h 上野動物園百年史


二千四百二十一(うた)「上野動物園百年史」鉄道資料
甲辰(西洋発狂人歴2024)年
七月二十六日(金)
「上野動物園百年史」第二回 から、鉄道資料を独立させた。 朝鮮総督府鉄道局の局報には
一、輸送貨物 河馬一頭檻入壱個約一五〇〇斤(飼料及用水桶二個ヲ含ム)
二、所要貨車 二十二噸小型無蓋車一輛
三、輸送列車 発駅/京城 着駅/秋葉原 (区間日付列車番号略) 連絡位置/可成客車若ハ車掌車ノ直前ニ連絡スルコト

「可成」は「なるべく」と読む。前後の衝撃を避ける為に、客車又は車掌車の前と考へられるが、「連絡位置」の語から単に車両の位置のことか。貨車の間だとホームに掛からない虞がある。8月25日に
カバは午後1時20分南大門駅から竜山駅に先発し午後4時50分南大門駅発の客車と竜山駅で連結して混合列車となり、(中略)8月26日午後2時10分、釜山着、午後6時、関釜連絡船(中略)の前甲板にかばは積み込まれた。

鉄道省運輸局長から東京市長に宛てた文書によると
一、輸送連絡船 ロ便午後七時三十分釜山発、翌日午前八時三十分下関着
二、輸送列車 旅客列車ノ後付運送は困難ニ付急行貨物列車五十六列車ニテ輸送ス
   午後十時四十分下関発、四日目午前零時二十分汐留着
   運転時間四十九時間四十分
三、給水駅 三田尻、柳井津、岩国、広島(操)、糸崎、岡山(操)、神戸、梅小路、米原、浜松、静岡、沼津、山北
四、搭載貨車 附添人乗車ノ便ヲ計リ成ルヘク貨物緩急車(括弧内略)ヲ使用スルコトニ関係鉄道局ヘ通知シ置ケリ

そして8月30日に
午前0時20分無事汐留駅に到着し、午前7時30分、雨の中を牛車で運び、午前9時30分、上野動物園についた。


(上野動物園その十一)へで取り上げた移動動物園について、まづ
2両の大型貨車(ワキ1両、ワムフ1両)を改装し、ワキ型大型有蓋貨車は、ゾウのインディラの専用車で、(中略)この貨車には、簡易ベッド2基が備えられ、ゾウの飼育担当者は、そこで、ゾウといっしょに旅をするようになっていた。

いくら改装をしたとは云へ、ワキは大きな部屋が一つだけだから、簡易ベッドの寝心地はさぞ悪かっただらう。2両の大型貨車とあるが、ワムフは小型貨車である。
もう1両のワムフ型は、半分が貨物室で、小動物類が積みこまれ、半分はデッキのついた車掌室であったものを、簡易ベッドなどをおいて、ぞう以外の要員が、そこで旅をするようになっていた。

ワムフは昭和50年辺りまでは走るのを見ることが出来た。
次に、日本国有鉄道公示には
一 品名 動物及び演芸見世物用具
二 発着駅 田端
三 扱種別 車扱
四 賃率 動物  二級賃率の三割減
     演芸見世物用具  五級賃率の三割減
五 運賃計算法  (前略)旭川において打切り計算し、田端-旭川間、旭川-田端間各別に運賃を算出し合算する。
六 期間 昭和二十五年四月二十八日から
     昭和二十五年十月七日まで
七 運送経路 田端-新鶴見-静岡-新鶴見-新宿-甲府-松本-長野-直江津-新津-新潟-新津-坂町-米沢-山形-秋田-青森-函館-札幌-旭川-東室蘭-函館-秋田-横手-黒沢尻-盛岡-仙台-福島-郡山-平-水戸-小山-宇都宮-前橋-田端
八 開催地 静岡、甲府、松本、長野、新潟、山形、青森、札幌、旭川、函館、秋田、盛岡、仙台、福島、水戸、宇都宮、前橋
九 条件
1 動物とは、移動動物園の動物に限る。
2 運送中における動物看守のため、動物積車一車につき四人以内の附添人をつけること。但し、附添人料は、収受しない。
3 使用貨車は、ワキ一両、ワムフ一両、大型チキ一両とし、動物は、ワキ、ワムフに、演芸見世物用具は、大形チキに積載すること。
4 この貨物の運送は、列車指定によるものとし、(中略)列車指定割増を収受する。
5 運送中における貨物の保管は、荷送人の責任とする。

(通報)
動物その他に対する列車又は連絡船の指定輸送について(輸送局)
東京都及び朝日新聞社から、(中略)列車指定の請求があったから、次のように列車の指定をし、輸送の的確を期せられたい。


(ダブルクリックで拡大写真)
「(通報)」にも一から五まで、上記一から五とかなり重なる記述があり、そのあと
六 取扱上の注意事項
1 仕立検査は、この貨車の運用を勘案して施行し、期限超過に注意すること。
2 外部塗粧は、必要に応じ水洗を行うこと。
3 輸送区間は、三車を一連として各個に切り離すことなく、且つ、機関室上部の積載を避けること。
4 この車両を列車に連絡するときは、中間停車場における解結車両の後部で、なるべく前よりに連結すること。
5 車両入換を行う場合は、突放入換を行わないこと。
6 この車両の留置してある線路に向って、他の車両を突放しないこと。
7 突放残留車のうちに介在させないこと。
8 坂阜線では流転させないこと。

かつて自動車運搬車(車運車)などに書かれた「突放禁止」だと、「7」が含まれないかな。一方で、「5」があれば「8」は不要と思はれるが。(7.28追記、坂阜線で残留車は可能ともとれる)(7.29追記、坂阜線で流転させることは突放とは云はないのだらう。今まで、これも突放だと思って来た)
鉄道の貨物資料が動物園百年史より得られたは 列車指定は割増しと 新鶴見など一つしか無きもの操(そう)で区別せず 田端は操が独立をせず

反歌  戦前は広島及び岡山が括弧の操で駅とは分ける
反歌  戦後では大宮高崎青森が括弧の操で駅とは分ける(終)

兼、(路面電車、客車、その周辺、三十二)へ (路面電車、客車、その周辺、三十四)へ

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