二百九十二、参議院厚生勞働委員會傍聴記(小宮山洋子批判、その七)
平成二十四年
八月一日(水)「労働契約法改正」
先日参議院の厚生労働委員会を傍聴した。労働契約法の有期雇用規制案に反対のためである。形式的に短期契約を何回も繰り返す。こんなことは法律上はともかく道義上は絶対に許されない。裁判や労働運動でこれまで多くの人たちが闘つてきた。
今回労働契約法で規制するといふ。それは当然だが、今回の改正案は不十分である。何より法律で決めれば今後は闘つて勝ち取ることが難しくなる。例へば大きさが不足してゐるがのりしろがたくさんある紙と、大きさがぎりぎりでのりしろのない紙では前者のほうがよい。前者はのりしろの一部を本体に回すから使用できる。後者はぎりぎりだから使用できない。今回の改正案は前者を後者にすることだ。
共産党の田村智子議員、社民党の福島みずほ議員の質問は迫力があつた。このうち福島議員には、我々の労組の顧問でもあるOさんと中小政策ネツト代表のHさんが問題点の説明に伺つた。だから福島議員の質問は我々中小労働者すべての質問でもあつた。
委員会終了後に、参議院議員面会所で田村議員、福島議員とともに集会を開いた。有期労働者として闘つてゐる人たちの挨拶もあつた。
かつてはこのような場合には総評議長を始め多数の労組幹部が集まつた。今回は共産党系、社民党系をあはせて僅か三〇名だつた。
八月二日(木)「みんなの党」
委員会の発言者のなかで、迫力のあつたのは田村さん、福島さんのほかに川田龍平さん(みんなの党)、谷岡郁子さん(みどりの風)であつた。特に川田さんは熱意のある質問をした。みんなの党はなかなかよい政党だと思ひ、ホームページを調べると消費税増税反対を言つてゐる。
気になるのは国際化時代にふさわしい人材を育成するためには英語力の向上が必要であり、学校教育において英語力を図る尺度として、TOEFLなどを使用するの部分である。20年前なら確かにさうだつた。しかし今は十分英語は足りてゐる。それどころか英語を口実に日本のアメリカ化を図らうといふ売国奴みたいな連中が現れた。二十年間に世の中が変はつたことに気付かなくてはいけない。
八月三日(金)「新党に期待」
みんなの党、共産党、社民党、みどりの風の質問は傍聴席まで熱意が伝播してきた。一方で民主党、自民党、公明党の質問は実に退屈だつた。時間を消化するのが目的なことが見へ透いてゐた。昔、欧州に傭兵がゐた。戦場で双方の多数の兵士が戦ふのに死者は数名だつたといふ。カネで雇はれたから派手に戦ふふりをした。大政党はすつかり自分たちの生活が第一の傭兵になつてしまつた。
今日のニユースでそのことを改めて実感した。七野党が内閣不信任案を提出することを決めた。七は縁起がいい。自民党と公明党は乗り遅れてはいけない。これが最後の帰国船である。壮絶な大嘘加担議員絶滅戦争が始まる小島に残つてはいけない。
八月三日(金)その二「消費税増税が必要ない証拠を発見した」
参議院厚生労働委員会を傍聴し帰宅してからインターネツトで衆議院のほうも厚生労働委員会を視聴した。「国民の生活が第一」の三宅雪子議員の質問に対して答弁中の場面で消費税増税が必要ない証拠を発見した。周りの官僚たちの態度を見てほしい。
民間ではかういふことはあり得ない。社長が取締役、開発責任者などを連れて取引先を訪問し新製品の説明をした。それなのに周りの連中がつまらなさうにしてゐる。説明が終つたあと帰りに社長は「何だお前ら、あのふてくされた態度は」と怒り出すだらう。しかし官僚たちの態度も理解はできる。国会の質問と答弁は台本ができてゐる。議員の質問と大臣や官僚の答弁は台本どおりに進む。大臣などと答弁する官僚、更には後の席の官僚に至るまで台本を持つてゐる。そしてつまらなさうに台本を目で追ふ。
