使つたことを無かつたことにしてゐるし、イギリスは世界で最も植民地を持つたことを無かつたことにしてゐる。スペインは南米の先住民に対して行なつたことを無かつたことにしているし、先進国は地球を滅ぼさうとすることを無いことにしてゐる。EUはいつの間にか二酸化炭素削減を言はなくなつてしまつた。
二十年くらい前に日本の皇族だつたか首相だつたかがイギリスに行つたとき、イギリスの女王だつたか首相だつたかが、第二次世界大戦で日英が戦火を交えたことについて、無かつたことにはできないが未来志向で友好を深めたいと語つた。大した内容ではないが日本の毎日新聞かどこかの間抜けな特派員が、日本にとり耳の痛いことを言はれたと記事に書いた。冗談ではない。大した内容ではないから無視すれば済む話だ。かういふ間抜けな記事を書いた以上、日本は後日声明を出すべきだつた。イギリスの植民地支配や阿片戦争をなかつたことにはできないが、今後は軍事力を用いたり西洋のやり方をアジアに押し付けないといふ前提で友好を深めたい、と。

三月十八日(月)「日本の労働運動と平和運動は文化破壊者とは絶縁を」
大江建三郎はエロ作家として知られ、落合恵子は深夜ラヂオの出演者であつた。どちらも文化破壊であり世の中をよくしようとする運動とは正反対である。日本の労働運動や平和運動は文化破壊と組んではいけない。
大江建三郎と組む事により多くの文学愛好家が集まるなら別である。落合恵子と組むことでかつての深夜放送フアンが多数集まるなら別である。実際には大江建三郎や落合恵子と組んでもほとんど人は集まらない。逆に多数の人が逃げる。
かつての労働運動や平和運動はよい世の中を創るためであつた。米ソ冷戦の終結後は文化を破壊する運動に変質した。国民はそこを見抜いたから維新の会やみんなの党は高い得票でも、かつての革新勢力はほとんど票を得ない。
かうなつた原因の一つはマスコミの偏向である。かつての革新勢力を反米に向はせないよう親米文化破壊に持つて行つた。江田三郎がいい例である。保守勢力を反米に向はせないよう親米新自由主義に持つて行つた。シロアリ民主党の野田、前原、菅がいい例である。やはり諸悪の根源は日本の偏向マスコミだつた。(完)


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