百六十、菅直人は第二の村山富市だ

平成二十三年
三月二十六日(土)「二人の共通点」
戦後最悪の首相は村山富市である。まず社会党を解党した。二番目に長期自民党政権を終らせた細川政権と羽田政権を短期に終らせて自民党連立政権に戻した。三番目に阪神大震災で無能ぶりをさらけ出し犠牲者を倍増させた。
菅直人が同じ事をしてゐる。

三月二十七日(日)「一番目は民主党解党」
まず進めてゐるのが民主党解党である。今の民主党は完全に分裂状態である。社会党の村山は無能が原因だつたが、菅は意地汚ないのが原因である。そして鳩山政権のときの改革を自民党時代に戻そうとしてゐる。

三月二十八日(月)「二番目は対自民長期政権」
細川内閣誕生前の最大の課題は自民党長期政権の交代だつた。そしてつひに細川内閣が誕生し羽田内閣に引き継いだ。
ところが村山は羽田政権を六四日で終らせて自民党主体政権に戻し、自分は首相になつた。村山はもともと国会議員を続けたいがために社会党中間派のふりをしてきただけだつた。だから首相になれると判るや喜んで自民党の提案に乗つた。

菅直人も同じである。将来首相になりたいとばかり与党攻撃のふりをしてきた。だから首相になつたとたんに拝米新自由主義派(前原枝野派)と組み官僚と財界の言ひなりになり自民党と連立を組もうとさへした。

三月二十八日(月)「三番目は被害倍増」
福島民友新聞といふ地方紙がある。二八日に次の記事が載つた。

初動ミスで深刻化か 首相の現地視察を優先

 放射性物質放出が続く東京電力福島第1原発をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院が東日本大震災当日から炉心溶融という「最悪のシナリオ」を予測していながら、菅直人首相が強く望んだ現地視察で、即座に取るべき一連の措置に遅れが生じた可能性が出てきた。


また、首相から直接説明を受けた福島瑞穂社民党党首によると、首相に同行した班目春樹委員長はヘリで原発を視察した際、「水素爆発は起きない」と説明したという。政府関係者は「この発言で班目氏は首相の信頼を失った」と明かす。
 性急な現地視察という間違った「政治主導」が目の前に迫る危機への対応を滞らせ、首相と補佐役の専門家の間に、あってはならない不信感が横たわる。危機管理システムが人的要因で機能せず、「有事なのに平時の対応をしている」(与党関係者)のが、今の政権中枢の実態ではないのか。
 これは、もはや人災と言っていい。世界が注視する「フクシマの核危機」を乗り越えられるのか。首相に猛省を促したい。また関係省庁間の情報共有強化、主要担当機関の指導力向上、国民との相互信頼に基づく戦略的コミュニケーションの実践を首相に求めたい。

そのとおりだ。非常時なのに平時の対応をした。ここが村山と同じである。福島原発は菅直人の人災である。

三月三十日(水)「菅直人と東電の一方を逮捕しろ」
菅直人は地震の翌日に福島原発を視察した。そのことが昨日の国会で大問題になつた。まず視察は勉強のためだと同行した原子力安全委員会の班目春樹委員長に述べた。ベントといふ炉内の蒸気を抜く作業は首相が帰つたあとの午前九時になつた。しかし枝野は記者会見で排気を午前一時半に行ふよう首相と決定し指示を出したといふ。
炉内の蒸気には放射能が含まれるから首相が退去するまで待つたのが実情ではないのか。原発以外に津波の救出活動も急務だ。なぜ菅は官邸にゐないのか。パフオーマンスで人気を回復しようとするからこういふことになる。官邸が主張するように指示に従わなかつた東電が悪いのか視察で排気を妨害した菅が悪いのか。少なくとも一方は業務上過失傷害で逮捕すべきだ。十五日の読売新聞は次のように伝へる。

首相官邸の危機対応のほころびは、地震から一夜明けた12日午後、福島第一原子力発電所1号機で起きた水素爆発であらわになった。
放射能漏れの可能性があり国民への一刻も早い周知が求められたにもかかわらず、菅首相は東京電力の技術者を官邸に呼びつけると、どなりちらしたという。
 「これから記者会見なのに、これじゃあ説明出来ないじゃないか!」


被災者の救助と原発の緊急対策よりも記者会見が気になる。この異常な感覚には驚く。だから視察をしたり記者会見に手話通訳をつけたり蓮舫と辻元を任命したりパフオーマンスばかりである。記事は続く。

 テレビは、骨組みだけになった1号機の建屋から煙が勢いよく噴き出す生々しい光景を映し出していた。爆発が起きたことは明らかだった。だが、東電の説明に納得がいかない首相は、爆発直後の午後4時に設定していた記者会見の延期を宣言。自らの言葉での説明にこだわる首相への遠慮からか、午後5時45分から記者会見した枝野官房長官は「何らかの爆発的事象があった」と述べるだけで詳しい説明は避け、「首相ご自身が専門家の話を聞きながら(対応を)やっている」と語った。

