千六百五十ニ(和語の歌) 「大人の休日倶楽部パス」の経済学
辛丑(2021)
十二月五日(日)
今回の旅行は、概算で1780kmに乗車した。前々回前回は、概算で1700Km、1640Kmだから、一番長い。
今回は帰宅が、午後一時過ぎ(一日目)、三時過ぎ(二日目)、五時過ぎ(三日目と四日目)なのに、乗車距離が長かった理由は、新幹線比率が高かった。三日目に房総半島に在来線特急で往復300Km以外は、すべて新幹線だった。
前々回と前回は、青森まで周ったため、太平洋側は新幹線と在来線(三陸海岸)、日本海側は在来線だった。
大人の休日倶楽部パスは、(1)東日本、(2)東日本・北海道、(3)北海道の三種類があり、一日当りの発売枚数合計が三万枚に達すると売り切れになる。JR東日本のホームページに、残りが五千枚になると△、売り切れると×が表示されるが、今回と過去に△や×になったことは一回もない。
インターネットで調べると、2015年は発売枚数合計が一万五千枚で、売り切れになった日が二日出たさうだ。私が思ふに、(1)東日本と(3)北海道は重ならないので、(1)と(2)の合計、または(2)と(3)の合計が、三万枚を超えたときに売り切れにすればよい。
売り切れ制度を設ける理由は、東京と新青森または秋田を結ぶ「はやぶさ」「こまち」、新函館と札幌を結ぶ「北斗」が混むためだと思ふ。
まづ「はやぶさ」は、座席指定を使へないか、回数を制限して構はない。盛岡から先は、普通車の空いている席を利用できるし、仙台と盛岡の間は、途中駅に停車する「はやぶさ」「こまち」を利用できるからだ。とは云へ、2015年に一万五千枚だったものを三万枚に増やしたのだから、今のままで問題はないだらう。
「北斗」は特定の曜日と時刻を限って乗車できなくする方法があるものの、こちらも三万枚に増やしたのだから、問題はないのだらう。JR北海道の、貴重な収入源だ。
はやぶさと こまちと北の 七ツ星 東(ひがし)の京(みやこ) 朝立てば 秋田は八つ 札幌も 八つに着きて 宿でくつろぐ

八つとは、午後二時頃または午前二時頃。

十二月六日(月)
大人の休日倶楽部パスを使ふと、ずいぶん得した気分になる。しかし全体を一筆書きと考へると、それほどではない。本州JRの幹線は1Km当り、300Kmまでは16円20銭、300~600Kmまで12円85銭、600Km超は7円5銭。
今回は四日間で1700Kmだから、300×16.2+300×12.85+(1700-600)×7.05=16465円。特急料金は運賃と比べて、近距離は高く、中距離は同額、遠距離は安いから、仮に11000円としよう。合計は27465円で、大人の休日倶楽部パス15270円の1.8倍。大人の休日倶楽部ジパングはJR東日本内が30%引きなので、その分を控除すると1.26倍。妥当なところだ。
青春18切符の中高年版と云へる。中高年50切符である。青春18の2410円/日に対し、中高年50は3818円/日。特急料金を考へれば、妥当なところだ。
以上は経済学的に、金額のみを考へた。次に経営学的に見ると、一筆書きではないのに一筆書きとして扱ふ。つまり乗客にとってはありがたい。青春18との比較では、特急は乗車キロが多くなるからありがたい。
歳重ね 五十(いそ)路を過ぎて 旅に出る 鉄(くろがね)の路(みち) 乗り継げば 油燃やさず 星を汚さず

大人の休日倶楽部パスは定着し、多くの人に愛されてきたのだから、これからも今のまま続けてほしい。もし増益を図るなら、土曜と日曜の両方にまたがる切符は販売しない方法がある。
東日本切符なら、日月火水、月火水木、火水木金、水木金土の四種類。東日本北海道切符と北海道切符なら、日月火水木と月火水木金と火水木金土の三種。東日本切符は土曜か日曜の片方でも販売しない方法もあるが、これだと二種類で減収になり過ぎる。
これで閑散期の「はやぶさ」「こまち」「北斗」を減車できるなら増収になる。できないなら、複雑になって売り上げが減る分の損失になる。ホテルや観光施設は、来客が分散するから喜ぶだらう。実施するなら、JRだけが儲けるのではなく、観光業界全体の共存が大切だ。(終)

追記十二月十日(金)
年に三回の大人の休日倶楽部パス(各十二日の利用期間)の他に、「大人の休日パス 東日本・北海道スペシャル」を来年三月に十日の利用期間で販売することが、四月に発表されてゐた。発売は一日に三万枚だから、全員が「はやぶさ」「北斗」に集中しても大丈夫だと判った。私も一回、通常の「大人の休日倶楽部パス 東日本・北海道」を利用したが、「はやぶさ」の大宮仙台間が座席の80%程度で混んでゐると感じただけで、あとはそれほどでもなかった。まだ20%の余裕があった。

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