百六十二、菅直人と蓮舫は現代の非国民だ(三時間停電を批判)


平成二十三年
四月三日(日)「現代の非国民とは何か」
菅直人と蓮舫は現代の非国民である。現代の非国民とは何か。それは国民の苦難を共有できない輩のことである。だから六五年前の戦前戦中に使はれた用語とは異なる。国民とは日本国籍者だけではなく、国内で世の中と産業に貢献するすべての外国人も含む。
国民の苦難とは一つには災害に直接遭つた人たちである。あれだけ多数の犠牲者と避難者を出したのに、菅直人はマスコミに目立つことと連立しか考へない。
二番目には計画停電である。この停電は東京電力が菅直人の了承を得て始めたとされる。菅直人はとんでもない男だ。まず三時間といふ長さである。一時間なら我慢もできる。夜に暗く寒い中を三時間も停電になつたら大変である。あるいは工場や事務所が三時間停電したら大変である。正社員はまだよいが非正規雇用者はその間の給料が払われないし三時間だけ職場から退去を命じられた者もゐる。
なぜ一時間にしないのか。一時間では暖房の暖め貯めで効果が少ないといふなら一時間ずつ四回でもよい。本当なら三回だから一回多くこれなら大丈夫だ。実際には対象地域を広げれば二回で済む。隔日三時間一回よりは毎日一時間二回のほうがよい。菅直人はそんなことも判らないのか。そんな国民の苦難のなかで蓮舫は「権力で自由な行動や社会活動を制限するのは最低限にとどめるべきだ」と場違ひなことを言つた。

四月四日(月)「非常事態」
計画停電は非常事態だ。判りやすく言へば火事で消防が出動し危険防止と消防活動の妨げとならないよう一般の立ち入りを禁止するロープを張った。それに対して「権力で自由な行動や社会活動を制限するのは最低限にとどめるべきだ」と文句をつけるようなものだ。
計画停電を止めるには暖房が必要な時季と冷房が必要な時季に分ける必要がある。暖房の時季はまず事業所の二交代制が考へられる。だからと言つて独断で決めてはいけない。深夜割増勤務とならないようにすべきだ。保育園に子供を預けてゐる人への配慮も必要だ。通勤時の列車本数の削減とピークが朝夕二回ずつになることへの鉄道会社との連携が必要だ。これらを各方面と調整しなくてはならない。
菅直人は思ひ付きで行動する。計画停電の承認がいい例だ。蓮舫も思ひ付きで発言する。今回の花見発言がいい例だ。

四月五日(火)「電力使用制限令」
さすがの菅内閣も計画停電はまずいことに気付いたらしい。電力使用制限令を発動することになつた。枝野や蓮舫の今までの主張とは正反対だが間違ひを改めたのなら賛成である。
ところが朝日新聞は蓮舫ばりの記事を書いた。

今夏の課題は、冷房使用が集中する真夏の午後1~3時ごろの需要ピークの消費電力(キロワット)を抑え、需要が供給を一瞬でも上回ることで起こる、制御不能な「大規模停電」を避けることだ。例えば、需要ピークの時間帯でない深夜にコンビニエンスストアが営業をやめても効果はない。

今は多くの原子炉が止まつてゐる。深夜の電力は火力で作られる。だから節電すればその分のLNGや石油が節約できる。燃料不足の東北地方に回すために少しでも節約すべきだ。

大企業などで業績が悪くなると昼休みに室内の照明を暗くすることがある。節約できる金額はわずかだが節約しようといふ意識が皆に起こる。コンビニエンスストアも同じだ。輪番閉店にするか減光にするか深夜であつても節電すれば国民の意識を変へることができる。朝日新聞のリベラルといふ名の新自由主義がここでも明らかになつた。

今年の夏は企業だけでは間に合わない。家庭の冷房を午後一時から三時まで禁止すべきだ。冷房を入れたかどうかは室外機で判るから近所や通行人の手前、自分だけ冷房を入れようといふそういふ朝日新聞の記者のような根性の人間はでないはずだ。病人などやむを得ない人もいよう。そういふ家庭は役所に届け出て菅直人の似顔絵入りのプラスチツク板を配布してもらひ玄関にぶら下げておく。
これで今年の夏は大丈夫である。菅直人も国民に目立ちたいといふ欲望が満たされるからパフオーマンスをせずに政務に専念できる。

四月六日(水)「高濃度汚染水の排出が止まる」
海に流れ出してゐた高濃度汚染水ががやつと止まつた。しかし心配するのはこれからだ。大量の高濃度汚染水が地下に漏れてゐる。そのうちの一部が海に湧き出てゐた。これからが本番である。

