二千百七十六(和語優勢のうた、和語のうた)実効(物語性など)以外の美しさを試した
壬寅(西洋野蛮歴2023)年
十一月二十六日(日)
最新の歌論(赤彦全集第四卷から)で小谷古䕃を取り上げた。かう云ふ美しい歌を作ってみようと思ひ立った。小生の場合は、これまで物語性の美しさ、或ひは範囲を広げて実効の美で以て、二番目の美しさとした。それを今回は、別の美しさを試した。
冷たさの気(いき)を押し分け歩み出る買ひ物終へて手足は寒し
冷たさの風あるときは熱奪ふ買ひ物終へて体が寒し
風強く冷たさが押す顔と胸逆らひて着き暖まる無し


十一月二十七日(月)
道の端車と人を隔てるの木々と屋敷の林には 色づき少し ほとんどは緑のままで 秋浅く 或いは冬も葉が落ちぬ木が多いのか 迷ひが残る

反歌  秋深く既に冬立ち だが木々は緑を保ち 世は黄に染まる
反歌  緑なす空より星は美しく 陸(おか)から見ると心が赤に
普通の文章に埋め込まなかった。「色づき」「秋深く」「既に冬立ち」「緑なす」が、表現の美しさを目指した。このあと異変が起きた。単独だと美しさが無いものが二組(長歌と反歌)できた。これらは練馬へ移動させた。一組はここへ残した。それが
練馬には大根畑かつてあり 名が知られるも昭和の世いそ年ごろに家が建ち 今は跡形残ることなし

反歌  あづまはや練馬大根深谷ねぎ千葉落花生安行植木
反歌  あづまには鹿島香取と筑波嶺に箱根鎌倉秩父日光

十一月二十八日(火)
あと三日西の暦で師走来る 大和暦は神無月半ばで冬が立ちて二十日に

「師走来る」「「大和暦」「冬が立ちて二十日」を工夫した。反歌は二つ作ったが、どちらも美しさが無く、削除した。作った歌は魂が宿るとして、すべて公開することがこれまでの方針だが、反歌は全体の一部として削除ではなく添削とした。
日の入りは空が真っ赤に家焼けと間違へるほど 雲もあり煙に見えて 風が出て 此の世が終はる時に似るかも

今回も反歌を作ったが、削除した。

十一月三十日(木)
西こよみ十一月は今日までに 師走と冬と忙しさ 明日に始まる今年の終はり

反歌  師走とは大和こよみのつき名でも十二月のみ呼び名と似合ふ
「西こよみ」「大和こよみ」「つき名」は造語の美しさ、「師走」「冬」「忙しさ」が同時に始まる並列の美しさ、「始まる」「終わり」と対比の美しさ、「呼び名と似合ふ」は内容の美しさ。
世を壊す まづは地球を壊す人 次に社会を壊す人 世を物のみと為すにより 資本の主義かリベラルとなる

反歌  穏やかな日の積み重ね仏への道を進むの源となる
「まづは」「次に」は対比の美しさ、「穏やかな日の積み重ね」「仏への道を進む」「源となる」は表現が美しいかな。

十二月二日(土)
寒さ増し 水を使へば手が痛く体も冷えて春を待つ 慣れるにつれて和らぐも 寒さ此れからますます強し

反歌  暦では西の師走と為るとてもあとふた月は寒さ増すのみ(終)

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