千七百四十七(歌) 1.自画自賛や他画他賛は逆効果、2.自画他謗と他画自謗
壬寅(西洋野蛮歴2022)年
五月二十日(金)
認知症の本を読んだ。漫画で描かれ、ページ数に対する情報量が少ないし、単発情報の羅列(と云ふほど情報が多くはない)なので応用性が低い。しかし最大の不満は、著者の療法士を、有能で善人で感激屋に描き過ぎる。描いたのは漫画家で療法士ではないが、著者はこの療法士だ。
自画自賛は逆効果だ。これがこの本からの教訓だった。内容は情報量を多く、漫画の顔は控へめにするとよい。
----------------------ここから「良寛、八一、みどり。その他和歌論」(七十)---------------------
五月二十一日(土)
根津権現の境内に「浅嘉睦」と書かれた石柱があった。落合直文の朝香社は浅嘉町に因むのかと、「落合直文」と云ふ書籍を借りた。これがとんでも本で、家系図が藤原不比等から始まる。ばかばかしいので、この本は読まないことにした。
著者は前田透なる男で、交易会社などに勤務の途中で父親の前田夕暮が亡くなったのち白日社「詩歌」を継承。この後も勤務は続け、二十年後に私立大学教員。翌年に歌会選者。歌会に変な歌が多いのも頷ける。
六十二歳のころから直文の研究を活発化させたことが書いてあり、それなら直文を詳しく書いたとして、本文中にくどくど書いたことは仕方がないか、と気を取り戻した。だが藤原不比等から始まる家系図と、本文中に直文の実父の家系は伊達家の一門、一家、準一家、一族、宿老、(以下略)のなかの一家だとかの記述はよくない。
他画他賛も逆効果だ。そして著者の前田透なる男が、歌会選者になっただの大学教授になっただとかは、自画自賛であり、昨日述べたやうに逆効果だ。
自画自賛してはいけない効果は逆だ 他画他賛これもいけない効果は逆だ
五月二十二日(日)
自画自賛や他画他賛より更に悪いのが、自画他謗だ。茂吉本人はともかく、その系列の人たちが、茂吉を褒めて左千夫を悪く云ふ。
私自身は、子規や左千夫の歌で佳いと感じるのは5%だから、それほど歌感が合ふ訳ではない。言ひ換へれば、95%は合はない。それなのに左千夫だけを悪く書く本が近年目立つため、左千夫を応援するやうになった。
これはどの世界でも云へる。対立する門流の分裂した人たちは仲間だった。或いは子弟だった。ところがその後の人たちは、入門した時から対立してきた。
歌については、子規や左千夫の時代に戻るとよい。と同時に当時の旧派は今や勢力が小さいのだから、旧派批判を止める。これで歌界は正常に戻る。
我が国は明治維新と敗戦で二度の津波の被害あり 今も混乱二度目の津波
(反歌)
米英を褒めて日本を悪く云ふ他画自謗こそ歌を滅ぼす(終)
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