四月七日(木)「東京電力が嫌はれる理由」
東電の計画停電は三時間といふ極めて不便な長さだ。それだけではない。自分の地域がどのグループなのかわからない。市区町村名では第1グループなのに詳細情報では第3グループだとか、二つのグループに載つてゐるだとかどこにも載つてゐないなど混乱が続いた。
テレビでは再三問い合わせ電話番号を紹介するが掛けても話中である。私は四時間の間に数十回掛けたがつひに一回も繋がらなかつた。
これだけでも東電は退場に値する。管理職以上は全員解雇し新会社は新たに募集すべきだ。今まで政府の規制にあぐらをかいた役員や上級管理職は今までの給料の一部を責任と金額に応じて寄付させるべきだ。
菅直人にこれだけのことが出来るか。

四月八日(金)「原発宣伝冊子」
東京電力は以前、原発を宣伝する小冊子を月に一回だか隔月に一回だか発行してゐた。今は発行してゐるかどうかわからない。この小冊子の出来が最悪だつた。ちようど女系天皇を認めるかどうかで国内が騒がしいときだつた。その小冊子はコラムに、他人の家のことはどうでもいいではないか、といふようなことを書き女系天皇反対派を非難する論調だつた。
女系天皇の賛否で小冊子を批判するのではない。そういふ問題に東京電力が口を出してはいけない。コラムに反対だから東京電力と契約しないといふ訳には行かないからだ。
この小冊子は東京電力が編集するのではなくどこかの会社に委託してゐた。それほど金を使つてまで原発を推進し金儲けがしたいのかと呆れた。

今から三十年前に外科病院の外来で待つてゐたところ電電公社(当時)の従業員が三名くらい来て、一人が作業中に落ちたとのことだつた。歩けるくらいだから大したことはないのだろうが緊急に対応した医師は、内出血するといけないから注射をうちませうと言つた。電電公社も大変なんだと思つた。あのころはプラザ合意の前で現業が仕事の中心だつた。
今はどうか。現業は下請けにやらせ小冊子の編集まで下請けにやらせる。そして自分たちは高給を維持する。今回の地震で多くの企業が倒産し失業者も多数出た。これが自由経済である。その代わりに次の仕事もすぐ見つかるのが自由経済である。そのようななかで自分たちだけ失業もなく倒産もなく特権を持つたのが東京電力であり原子力安全保安院であり御用学者であり大新聞である。今こそこれらを退場させるべきだ。

四月九日(土)「JR東と東京電力の共通点」
地震の翌日の三月十二日とその三日後の十五日にJR東は大失態を演じた。まず十二日は朝七時から運転を再開すると発表した。テレビでも何回も放送した。ところが運転再開は九時ごろにずれ込み並行して走る私鉄は大変な混雑になつた。駅前の牛丼屋やハンバーガー屋は臨時休業だしコンビニは弁当やパンが売切れで大勢が空腹の中を長時間立たされ大変な思ひをした。
十五日は朝から運転を再開したが本数が少なく始発駅で満員になるため途中駅は駅前広場や道路に人があふれ警察が出動して大混乱になつた。ところがJR東は振替輸送を始めるでもなく報道機関に混乱した駅を発表させるでもなく改札の前でハンドマイクで叫ぶだけだつた。改札にたどり着く前が混んでいるのに何をしてゐるのか。そればかりではない。並行して走る私鉄駅に念のため行つてみたが改札口はがらがらだつた。

東京電力の何十回掛けても繋がらない問ひ合わせ電話と同じで自分の責任範囲しか目に入らない。東電は繋がつた電話だしJR東は改札口だ。多数の繋がらない電話や駅の外を取り巻く人が目に入らない。あのときJR東のすべきは各駅に外の人数を報告させ、始発駅の乗車人数を制限するか駅ごとに振替輸送の実施を決めるか報道機関やバス会社に連絡して駅に来ないよう放送を依頼することだ。東京電力のすべきは意味不明のグループ分けをきちんとテレビで放送させることだつた。
そのために幹部がゐる。ところが平時に高給を取るだけで本来働くべきときに役に立たない。

四月十日(日)その一「外交大失態」
菅直人が外交の大失態を演じた。アメリカとは三日前に相談し放射能汚染水の海洋への放流を認めてもらつた。といふかアメリカの提案で放流することにした。ところがロシアや韓国や中国には放流する直前に通告するだけだつた。
政府や東電は低濃度汚染水と言ふがこれは欺瞞である。基準の千倍だから高濃度汚染水である。これ以外に極めて高濃度の汚水が海に流出した。こちらは超特別高濃度汚染水と呼ぶべきだ。
周辺国が批判するのは当然である。東京新聞によると

