三百十一、東京大學経済学部は税金の無駄だから廃止せよ(伊藤元重氏批判、その三)

平成24年
10月28日(日)「スマイルカーブ」
伊藤元重氏の『産業構造の「スマイルカーブ」化が日本の「中流」ビジネスに淘汰・再編をもたらす!』は極めて低級でよくない。なんでこんな低級な内容を書くのか。東京大学経済学部は税金の無駄だから廃止したほうがよい。
「スマイルカーブとは、笑ったときの人間の唇の形をイメージしたものである。要するに両端が上がった形をした曲線だ。鍋やフライパンの底というイメージでもよい。この曲線が意味することは、産業構造のなかで、上流のビジネスと、下流のビジネスは利益率が高くなるが、中流は利益率が低くなるというものである。」
表題だけ読んだ人が関心を持つとすれば、一番目は収入が上流の人向けと下流の人向けが利益率が高いのかと勘違ひする。伊藤氏のいふ上流下流は多重請負構造の話のようだ。表題は判りやすく付けなくてはいけない。二番目はスマイルカーブといふ言葉である。笑つたときの人間の唇の形ださうだ。私は最初、中央が上がつた形を連想した。上唇である。伊藤氏は両端が上がつた形だといふ。下唇である。伊藤氏は唇が上と下と二つあることに気がつかなかつたのではないのか。外国の猿真似をするとかういふことになる。

11月3日(土)「上流、中流、下流」
伊藤氏のいふスマイルカーブの理論といふのは概略次のようなものである。
上流のインテルやマイクロソフトは高い利益を上げる。 中流でパソコンを組み立てたり販売するだけのビジネスは利益が少ない。下流はユーザーにうまく対応したビジネスを構築すれば高い利益をあげる。

まづインテルは部品メーカーだ。CPUはコンピユータの部品である。上流とは部品メーカーのことと解した。ネジや鉄線を作るメーカーが高い利益を上げるか。中流は下請けと解した。中流の利益が少ないのは判る。下流はユーザーと直面したビジネスと解した。これが利益を上げるのは判る。つまり伊藤氏の区分は下請けは利益が少ないと言ふだけでスマイルカーブなどと大それたものではない。
伊藤氏は上流にマイクロソフトも入れたがマイクロソフトはOSメーカーである。OSはアプリケーシヨンを動かすための縁の下の力持ちである。本来はLinuxといふ無料ソフトを使用すれば事足りる。世界のコンピユータ学者が警告せず、企業幹部に怠慢な連中が多いからLinuxを使はなかつただけだ。
伊藤氏は中流にパソコン販売も入れた。メーカーの下請けとなつて販売するだけではユーザーと直面したとは言へず、定型業務に過ぎないから中流に入る。これは当然である。

11月3日(土)その二「別の解釈」
これでは伊藤氏の理論は余りにおそまつである。だから別の解釈を考へた。上流とは圧倒的なシエアを誇る製品のことと解してみた。しかしインテルやマイクロソフトのシエアが高いのは運がよかつたからだ。
昭和六十年ごろCPUのメーカーはインテルとモトローラがあつた。インテルよりモトローラのほうが優れてゐた。モトローラのCPUは小型のコンピユータだが、インテルのCPUは電卓の部品である。しかしモトローラは旧製品との互換を考へなかつた。例へば1MBのアドレス指定にモトローラは16ビツトのレジスタを用いた。インテルは8ビツトのレジスタを二個組み合はせた。インテルは不便だが従来の8ビツトCPUと互換が取れた。
インテル、モトローラのCPUはどちらもCISCタイプだが、CISCとはまつたく異なる発想のRISCといふCPUが当時注目を集めた。サンマイクロのSPARCが有名だつた。RISCはCISCを駆逐すると言はれた。しかしたまたまIBMのパソコンがインテルを採用してモトローラを駆逐し、パソコンが急激に広まつたからRISCを駆逐した。多量に売れると研究費もそれに比例するからだ。
マイクロソフトも同じである。デジタルリサーチのOSと同じものを作つたところIBMが採用した。それだけである。IBMがデジタルリサーチを訪れたとき社長が不在で奥さんが追い返してしまつたと言はれてゐる。だからIBMはマイクロソフトを訪問した。
新OSとしてマイクロソフトとIBMは共同でOS/2とWindowsを開発した。後に分離するときにIBMがOS/2、マイクロソフトがWindowsを取つた。Windowsが広まつた。このときは初心者の心理を重視したマイクロソフトの決断が勝つた。UNIXやLinuxとの競争には、アプリケーシヨンの価格をWindows向けは安くするようアプリケーシヨンメーカーに働きかけ、これが功を奏した。

どちらもPCの急増に支へられた。しかしこんな企業は世界中にほとんどない。オラクルだつて上流に入らないし、Javaを開発したサンマイクロだつて入らない。それどころかサンマイクロはオラクルに吸収された。コンピユータ以外の自動車、医薬品など他の業界にもあまり見当たらない。世界でわずか数社しかないものを上流と称して論じても意味がない。やはり伊藤氏のいふ上流は部品メーカーと解するしかない。

11月4日(日)「伊藤氏の主張は誰でも知つてゐることだ」
伊藤氏の主張は、先端事業の優位性と下請けは低利益といふ誰でも知つてゐることだ。それを無理やりスマイルカーブだの上流、中流、下流だのとこじつけるから、中流が下請けのことだといふ奇妙な結果になる。中流だつて、組み立て方法で特許を取得した斬新な方法を用いれば高収益になる。つまり先端事業の優位性と下請けは低利益といふ誰でも知つてゐること以上の中身はない。
多くの国民は毎日の生活に大変である。私はマクドナルドや牛丼屋にはほとんど行かないが、マクドナルドに行くと百円マツクで済ませるサラリーマンがゐる。牛丼屋に行くと牛丼だけで済ませるサラリーマンがゐる。東京大学経済学部みたいに税金の無駄なところを残して消費税を上げるべきではない。
これまで大学教授では山口二郎氏と伊藤元重氏を批判することが続いたが、それには理由がある。二人とも消費税増税に賛成であり、しかも拝米である。まつたく国民の役に立たない。税金を投入する必要はまつたくない。(完)


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