千六百三十三(和語の歌) 南浦和浄水場の廃止
辛丑(2021)
十月三十日(土)
私が南浦和浄水場(地下水を汲み上げ浄化して家庭や事業所に配水する)に注目したのは、半月ほど前のことだった。突然朝寒くなった。ところが水道の水は暖かい。地下水なのだらう。その翌日からは、暖かく感じなくなった。その時点で、その日は南浦和浄水場、翌日からは水道局が荒川の秋ヶ瀬取水堰に切り替へたと、仮説を立てた。
南浦和浄水場から二百数十メートル離れた場外の井戸を見ると「南浦和浄水場第三号取水場」とある。インターネットで南浦和浄水場を調べると
昭和30年に地下水を水源とする浄水場として給水を開始しました。
さいたま市南区南本町1-16-22
水道水源  地下水(深井戸)
配水能力  3,600立方メートル/日
深井戸
 口径300ミリメートル×深度250メートル 1井
 口径350ミリメートル×深度300メートル 1井
 口径350ミリメートル×深度270メートル 1井
 口径350ミリメートル×深度350メートル 1井
(以下略)

寒い日に 水温かく 井戸からと ひと時思ひ 次の日は 冷たく戻り 復た考へる


十月三十一日(日)
同じ頁にある市内の「配水場、浄水場の位置図」のうち旧浦和市内の浄水場は四ヶ所。配水場は四ヶ所で秋ヶ瀬取水堰から県営水道で送られる。
この位置図を見て思った。十月の突然寒い朝に温かかったのは、前日に秋ヶ瀬から取水した水が配水場に溜まってゐたためではないか。
さて別の頁を見ると
配水場は県営水道から浄水を受水して給水する施設であり、地下水を取水する施設を併せ持つ配水場もあります。
浄水場は地下水のみを給水する施設です。

我が家は、南浦和浄水場と別の配水場のどちらから来るのか。

十一月二日(火)
本日の回覧板に、南浦和浄水場廃止の記事があった。今月末で稼働停止、四年後に撤去するさうだ。インターネットに載る「さいたま市水道施設再構築計画」を見ると、目的は回覧板に書かれたやうに
将来的な人口減少とそれに伴う給水収益の減少が見込まれる中で、昭和30年代から50年代に整備した水道施設は老朽化が進んでおり(以下略)

市内施設の概要では
昭和12年の給水開始から深井戸による地下水を水源としてきました。その後、高度経済成長期における水需要の増加や地下水取水に伴う地盤沈下の防止に対応するため、昭和43年から利根川・荒川水系を水源とする埼玉県営水道からの受水(括弧内略)を開始し、平成5年には全水源における取水量の97%が県水となりました。

ここまでが高度経済成長期の流れだ。
その後、地下水を県水に依存せず非常時でも利用可能な自己水源と位置付け、地下水の取水割合を増加した結果、現在では取水量の約90%を県水が、約10%を地下水が占めています。

なるほど南浦和浄水場近辺の深井戸は、過去施設の残存だけではなかった。
深井戸は、浄・配水場内又は場外の専用敷地に設置されており(令和元年度末で59井稼動)、取水可能な地下水源量は137,500㎥/日(注2)となります。深井戸で取水された地下水は、浄・配水場でろ過や薬品注入など必要な浄水処理を行います。
浄・配水場は、地下水を供給する浄水場が7か所、地下水及び県水を供給する配水場が13か所あり、その施設能力は538,000㎥/日となります。

欄外の(注2)に
地下水源は常用と予備に分けられる。常用とは恒常的に使用が認められる水源、予備とは地震、渇水、水質事 故など非常時にのみ一時的に使用が可能な水源を示す。令和元年度末時点で、常用は63,000㎥/日、予備は74,500㎥/日となっている。

