二百十四、民主党変質者はなぜ醜いか

平成二十三年
十一月十一日(金)「民主党変質者」
自民党の長期政権を終らせ鳩山政権が誕生したときは、多くの国民が歓喜の声を上げた。事務次官記者会見の中止、予算の凍結、二酸化炭素削減と次々に改革を行ひ、官僚と財界は真つ青になつた。
あの前後はちようど私の勤務する会社は入札にも参加しようといふことになり、私が入札書類を取りに行くと最初は事務次官が記者会見を行つてゐた。すぐに大臣が行ふようになつた。役所から会社に電話があり、今般の事情で予算の先行きが分からず入札は中止になりました、と言はれたこともあつた。
ところが総選挙を行つた訳でもないのに、菅直人に交代するや消費税とTPPを叫び民主党を変質させてしまつた。このときの変質共犯者が岡田、枝野、仙谷、前原、安住である。
彼らのどこが間違つてゐるかをこれから明らかにしよう。

十一月十二日(土)「左翼崩れは社会の癌だ」
左翼崩れは社会の癌である。日本では仙谷がその典型である。学生時代は新左翼の活動家、後に社会党の代議士、民主党に移動の後は二日前まで前原派の会長だつた。アメリカでも民主党のタカ派にはマルクス崩れが多いさうだが、その理由は新しいもの好きにある。世の中の不都合なところを改めるのはよいことだ。左翼崩れは不都合だから改めるのではなく、西洋の猿真似が好きなだけだ。
それは国内に於いて過去に精一杯世のため人のために尽くした人達への敬意に欠ける。そして社会を破壊する。前原や枝野の育つた時代はすでに左翼がなかつたが、実態は左翼崩れである。
ここで民主党内の旧社会党グループや旧民社党グループは左翼崩れではない。彼らをどうしても左右に分けるとすれば今でも穏健左翼である。左右に分けること自体が米ソ対立のなごりであり時代錯誤であるが。

十一月十三日(日)「左翼の二大特徴」
左翼の一番目の特徴は集団主義である。自民党も支持基盤は地域の集団主義だから共闘の余地は大きい。共産党に至つては中小企業は民族資本だから味方だといふ理論で民商を組織するくらいだから親和性が強い。
左翼のかつての二番目の特徴は独立であつた。サンフランシスコ講和条約の後も国内に米軍が居座り、CIAの工作は今でも続いてゐる。だから反米闘争自体は正しかつたが、米ソ対立に巻き込まれた。
昭和四五年ころから左翼の二番目の特徴が独立から自由と民主主義に変はつた。これは戦後生まれの人たちが段々と増へた結果だが、それまで地域性を重視せず米ソ対立の中間で独立を保たうとしたことが、ソ連の官僚主義と中国の文化大革命の失敗で均衡が崩れたせいでもあつた。
自由と言へば聞こへがよいが、江戸時代ならともかく今は自由競争、即ち新自由主義のことだ。民主主義と言へば聞こへがよいが、今は大手マスコミの偏向の下での多数派工作のことだ。

そのようなときに一番目の特徴である集団主義を捨てて、二番目の特徴の新自由主義を叫ぶのが民主党変質者どもである。

十一月十五日(火)「石破発言」
戦後の米ソ対立のあおりで、自民党は反ソといふ流れが長かつた。その間に文化保守政党であるはずの自民党に拝米勢力が入り込んでしまつた。石破はまさにその一人である。昨日自民党がTPPの迅速決定に反対することについて 「外交は内閣の専権事項だ。交渉すらするなと言うのは議会としていかがなものか」と述べた。
首相は国会が指名する。微細な事項ならともかく国論が二分された事項に首相が暴走するなら内閣不信任を検討するのは政治家の務めだ。「内閣の専権事項だ」と述べる石破は「軍事は軍部の専権事項だ」とばかり日本を亡国に導いた戦前の政治屋どもにそつくりである。
「国破れて山河在り」は杜甫の漢詩だが「石破れて売国奴あり」では話にならない。

