千六百八十一(和語の歌) 記事『崩れる「35歳の壁」 中途採用、ミドル層が主役に』を読んで
辛丑(2021)西暦元日後
閏月二十八日(金)(2022.1.28)
日経新聞のホームページに
崩れる「35歳の壁」 中途採用、ミドル層が主役に

が載った。気が付いた点を幾つか述べたい。まづ
「この5年くらいで35歳の壁は完全に崩れた」(中略)「若い人材を育てるよりも、脂の乗った40歳で即戦力になる人材を採ったほうが効率的だと多くの企業が気づいた」と指摘する。

今から三十五年前まで、転職は三十五歳が限度と普通に云はれた。その十年後に、限度は三十五歳から四十歳になったと云はれ始めた。
それなのに、ここ五年くらいで三十五歳の壁が完全に崩れたと云ふのは、日本の企業がどれだけ役所的なのかよく判る。二十年間何をやってきたのか。
複数の会社で人事業務を担当することで「人事のプロになりたい」という思いが強まった。経験を売りにしながらスキルアップも可能な場所を探し当てた。転職先では採用から労務、人事制度など幅広く任せられている。「ここで腰を据えて学びたい」と笑顔を見せる。

私は、世間で云ふ事務職の人たちには不満がある。例へばワンマン会社の社長が「xxは退職させろ」と云ったとする。
1.事務職の95%は、それに従ふ。
2.事務職の4%は「相手が退職しない場合は、大変なことになるので、止めたほうがいいです」と進言するだらう。悪質な会社は、進言した人が次は退職対象者になってしまふが。
3.事務職の1%は、退職させろと云はれた人を、立派な戦力にするだらう。
このうち人事は「3.」だ。「2.」は人事見習ひ、「1.」は書類作成屋、パソコン操作屋、書類ハローワーク持ち運び屋。
会(あつまり)で 人を扱ふ 務めとは 人を活かして その人と 周りがすべて 喜ぶことだ


閏月三十日(日)
派遣会社や工数請負会社は、景気のよいときは人集めに苦労し、景気が悪くなると退職勧奨を行なふ。私が過去に在籍した或る会社では、多いときは四百人、少ないときは八十人。景気の波に合はせて、人数が二十八年間に三回ほど上下した。だから退職者の累計は膨大な人数になる。
ここで云へる結論は、派遣会社や工数請負会社はそもそもこの世に存在してはいけない。勿論、労働側にも責任がある。退職勧奨を阻止すれば、会社は別の事業を考へるやうになる。例へば派遣の分野を特化して経験を集積し、その分野に進出する。
私も人事採用を担当したが、景気のよいときに採用するのは大変なことだ。しかし採用人数より大切なことは、退職者数だ。これの多い会社は、改善する必要がある。
大企業が派遣や工数請負を使用し、その人が退職したときは人数を加算する仕組みを役所は作る必要がある。そして都道府県の労政事務所は毎年公表すべきだ。
「3.」の人事担当なら、この程度を思ひつかなくてはいけない。(終)

ニ月一日(火)追記
1.「2.」は本来「理由がなく退職させてはいけません」と答へるへきだ。しかしそれでは、言った本人が無事では済まないので、違ふ言ひ方をした。
2.なぜ私が、派遣や工数請負の会社に転職したのか疑問に思ふ人もゐることでせう。転職したときは、派遣や工数請負の会社ではなかった。派遣の届け出はしてないし、ハードウェア販売とソフトウェア製品輸入販売も三本柱のうちの二つだった。私はハードウェアソフトウェア製品販売サポートとして入社した。

日本の宗教を叱る 状況に合はせて生きる

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