国会は大臣、副大臣、政務官だけが参加すればよい。そのために台本がある。その場で答へられなければ後日でもよい。それなのに答弁をする官僚が四人くらいと、その後に三十人くらいの官僚が控へる。
これは氷山の一角であらう。役所とはかういふ具合に無駄だらけである。本来、現場以外の本省は事務部門を除いて必要ない。立案と調整は政治家がすべきだ。本省を廃止すれば消費税10%分くらいが浮く。しかしそれは将来の話で、取りあへず無駄を省けば増税分は浮く。
衆議院の委員会をインターネツトで見ると、官僚の態度はどの政党の質問のときも悪い。しかし三宅議員の時は特に悪い。鳩山政権が官僚に従はなかつたことへの嫌悪が現れてゐる。「国民の生活が第一」はこれを逆手に取り、消費税に賛成した議員を全員落選させてほしい。
八月九日(木)「税金の無駄遣ひの中労委事務局をなぜ放置する」
一ヶ月ほど前の組合の会議で、中労委の再審申し立ては取り下げ、中労委事務局はこんなにひどい組織だと大々的に宣伝することを提案した。しかし三者委員の和解への努力に敬意を表してそれはやらないことになつた。私も三者委員の努力、特に使用者側委員が何回も会社に足を運んでくれたことを思へばそれがよいと思ひ直した。
結審のときに、命令が出るまで三ヶ月と言はれた。といふことは九月である。組合では、三ヶ月といふことは五ヶ月か六ヵ月だと皆で噂した。ところが八月三日に当ページで、衆議院厚生労働委員会での態度の悪い官僚どもを取り上げたところ、六日に組合事務所に電話があり九日に命令が送られてくるといふ。結論は判つてゐる。再審申立棄却である。中労委の事務局は厚労省のキヤリアが来るさうだが厚労相はなぜこんな事務局を放置するのか。併せてなぜ、不当労働行為なんて数十年起きてゐない大手労組の幹部を労働側委員に任命するのか。
八月十日(金)「団交拒否と不利益取り扱ひ」
私の勤務する会社では四年前に会社の事務担当が替はり団交を拒否するようになつた。だから都労委に申し立てた。そのとき併せて不利益取り扱ひを入れてみた。筆がすべつたとも言へるが今後の勉強を兼ねてでもあつた。当時の書記長Sさんとは「団交をやるときに賃金問題も話し合ふやうに」といふ辺りが着地点だな、と話し合つてゐた。ところが都労委で一年、中労委で二年掛かつた。
労組を結成したとする。会社が団交拒否と不利益取り扱ひを行ひ三年経過すれば、組合に加入しても意味がないと考へる人が続出し命令が出るころには組合は無くなつてゐよう。労働委員会は時間が掛かりすぎる。緊急手術を要する患者がゐるのに手術をするかだうか検討するのに一年掛けるようなものだ。「都労委はとろい」とは多くの組合関係者のいふ言葉だが、「中労委は都労委よりとろい」もよく言はれる。せめて労働側委員は不当労働行為を経験した労組から選ぶことが必要だ。労働側委員にうるさ型がそろへば事務局からも偏向や怠慢がなくなる。
八月二十八日(火)「事務局と官僚も民間並みにしろ」
とは言へ、自民党長期与党の弊害で官僚は非効率の上に誠意に欠けてゐる。中労委事務局は中労委に申し立てる労組の使用者側の退職勧奨、嫌がらせ、不当労働行為、離職率に合はせるべきだ。そればかりではない。厚労省やその他の官庁も合はせるべきだ。使用者側の退職勧奨、嫌がらせ、不当労働行為、離職率の高さの被害に遭つてゐる労働者が、これらに遭わない人達の雇用の為に消費税増税を負担するのはまつたく筋が通らない。
(小宮山洋子批判、その六)へ
(小宮山洋子批判、その八)へ
メニューへ戻る
前へ
次へ