市内の配水場のうち深井戸がないのは四ヶ所。我が家から一番近い配水場もそのうちの一つだ。我が家は浄水場、配水場のどちらから配水されるのか。井戸水比率100%か0%だ。
我が家には 荒川の水 井戸の水 どちらにしても 一つから来る

西部地区は二つの浄水場の一つを廃止するが
土合浄水場の方が地下水水質が良好である。また、管網解析結果から、低水圧となりやすい地区の近傍に位置する土合浄水場を存続することで、平常時における配水水圧を確保できる。

深井戸なのに、水質が異なるとは、初耳だ。昭和四十七(1972)年頃に、三重水素の測定から浦和水脈はないことが判明したと云ふニュースを読んだ。それまで東京の深井戸は浦和方面から水が流れると考へられてきた。しかし実際は、池みたいな溜り水だった。それよりこのニュースで初めてトリチウムと云ふ単語が使はれた。今後この語が広まるだらうと予想したら、さのとほりになった。私は今でも三重水素を用ゐる。
これからは 利根川含む 荒川の 水が送られ 我が家潤す

利根川の水を行田市の利根大堰で取水し、武蔵水路を経由して荒川に放流する。荒川のダムと、利根川のダムと、見沼代用水合口二期で節水した分と、秋ヶ瀬取水堰下流の調整池で荒川水量を確保した分を、東京都と埼玉県の浄水場で分ける。
水利権は以上だが、すべての水は混ざるから、要は利根川と荒川の水だ。(終)

追記十一月四日(木)
GEMS/Waterのホームページに、土合浄水場の取水場が載る。まづ
GEMS/Waterとは?
国連環境計画(UNEP)や世界保健機関(WHO)などの国際機関によって進められている、淡水水質の監視プロジェクト。地球環境監視システム(GEMS,GLOBAL ENVIRONMENTAL MONITORING SYSTEM)の陸水監視部門であり、全球をカバーする唯一の淡水水質監視プロジェクトです。1977年に設立され今日まで継続されています。

監視点の一つが
観測開始日 1966年1月6日
位 置 埼玉県さいたま市浦和区仲町

土合浄水場については
ベースステーションである浦和3号取水井は、かつて埼玉県南部の「浦和水脈」と言われた地下水に恵まれた地域に位置している深井戸である。現在も水は清浄で、年間を通して安定したものとなっている。

GEMS/Waterは
ベースラインが二箇所で、摩周湖と土合浄水場(旧浦和浄水場)
トレンドが二十二箇所で、霞ヶ浦St.3 (高浜入)、霞ヶ浦St.9 (湖心)、霞ヶ浦St.12 (湖尻)、三方湖、琵琶湖北湖、琵琶湖南湖、吉野川高瀬、四万十川具同、球磨川横石、筑後川瀬の下、豊平川白川、利根川利根大堰、杉並浄水所、相模貯水池相模湖大橋、相模川弁天橋、相模川寒川、木曽川犬山、木曽川朝日、淀川枚方大橋、太田川戸坂
フラックスが三か所で、石狩川石狩大橋、旧北上川鹿又、信濃川久蔵興野
国内に二箇所のみのベースラインの一つでは、廃止できない。
■採水方法
取水ポンプ上部に付いている採水用蛇口から採水する。

南浦和浄水場第三号取水場も、井戸の地上部分横側に蛇口がある。(下の写真参照)
■水質の動向
水質の変動は年間を通じてほとんどない。
(中略)
■施設の状況
昭和12年浦和浄水場の取水井戸として取水を開始した。平成20年11月浦和浄水場休止に伴い、平成21年7月より土合浄水場の取水井戸として使用を再開し、現在に至る。

平成20年11月から平成21年7月までの休止期間は、浦和浦和浄水場への水道管撤去と、土合浄水場への水道管敷設であらう。

  

(南浦和浄水場第三号取水場と、井戸の地上部分)

(見沼代用水と地元の話題、二十五)  (見沼代用水と地元の話題、二十七)

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