二千九百二十五(朗詠のうた)風流な言葉選びのための類語辞典
乙巳(西洋地球破壊人歴2025)年
九月二十八日(日)
「風流な言葉選びのための類語辞典」の「1 季節・動植物」「2 日常生活」の2冊を借りた。「はじめに」には
和歌や俳句の創作を楽しむ方はたくさんおられますが、実は、漢詩を自作して楽しむ方々も現代の日本にたくさんおられます。そのような漢詩創作者の皆さんに向けて、(中略)刊行したところ、思いがけず、「漢詩作り以外でも参考にしています」「眺めているだけで楽しい」などの声が(以下略)
この貴重な詩語を多くの人に知ってもらいたく(中略)漢詩・和歌・俳句等の用例とともにお届けします。
秋津洲唐土の詩 昔から昭和初めに続く故 習ふ人こそ尊けれ 創るは更に尊き行ひ
反歌 
やまとうたもろこしのうたふたつとも昔から在る国のうたなり
本文に入り、「春」の章の「春の異称」には、春天が春、三春が三ヶ月の春の季節、陽春が暖かな春、などたくさんある。「春の到来」には、春回は春が戻ってきた、迎春は春を迎える、など。最後のものは日本でも年賀状に使ふ。
漢詩を作るには便利だが、和歌ではあまり役に立たないだらう。十頁弱に一頁を使ひ、使用例が載る。まづは、春光を使った漢詩と、春風を使った漢詩。それぞれの書き下し文と、口語訳。そして「春の光かな」を使った俳諧発句と、「春風や」を使った俳諧発句。漢詩の語を使ったものを選んだのだらう。
二つ目と三つ目の一頁も、この組み合はせ。四つ目は漢詩二つ、俳諧発句二つ、和歌四つ。歌は村田春海が二つ、その他が二つで、大した出來ではない。その次は、漢詩四つ俳諧発句が四つ。この調子で1の本を終了した。そして2の本も終了した。
和歌と漢詩は語彙が異なるので、この本は企画に無理がある。とは云へ、漢詩のためにかう云ふ本を出版することは尊い。発行元の出版社が、売り上げを伸ばさうと、俳諧発句や和歌を付け加へたのなら、よくない。
一番よいのは、俳諧発句や和歌の愛好者を、漢詩に導くことだ。この書籍にその意図がないとは云へない。しかし、語彙がことなるから無理だ。物語と漢詩の共通にすればよかった。現に、用例は物語が多い。
物語りもろこし詩(うた)の言葉にて書けるが故に 昔人それらを入れて書く事が多しと云へど今は異なる
反歌 
やまと歌及び上から三つ句(まが)りもろこしうたと言葉が違ふ(終)
(10.02追記)
漢詩の素養を持つ文豪の作品を読む時に、この書籍は便利だ。そして、ああ云ふ文章を書きたいと云ふ人にも、便利だ。
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