百九十三、大連立を叫ぶ連中はペテン師だ


平成二十三年
八月十五日(月)「あぶり出しで現れたペテン師たち」
民主党内で大連立を叫ぶ連中はペテン師である。今回はあぶり出しみたいに次々と出てきた。
管直人が連立を叫んだのは大震災のはるか前である。菅政権発足直後に小沢グループを締め出し、消費税増税を言ひ出し、戦前は二つの政党が対立したために軍部が台頭したと言つて、自民党に擦り寄つた。こういふ下心だらけの主張には自民党も乗つては来ない。参議院選挙敗北を経てつひに退陣が目前にせまつた。

管直人の連立構想が震災前だつたにも関わらず、首相になりたくてしかたのない野田が勘違ひして、震災復興のための大連立と言つてしまつた。さつそく下心だらけの連中が賛同発言を始めた。

八月十六日(火)「下心」
野田は下心ではなく真心で大連立といふ。しかし首相になりたいといふ下心のある人間が下心ではなく真心といふのは無理だ。
菅直人は首相になるや自民に擦り寄らうとして、民主党による政権交代を無意味にした。そのとき野田は菅を批判しなかつた。大臣に昇格して喜ぶことに精一杯だつた。

野田や前原のグループは国民のためといふ大目的が欠落してゐる。昔は世の中のために政治家にならうとする人が多かつた。後に地元のためといふ人が多くなつた。それでも国民の目線に立つことに変はりはない。それに対して野田や前原のグループは自由や民主主義を叫ぶだけだ。自由と民主主義のある日本で更に叫ぶ理由は、これらを除いたら彼らには偉くなりたいといふ下心しか残らない。

八月十七日(水)その一「野田と前原は首相の器ではない」
十四日の日曜日に、野田がNHK、前原がフジテレビに出演した。どちらも「生出演」と銘打ち、野田は「どうする民主代表選」、前原は「新首相の座へ意欲は」とも書かれてゐた。
管直人がなぜ退陣に至つたたのか二人には分からないらしい。菅は首相になるや突然手のひらを返し民主党による政権交代を無意味にすることを繰り返した。それなのに二人とも管直人の路線を継承するといふ。これでは次の選挙も負けるに決まつてゐる。
特に前原は「与野党で合意したことですから」「政府与党で合意したことですから」を繰り返した。管直人が選挙公約に反して合意したのだから、次の政権は元に戻すのが当り前だ。

八月十七日(水)その二「テレビはNHKも偏向がひどい」
この時期に野田と前原がそろつてテレビに「生出演」と称し現れること自体が偏向である。しかしそれにも増してNHKの司会者はひどかつた。NHKは公平だと思つてゐる国民が多い。しかしこの番組でNHKの偏向が明らかになつた。
司会者はNHKの解説委員である。多くの国民は解説委員と名乗るからにはNHKの中でも特に公正なのだろうと思つてしまふ。私もさう思つてゐた。しかし全く違つた。野田がマニフエスト変更を発言するや民主党にもマニフェスト変更に理解できない人がゐる。民主党の実力者にもゐる(大意)と応じたのには驚いた。こんな放送局に受信料を払ふ必要があるのか。
この司会者はこれ以外の場面でも二年間国民への説明、説得が足りなかつたのではと発言した。それでは理解しない国民が悪いことになる。冗談ではない。鳩山政権時代は別にして、管直人は公約にない消費税増税と自民党と対立しないことを突然言ひ出した。国民の管直人への説明、説得が足りなかつたといふべきであらう。しかし管直人はこれまで与党を攻撃するふりをして長年議員歳費を食ひ荒らしてきた。そんな男に納税者が説明や説得をする義務はない。

八月十八日(木)「Jナイの戦略に従ふ野田」
先の戦争にいつまでも言及してアジアを対立させようとするのはアメリカ元国防次官補Jナイの戦略である。野田がさつそくA級戦犯は戦争犯罪人ではないと発言した。先の戦争については少しづつ収束させ未来志向でアジアの交流を促進すべきだ。
私のホームページでは靖国神社から東條英機に退出してもらひ、天皇様をはじめ皆が参拝できるやうにすべきだと発言したことがある。A級戦犯を全員退去させることは、戦後にA級戦犯から外務大臣になつた重光葵の例があるから難しい。しかし戦争には責任者がゐる。東條英機を祭ることは外国から見て許されない。だから東條に退去してもらひ、あとは外交努力で中国や韓国を説得して収束させるべきだ。
それなのに野田は騒ぎを拡大させた。こんな男に首相は無理である。尖閣列島問題で騒ぎを拡大させた前原と似てゐる。新自由主義は拝米しか頭にないからこういふことになる。

開戦責任と敗戦責任と弾圧責任と戦争犯罪について日本自身が裁判をすべきだつた。 極東軍事裁判は原爆など連合国側の犯罪は起訴されず公正ではない。勝者の儀式である。しかしそれはそのときに言ふべきでそうすれば賞賛されよう。今さら蒸し返しても誰も誉めない。東條は日本自身が裁判をしても死刑が相当である。

八月十九日(金)「東北大震災」
東北大震災が起きた。こういふときこそ与野党が協力すべきだ。管直人は低姿勢に野党に協力をお願ひすべきだつた。しかし菅のしたことは記者会見と福島原発の視察と会議の乱立だつた。周囲に怒鳴り官僚組織を有効活用せず時間を無為に浪費した。自民党から一人引き抜いて与野党の関係を悪化させた。それでいて大連立だけは叫び続けた。
そのような菅路線を引き継ぐのが野田と前原だ。どちらを代表にしても党内の分裂状態は続き次期選挙の敗北も確実だ。