 結局、首相が記者団の前に姿を現したのは、爆発から約5時間がたった午後8時半。(中略)「首相が東電の技術者をことあるごとに官邸に呼びつけてどなるので、現場対応の邪魔になっている」。政府関係者は嘆いた。首相は避難所視察も希望したが、「迷惑をかける。時期尚早だ」と枝野長官が止めた。

三月三十一日(木)「記者会見のための視察」
地震の翌日の記者会見を思ひ出してみよう。これから福島原発をヘリコプターで視察します、と格好をつけた。勉強と記者会見のための視察が東電の作業を妨害し、もう一つの急務である津波の救助活動も放置した。

菅に次いで大手マスコミも悪い。政権交代と企業の交代は自由主義経済の要諦である。その政権交代を無にしようとしたのが菅だし、退場すべきが退場しないのが大手マスコミである。菅の記者会見は大手マスコミにも責任がある。記者会見自体を批判しないからだ。
早速読売新聞に偏向記事が載つた。
自民にくすぶる大連立論、谷垣氏は閣外協力姿勢

自民党の谷垣総裁は30日、菅首相(民主党代表)を首相官邸に訪ね、東日本巨大地震を受けて被災3県に国費で「思いやり基金」を創設することなどを提言した。
 首相も積極的に検討する姿勢を示した。谷垣氏はあくまで閣外からの協力の立場を貫く考えだが、自民党内では「大連立」の検討を求める声も上がっており、構想はくすぶり続けている。

嘘の記事を書いてはいけない。自民党内に大連立論がくすぶる訳がない。既得権にしがみついた読売新聞が大連立を望んだだけだ。

四月一日(金)「優先順位」
大手新聞記者には卑劣な人間が多い。昨日は福島原発の一号機から四号機までの廃炉の記事が載つた。記者会見で政府や東電が述べたのではなく質問してそう発言させたのであろう。
常識で考へれば一号機から四号機は廃炉以外にない。だからそんなことを今議論する時間はない。今は津波の避難者への救助物質や健康対策と原発の緊急対策で手一杯だ。廃炉するかどうかは次に考へればよい。優先順位がでたらめなところは菅直人にそつくりだ。
五号機と六号機は廃炉にする必要はない。私は原子力発電そのものに反対である。しかし作つてしまつたものを廃炉にするのは更に反対である。日本だけが原発を作らないことにも反対である。世界が歩調を合わせるべきだ。民営会社の施設と雖も広くは国民の財産である。何でも廃炉すればよいといふものではない。
特に許しがたいのは原発の避難者が五号炉と六号炉を廃炉しろと怒りの声を上げたといふ記事である。避難者から見れば不自由な避難生活のなかで原発に怒る人もいよう。一方で原発関連やその下請けの仕事をしてゐる人もいよう。そういふ人は別の心配がある。一部の人だけを取り上げてはいけない。
原発周辺の自治体は交付金などでこれまでいい思ひをして来た。昨年の夏に私は東海村を見学してきた。東海駅のコンコースに併設された立派な待合所と駅前広場の立派な彫刻、駅近くの大きな公共施設も見た。交付金と万一のときの安全と平衡が取れるかそのとき考へた。

四月三日(日)「菅直人は国民の敵だ」
菅直人がまた視察をした。今度は岩手県陸前高田市である。
読売新聞によると避難所では冷ややかな受け止め方が目立った。
朝日新聞によると現地の混乱や官邸の判断に空白が生まれることを懸念する声もあって、首相視察への賛否は政権内でも割れている。
河北新報によると首相と直接話した陸前高田市米崎町の漁業佐藤一男さん(45)は「声を掛けてもらってうれしかったが、リーダーシップが感じられる言葉を聞けず残念だった。正直、何をしに来たか分からない」と語った。

菅直人はどこまで根性が卑しいのか。首相のすべきは組織の活性化と全体の調整である。役所はともすれば官僚主義になる。それを使用者側として監督すべきである。そして時間があるのだつたら各自治体に電話を掛け事情を聞いてもよい。各現場や避難所に電話で聞いてもよい。しかしそれでは記事にならない。だから出かけたのであろう。
視察のどこが悪いかといふと、一箇所で判断することだ。だから全体の最適化にはならない。電話なら「各自治体」「各現場」と全体を見ることができる。
菅直人といふ男の人生はこれまでほとんど仕事をしたことがない。マスコミに目立つだけで国会議員になり生きてきた。菅をちやほやした大手マスコミも悪い。
菅と大手マスコミとその他既得権勢力の一掃が震災が一段落してからすべきであろう。しかしその前に問題が山積みされてゐる。どさくさに紛れて連立を画策したり復興で儲けようとする人間を出さないことも重要である。(完)


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