百八十九、江田三郎五月親子批判(社会党左派はなぜ国民の人気を集めたか)

平成二十三年
八月一日(月)「江田親子批判」
江田五月は法務大臣失格である。判りやすい例を挙げると、裁判所が懲役を取り消して無罪を言ひ渡した。それなのに法務大臣が釈放しない。或いは裁判所が実刑を判決したのに法務大臣が収監しない。死刑判決を執行しないのはそれと同じことだ。
江田五月の過ちの背後に江田三郎の思想がある。日本の安定のために江田親子の問題点を指摘する時期であらう。

八月二日(火)「江田ビジヨン」
若い人たちには信じられないであらう。今から十八年前までは日本社会党といふ社会主義を目指す政党が野党第一党だつた。その日本社会党の書記長江田三郎が昭和三十七年に「江田ビジヨン」
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しかし一番目と二番目は両立が不可能である。更に、アメリカの生活水準が高いのは先住民と野生生物の広大な土地を奪つたからだ。今でもアメリカの家庭は各部屋ごとに風呂がある。そんな贅沢は土地を奪へばこそできる。
私が富士通グループにゐたときに、富士通労組のオーストラリア視察団が帰国後に「オーストラリアは普通の家庭にプールがあつた」とうらやましがつてゐた。オーストラリアは先住民、カンガルー、コアラから広大な土地を奪つて作つた国だ。富士通労組は何を勘違ひしているのか。アメリカやオーストラリアの真似をしてはならない。江田三郎の最初の間違ひはここにある。

八月七日(日)「マツカーサの植民地政策」
フランスがアルザスロレーヌ地方を併合したときに植民地とは呼ばなかつた。ロシアがフィンランドの一部を併合したときも植民地とは呼ばなかつた。植民地とは西洋野蛮人が自分達の基準で劣つてゐると見なした地域に付けた名前である。植民地には、収奪対象、移民先、軍事目的、輸出先などがある。そういふことを日本の社会学者は調べてアジア各国の国益に生かすべきなのにできない。完全に猿真似ニセ学者と化したからである。当ホームページは彼らのことを以前は猿真似三流学者と呼んでゐたが、これだと一応は学者である。まつたくアジアの役に立たないのだからニセ学者と称することにした。

さて世界大恐慌以降の植民地は輸出先であつた。そしてそれは戦後も続いた。だから自由と民主主義を押し付けることは新手の帝国主義であり植民地または属領にしようとする企みである。そのことに国民は気がつき社会党左派へと支持を向かはせた。

八月十四日(日)「西洋好きの江田三郎」
「アメリカの生活水準」の偽善については前に述べたので今日は残り三つに進まう。まづ昭和三十七年以前にハンガリー騒乱があつたしスターリン批判もあつた。ところがこれらを無視して「ソ連の徹底した社会保障」と言つたところで国民は江田の偽善を見抜く。
「英国の議会制民主主義」とは西洋列強の植民地支配を正当化する。「日本の平和憲法」とはマツカーサが押し付けたものを正当化する。一旦廃棄の上で平和憲法を作ることには賛成である。


八月二十一日(日)「米ソ対立に巻き込まれた日本」
国民はアメリカの押し付けには抵抗する。しかしソ連にも幻滅した。戦前のイギリスやフランスの植民地支配への反感も残つてゐた。それなのに江田三郎のやつたことは米ソ英の賞賛だから、国民に受け入れられる訳がない。
中国はソ連とは別の道を歩んだ。だから中国への期待はあつた。毛沢東の文化大革命が失敗に終わり国民が社会主義そのものに期待しなくなるのは後の話である。
日本独自の社会主義も考へられるが、不確定要素が多すぎる。そういふ不安定なものに国民は期待しない。社会党のすべきは少しずつ改革を進めて気が付いたら社会主義になつてゐたといふ右派の路線だがこれも後の話である。
この時期には江田ビジョンこそ社会党を駄目にした元凶であつた。

九月三日(土)「国民が政治家に望むこと」
国民は政治家に力量を望む。だから浅沼稲次郎や田中角栄や佐々木更三のような政治家は人気が高い。
小泉純一郎は米百俵の演説で人気を得た。もしアメリカの学説を引用したりすれば人気は出なかつた。外国の真似をする政治家に力量がない。
江田三郎はアメリカと旧ソ連とイギリスを誉めて社会党を駄目にした。もつともその後に社会主義協会が旧ソ連の真似をしてそれが社会党を本当に衰退させたがそれは後の話である。
もしどの国も死刑を廃止してゐないのに江田五月が廃止を主張したのなら力量がある。しかし西洋の真似で言つただけだから偉くも何でもない。真似をするならその前に宗教改革、三十年戦争、フランス革命を経なかつた影響を考へるべきだ。(完)


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