八月二十日(土)「野田の火事場増減税を許すな」
福島県で避難してゐる間に家の中のものや農機具を盗まれた人の話を聞いた。他人の不幸に付け込む火事場泥棒は絶対に許さず厳しく捜査すべきだ。
管直人が東北大震災で火事場泥棒をやらうとした。まづ復興のため消費税の一時的増税を言ひ出した。その後は増税分を恒久化することが見へ透いてゐたから反対が多く、輿論は所得税と法人税の臨時増税に落ち着いたようだ。菅は東北大震災で大連立もやらうとした。これも失敗した。

野田が一昨日講演で同じような主張をした。法人減税分を臨時増税にするといふのだ。菅は法人税を減税し消費税を増税すると言つて国民の批判を受けた。そんな逆進性の強いことは許されない。
企業経営の大変なのは黒字にすることだ。それなのに菅は研究開発や減価償却の優遇分を廃止し、法人税は下げようとした。そんなことをすれば企業は赤字になるか暴利を上げようとするか二分される。社会はめちやくちやになる。
菅は火事場増税をやらうとした。野田は火事場減税をやらうとした。どちらも国民の生活を無視してゐる。「国民の生活が第一」といふ名文句で民主党は信任を得た。だから民主党は菅と野田を除名すべきだ。

八月二十一日(日)「新自由主義に魂を売る」
民主党の代表選で菅直人に投票した人たちは、野党時代に政府を追及したかつての姿勢に期待した。しかし菅は前原、野田派といふリベラル新自由主義グループに魂を売つてしまつた。そして拝米と弱肉強食経済に大きく舵を切つた。尖閣諸島騒ぎと消費税騒ぎはその現れである。
菅の後任に前原や野田を選んだらどうなるか。従来は新自由主義の代理人だつたのに、今回は新自由主義そのものが出てくる。
国民の心理としては、やることが同じなら若造より年配者を選んだほうがよいと感じる。前原や野田のような若造がどうせ自民党と同じ政治をやるなら、国民は自民党に投票する。

八月二十二日(月)「また始まつた洗脳工作」
マスコミの世論調査は世論調査ではない。一億洗脳工作である。日本の偏向マスコミは小沢潰しのときは露骨なほどその正体を現した。そして今回も始まつた。共同通信が電話世論調査を実施し、次期民主党代表にふさわしいのは前原が一位、枝野が二位、岡田が三位と発表した。
この記事は各新聞社のインターネットでも昨日MSN産経ニユースしか報じなかつた。それは次の問題点がある。
一番目に電話の世論調査はあてにならない。電話の相手に気兼ねし本当のことを言へない。
二番目に前原、枝野、岡田といづれも新自由主義派である。しかも前原は外国人献金騒ぎで外相を辞任し、枝野、岡田はその無機的な言動が民主党不人気の原因である。首相になつても三人ともすぐ退陣に向ふのは目に見へてゐる。
三番目に一日過ぎた今朝の時点でもMSN産経しか報道してゐない。産経はその拝米反亜が酷すぎて新聞とは言へない。米系企業のマイクロソフトとその産経が提携したのがMSNネツトだ。
不人気の菅を支へてきたのが三人だ。前原は辞任したがそれは外国人献金問題で責任を取つただけだ。菅を批判したのではない。菅が不人気なのに三人が人気者になる筈がない。

八月二十三日(火)「前原の発言は欺瞞だらけだ」
前原が代表選に立候補することになつた。昨日「国のために、出馬することに決めた」と述べた。国のため以外に首相にならうとする人がゐるのか。例へば京都府のためにだとかアメリカのためにだとか。「国のため」と発言をすること自体が不自然だ。
前原は外国人献金問題で外相を辞任した。辞任するからには相当責任を感じたのであらう。それなのに首相に立候補するといふ。三国志の諸葛孔明は街亭の戦ひの責任を取り丞相から三階級降格した。前原は法律違反の献金問題の直後に外相から二階級昇格して首相に立候補した。これでは後世の笑ひ者だ。
前原は菅を批判して辞めた訳ではない。それどころか前原枝野派は菅内閣発足のときに菅を拝米新自由主義に巻き込んだ。だから枝野は今でも官房長官だし仙谷も副長官だ。
管直人は民主党の政権交代を完全に駄目にした。その管直人を引き継いだ前原では国政選挙の敗北が目に見えている。

八月二十四日(水)「管直人の最大の失敗」
管直人の最大の失敗は、民主党の半分を切り捨て、自民党との連携で帳尻を合せようとしたことだ。
菅は小泉純一郎の真似をしたかつたのだらう。しかし小泉のときは国民は自民党の長期政権にうんざりしてゐた。だから党内守旧派を攻撃する小泉に喝采した。菅のときは国民は民主党に期待してゐた。それなのに民主党をぶつ壊した。
その管直人の路線を前原は百%引き継ぐ。前原を代表にしたら民主党はかつての社会党のように消滅するだらう。

八月二十五日(木)「与野党交代」
議会政治では与野党がときどき交代しなくてはいけない。日本はあまりに一党支配が長かつたために、官僚支配と占領軍長期居座りと偏向マスコミを生じた。これらは世界でも異常である。
大連立を叫ぶ連中は、国民から選ばれたのに既得権者の言ひなりだから、まさしくペテン師である。(完)


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