十一月十六日(水)「週刊誌のいふ左翼性」
週刊誌が民主党変質者どもを左翼度が高いと称することがある。本当の左翼は協同主義と独立だから彼らとは正反対だが、そのように称されることは一理ある。マルクスは封建社会を市民革命で倒し、資本主義を社会主義革命で倒すといふ二段階の革命説を採つた。だから左翼崩れは前近代よりは資本主義がよいと考へてしまふ。
マルクスの時代は皇帝や領主による迫害がまだ残つてゐた。しかし現代は皇帝や領主の迫害はない。あるのは偏向マスコミとアメリカの工作だけだ。左翼の本来の主張の協同主義と独立は自民党と差がない。今こそ米ソ対立の四十年間に入り込んだ醜い変質者どもを撲滅すべきだ。そうしないと弱者が多大な被害を受ける。

十一月十七日(木)「アメリカCIAと大手新聞社」
常識で考へれば外国に製造部門を移した大手企業のエリート社員だけが大笑ひをして、残りの国民すべてが貧困に陥つていいはずがない。
TPPに賛成言辞をした連中を十年かけて、アメリカ大使館員といつ接触したか、あるいは大手新聞の最高幹部や編集委員にどんなことを言はれたかを徹底的に調べるべきだ。

十一月十八日(金)「小泉純一郎」
小泉純一郎は、長期自民党政権に国民が飽きてゐたところに、自民党をぶつこわすとばかり現れた。だから国民の人気を博した。今思へば外交は拝米、経済は新自由主義で民主党変質者と変はらないが、米百俵の精神を入れて国民の精神の支へにも気を配つた。
小泉の評判を落としたのは息子に選挙区を継がせたことだ。世襲が悪いとばかりは言へない。小沢一郎氏や西田昌司氏のように父親以上に活躍する人もゐる。しかし小泉進次郎はいつたい何だ。父親人気に乗つかつただけではないか。その進次郎がTPPを擁護する発言をした。

十一月十九日(土)「マスコミは偏向報道をするな、その一」
小沢氏は新生党を結成し細川内閣を成立させ自民党長期政権を一旦は終わらせた。その後紆余曲折を経て民主党鳩山政権を誕生させた。

西田氏は府会議員時代から自民党内の日本独立派の若手として活躍し、父親の地盤を継いだ後は民主党追及の第一線に立つてゐる。どちらも父親以上に活躍してゐる。
それに比べて小泉進次郎はいつたい何だ。私は神奈川県に住んでゐるが名前さへ知らなかつた。そう言へば小泉が子供に後を継がせて人気が急落したことがあつたなと微かに記憶があるだけだ。国会議員になる前に仕事らしい仕事をしてゐない。そんな人間が拝米で何か言つたからといつて、なぜ大手マスコミが一斉に飛びつくのか。

十一月二二日(火)「マスコミは偏向報道をするな、その二」
その小泉進次郎が成蹊大の学園祭でTPP賛成の講演をした。新聞でも報道された。今までまともな仕事をせずに親の七光りと地盤を引き継いで国会議員になつた。それだけの男に講演させる大学の低級度にはあきれるが、それを報道するマスコミにも困つたものだ。
集会を開催しても報道されないことが多い。私は参加しなかつたが先日或る集会にマスコミが来た。それなのに報道されなかつたと参加者が不満を述べてゐた。京品ホテルの労働争議は大きく報道され強制執行のときはテレビカメラも多数来た。争議は解決したが解決金の配分が不明朗で大部分の退職者たちにはまだ渡されてゐない。数ケ月前に裁判になつたが報道したのは東京新聞だけだつた。この訴訟に私は係わつてゐないし関係者に会つたこともない。しかし強制執行のときの報道ぶりからすれば他社も報道すべきだ。
私の所属する労組が昨年まで加盟してゐた産別の大会は参加者が五〇名弱の小さなものだつたが予め作られた手はずどおり朝日新聞が来て翌日報道された。日本のマスコミは偏向が酷すぎる。最近で言へば小沢潰し、財政危機を騒ぎ立てた消費税、代表選の前原の持ち上げ記事が目立つ。

十一月二三日(水)「TPP最大の問題点」
地球温暖化が進む中で化石燃料の浪費は許されない。TPPは海外との物流を増やし大量の化石燃料が無駄になる。まづ国内で流通し、それで過不足があればアジア近郊で流通し、それで駄目なら太平洋の対岸と交易すべきだ。
航空機や船やトラツクは大量の二酸化炭素を放出する。TPPを騒ぎ立てる連中は、生物が幾ら滅びても構はないらしい。自分たちの議席やカネのことしか考へない腹黒い連中である。(完)


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