千八百一(うた) 郵便局は不便な場所に移転する
壬寅(西洋野蛮歴2022)年
八月十二日(金)
私の知る限りで、郵便局が三度移転した。そして三回とも不便になった。一回目は浦和辻郵便局で、六辻交差点にあったものが八十メートルほど細い道路を入った位置に移転した。細い道路と云っても上り下りの車がすれ違へる。狭くはないが、今までの国道と旧中山道が交差する位置よりは狭い。狭いと云ふより、寂れた道と云ったほうが適切だ。
二回目は新中野駅前郵便局で、地下鉄出口の隣だった。それが百五十メートル移動した。私が勤務した会社の向かひの路地を歩くとそれまでは郵便局まで行けたのに、交差点の対角線、つまり信号を二回渡って百五十メートル歩かなくてはならなくなった。尤も逆方向にある中野本町五郵便局が移転前と同じ距離なので、こちらを使ふやうになった。
三回目は、一回目と同じ浦和辻郵便局が、路地を更に七十メートル先に移動した。一回目と三回目は三十年以上離れるから、しょっちゅう移転した訳ではない。しかし一回目と三回目を合はせると百五十メートルだから、不便になった。
郵便局が近くなった家もあるではないか、と云はれさうだが、個々の家ではなく繁華街からどれだけ遠くなったかを考へてゐる。
浦和辻郵便局は六辻交差点及びバス停からの距離、新中野駅前郵便局は駅出口からの距離。特に新中野駅前郵便局は、今まで地下鉄の二つの出口の間にあったのに、片方の出口から外側に百五十メートルになった。そのため鍋横大通り商店街から百五十メートル離れてしまった。
都市銀と信託銀は大手にて 預けることや住宅で融資を受けることがある しかし地元の産業を支へるものは地方銀 そして反歌に掲げる三つ

(反歌) 国民の金融機関三つあり信金信組郵便貯金
反歌は文語だ。口語なら「あり」ではなく「ある」だ。私は口語のつもりで用ゐた。要は、読む人が変に感じない文体を使ふべきだ。

八月十四日(日)
六辻交差点と新中野駅前。郵便局は目立たない場所にあるものも多いので、この二ヶ所が移転しても他と釣り合ひが取れない訳ではない。
とは云へ、便利な場所に郵便局がある場合も多い。例へば菊名駅前郵便局。ここは建て替へのため一時不便な場所に移っただけで、元の場所に戻った。東京中央郵便局は、東京駅前だ。
一般企業が簿価との差額を計上して赤字逃れをするみたいに、便利な場所を不便な場所に移転して収支を合はせてはいけない。郵便局はATMの手数料が銀行より便利だ。この利点のため、不便な場所にありますと云ふのなら、長期戦略として反対ではない。
要は長期戦略を立てることだ。ファミリーマートのATMが手数料なしで使へたのは、長期戦略として悪いことではなかった。近くにファミリーマートが無い地域を除き、郵便局のATMを廃止することだってできた。なぜ有料化したのか分からない。
大都市の都市銀行は廃止しろ信金信組郵便局に
(終)

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