 日本側関係者によると、米エネルギー省の意を受けた同省関係者が日本人研究者とともに一日、官邸で政府高官と面会。「汚染水を海に放出し、早く原子炉を冷却できるようにしないといけない。放射性物質は海中に拡散するので問題ない。米政府は放出に抗議しない」とのメッセージを伝えたという。

 政府関係者によると、東電本社内で開かれた政府や米国大使館による対策会議でも、米側から海洋投棄を認める発言があった。


 官邸筋は「海に流すのを決めたのは、日本政府の原発チーム。米政府の依頼によるものではない」と説明。一方で「米側から『大丈夫だ』という話はあった」と話している。

 他の近隣国に事前に説明しなかったことについて、枝野幸男官房長官は六日の記者会見で「私が指示すべきだったと反省している」と陳謝している。


枝野はもつと反省すべきことがある。重要な話は閣内で共有し省庁の意見を聞くべきだ。もし外務省が周辺三国に事前に相談すべきだと進言しなかつたなら外務省の大失態だが外務省に伝へなかつたなら官邸の大失態だ。
情報の共有のためにも余分な閣僚を作つてはいけない。パフオーマンスと連立の画策ばかりするからこういふことになる。

四月十日(日)その二「税金の無駄遣ひ、視察といふ名の大名旅行はやめろ」
上の根性が腐ると下まで腐る。菅内閣のことだ。海江田など三名が福島を視察した。視察といふ名の大名旅行ではないか。税金の無駄遣ひはやめろ。朝日新聞によると
海江田氏は作業員らを激励した後、バスで原子炉建屋まで10メートルほどのところに行き、バス内から状況を視察したという。同日夜に東京に帰り、「被害のすさまじさを目の当たりにした。一番の課題は高濃度の汚染水を海に漏らさずに運ぶこと。安全性を確認して作業を進める」と記者団に語った。


国民は被害のすさまじさと、超特別高濃度汚染水を海に漏らさずに運ぶことと、安全性を確認して作業を進めることは既に知つてゐる。海江田はそんなことを知りにわざわざ福島まで出かけたのか。そもそも海江田は法人税の5%の引き下げ騒ぎのときに「さらなる引き下げが必要」と語り、シンガポールを例に「日本が引き下げたと言つてはみたものの、向ふは十七%で少し気恥かしい思ひになつた。」と語つた。こういふ男が大臣でゐることに菅は気恥かしくないのか。
産経新聞によると
海江田万里経済産業相、蓮舫節電啓発担当相、鹿野道彦農林水産相が9日、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の視察のため、相次いで福島県入りした。3人の福島入りは震災後初めて。ただ、各現場の滞在時間が十数分間という駆け足の“大名視察”に、県民からは「今さら何のための視察なんだ」「ただのパフォーマンスだ」と厳しい声が聞かれた。
 海江田氏は福島市の県災害対策本部で佐藤雄平知事と会談。原発事故に関し、「県民に支援が十分届かず申し訳ない」と謝罪したが、佐藤知事は「今や霞が関は遠い存在だ。政府は県民の心が分からないのか」と政府への不信感を隠せない様子。


四月十一日(月)「元秘書のビラ問題」
上の根性が卑しいと下まで卑しくなる例がもう一つある。菅直人の元秘書で今は民主党の東京都武蔵野市議をしてゐる男である。計画停電で自分の選挙地盤が実施対象外となるや「要請が実現しました」とビラを配布した。問題が発覚し非難が殺到した。ところが本人は離党しただけで「議員として被災地の支援にかかわりたい」と市議に居座るつもりらしい。産経新聞を引用すると
不肖の弟子に、首相「遺憾」 パフォーマンスは師匠譲り? 元秘書のビラ問題

 菅直人首相は29日の参院予算委員会で、元秘書の東京都武蔵野市議が、東京電力の計画停電から同市が除外されたことを自らの手柄とするビラを配っていた問題について問われ、遺憾の意を表明した。
 礒崎陽輔氏(自民)「国民のこんな困難までも政治的パフォーマンスに利用するやつがいる。けしからんと思わないか」
 首相「該当する議員は私のかつての秘書だ。大変、その言動は遺憾だ」


国難なのに民主党内の非主流派を排除し、それでゐて自民党と連立しようとする。外国人献金問題で辞任寸前だつたのに震災を政治的パフォーマンスに利用する。こんな男の言動も遺憾ではないか。(完)

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