二千七百九(うた)ヒトラーになり損ねた男(偽装請負個人事業主)
乙巳(西洋発狂人歴2025)年
四月六日(日)
(前へ)偽装請負個人事業主の話がいつまでも続くのは、折返し担当者から電話を掛けると云っておきながら、掛かって来ないからだ。電球のスヰッチを入れたまま放置すれば、いつまで点き続けるのと同じだ。とは云へ、契約解除(雇用の、解雇や退職に相当)から七ヶ月経つので、これで終はりとしたい。
会長の「保険会社の人が、本来は損害を起こした人が負担すべきですよね、と云った」発言は悪質だがその後、会長のにこやかに手を振ったりする姿に、すっかり忘れてゐた。二回目に不信を持ったのは、抜き打ち検査で「帽子必着、ボタンの一番上も閉めろと云ふ話も出たが一番上は外してよい」と言はれたことだ。これが雇用なら、何の問題も無い。
その前に、一つ危惧することがあった。会長が或る大学の教授と、浅野地区で対談を行なふので、聴きたい人は地下鉄根津駅下車云々のメールが全員に来た。本校舎は文京区本郷だが、浅野地区は弥生にあり、根津の隣町なので記憶にあった。こんなことをすると、会長は慢心を起こすだらう。さう予想した。このとき「豚もおだてれば木に登る」と云ふ言葉を思ひ出した。
そのうち、テレビCMを作成することになった。若い女優がマンション管理員の仕事をする映像だが、採用募集は中高年だから、若い女優では駄目だ。それより帽子を被ってゐない。この件は、後ほど問題になる。
そのうち、会長より若い社長を解任し、会長が社長を兼任するやうになった。同時に息子を取締役にした。そして抜き打ち検査で帽子必着の話が出た。テレビCMでも明らかなやうに、それまで帽子必着の話は出たことがなかった。その後の抜き打ち検査も二回あったが、帽子の件は出なかった。
出退勤や交通費、確定申告、会社からの連絡などはスマホにアプリをインストールする。機能の中に「掲示板」があり、管理員どほし、管理員と会社の貴重な意思疎通手段の筈だ。筈だと書いたのは、これが機能しない。まづ、書いた内容を会社から消すやうに云はれた、と憤慨して書いた人がゐた。掲示板は匿名でも投稿名でもよいが、会社側は誰が書いたか分かる。これではまともな投稿が出ない。
そのやうな中で、ボタンの一番上も閉めなくてはいけないと云はれたとの投稿が出て、それでは真夏の暑い中で大変だから一番上はよいことにしてほしい、との意見が出て、会社の見解もそれになった。意見を云へば改善されると喜ぶ人がゐたが、前の抜き打ち検査で云はれたから、元々の方針だった。
だから、帽子必着の件は変はらなかった。昨年の夏は猛暑だったので、バスの運転士は夏の間帽子着用を省略する貼り紙が出るから、我々もさうすべきだ、と云ふ意見が出た。それに対し、バスは日が当たるがマンションは当たらない。会社側が、こんなことを言って来た。これは見当はずれで、南向きマンションは廊下に日が当たらない。しかし西向きは午前、東向きは午後に、廊下は日が当たる。ずいぶん低級な発言である。更に、バスは冷房があるが、マンションの廊下は冷房がない。
次に、工場勤務の時に帽子を被ってゐたので怪我をしなくて済んだといふ投稿があり、会社上層部と思はれる発言がさっそくこれに飛びついた。更には、或るマンションでは屋上にカラスが巣を作った投稿がありこれも、カラスに頭をつつかれたら大変だ、と低級な発言に繋がった。
夏に帽子を省く件について、まるでルール破りを画策する不良高校生だな、とこれは明らかに上層部の発言があった。雇用ではなく、外部の事業主に対して、ずいぶん傲慢である。下請法違反ではないのか。抜き打ち検査で帽子の件が出たときに、大問題になると予想したが、そのとほりになった。
掲示板で一番の傑作は、おそらく会長の息子と思はれる人の、皆が同じ方向を向かなくては駄目だ、の投稿である。「保険会社の人が、本来は損害を起こした人が負担すべきですよね」の人と、個人事業主の我々が、同じ方向を向く筈が無い。カネを出し渋る側と受け取る側である。あの男はヒトラーか、と言ひたくなる。
事業主別の会社に帽子迄云はれる筋は無い上に 今まで良くて会長が若い社長を追ひ出して息子を入れた直後から突然変はり 下請けいじめ
反歌
雇用には労災保険や有休があるも請負一切が無し
結論として、偽装請負には関はるな。高齢になって、人手不足の時代に、嫌な思ひをすることはない。(終)
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