二千九百二十六(普通のうた、朗詠のうた)工芸と娯楽(晩酌断酒十日経つ)
乙巳(西洋地球破壊人歴2025)年
九月二十八日(日)
晩酌を断酒し、昨晩で十日目になった。その間に喜多方へ旅行したため、二日間は昼にお酒を飲んだ。そのとき思ったことは、酒は工芸品であり、娯楽品ではない。
昔の日本酒は、特級、一級、二級の区別があり、一合カップで220円、200円、190円くらいだった。五十年前の記憶なので、十円程度は誤差があるかも知れない。
今は、一合カップで350円のものもあれば200円くらいのものもある。それはよしとして、紙パックで100円のものがある。これは安すぎる。酎ハイも100円がある。缶コーヒーより安い。これはよくない。
酒類は、娯楽品ではなく、工芸だ。この大原則で、不味い酒を無くさう。
寄合や祝ひ弔ひ飲む酒は昔の人の心を受ける
工芸とは、価格満足度を加味した芸術である。芸術性を持った製品である。
九月二十九日(月)
酒だけではない。旅行も、娯楽ではなく、工芸であるべきだ。旅立つ前に、よく調べる。観光地だけではなく、街中も観る。お酒は工芸品を飲む。帰宅後に、更に調べる。これで旅は有意義となる。
ここでお酒の工芸品とは、高過ぎるものではない。価格満足度の高いものだ。二番目に、特長のあるものだ。三番目に、観光客向けではないものだ。
草枕旅は工芸 よく調べ街中も観て美しき酒を味はい 帰宅後も調べ人生有意義となる
反歌
うつせみの人を豊かにする旅は玉鉾の道正しく歩む
九月三十日(火)
晩酌の欠点は、毎日になってしまふ。人生は、普通の日がほとんどで、たまに晴れの日がある。それなのに、夕食を摂らない日はないから、晩酌をすると毎日が晴れになる。これはよくない。
昔は、新月や満月の日が特別だった。その中間の日も特別とすることもあった(六斎日)。毎日に変化があるから、現状を維持したり向上しようとする意欲が起きる。毎日が同じだと堕落する。変化は風、人生は凧に喩へると分かりやすい。変化(風)があるから、凧は上がる。変化がないと、凧は落ちる。
風吹けば凧が上がると同じにて 人の世にても日と月と替はるに依りて生きるは上がる
反歌
一つ年春なつ秋冬変はるあり人が生きるに落ちるを止める
反歌
風吹けば沖つ白浪勢ひに人も保ちて更には揚げる
晩酌がいけないからと、昼に毎日飲んではいけない。晴れの日に、昼または夜に飲む。昔の晴れは、年に数回だが、今は数日に一回でもよい。自動車や、過度な冷暖房に比べれば、贅沢ではない。(終)
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