千五百五十七(和歌) 自称リベラル派の欺瞞
辛丑(2021)
四月十ニ日(月)
文春オンラインに
朝日新聞記者があえて「味方叩き」をする意味 憲法9条、皇室、原発…“自称リベラル派”の欺瞞を明かした『さよなら朝日』
と云ふ記事が載った。朝日新聞記者石川智也さんの著書の紹介である。
(前略)日本社会の大きな論点について、朝日新聞は「リベラル」の立場から主張を打ち出してきた。しかし、リベラル勢力の主張には、何の矛盾や欺瞞もないのだろうか。リベラル派の主張について、現役朝日記者が内部から検証した書籍が『さよなら朝日』(柏書房)だ。
同書は、朝日新聞への広告掲載依頼時に、「社内外において掲載リスクが高い」という理由で、通常料金の3.3倍の出稿料を提示されたことも波紋を広げている。
四月十三日(火)
本文に入ると
米国のリベラルの関心が、勤労者や階層間の社会経済的な平等から、被差別集団やLGBTQなどのマイノリティあるいはジェンダーの平等に移っていくのとパラレルに、(中略)日本のリベラルはそれをほとんど無批判に受け入れている。
リベラルの問題点はまさにこれだ。日本国内に困ることがあるから改善しようとするのではなく、アメリカの猿真似でやってゐる。その目的は(1)アメリカ化、(2)社会破壊、の二つだ。
多文化主義(multiculturalism)という言葉は人によって指し示す内容や用法が多様で、(中略)外部に対しては「差異への権利」を打ち出し混淆を嫌い、人権や寛容など普遍的な価値をも相対化していくゲットーのような集団が「共存」する社会になりかねない。
石川さんの指摘のとほりだ。別の角度から見ると、日本はアメリカから真の独立を果たしてゐないから、アメリカ文化へのバイアスがある。それなのに多文化主義と云ふと、アメリカ化を促進するだけになる。
船橋洋一の駄論である英語公用語は、その後、船橋が朝日新聞主筆になったことで明らかなやうに、朝日新聞からまだ払拭されてはゐない。
四月十四日(水)
かつての革新勢力、そして現在のリベラル勢力は平和主義を唱え、日本はそれをまもってきたという神話を内外に喧伝してきた。その裏で、九条を裏切る現実、すなわち自衛隊の存在と、日本国は明らかに(国際法上も)戦争に参加してきたという現実からひたすら目を背け、あるいはその事実を忘れ、日米安保のコストを自衛隊と沖縄に押しつけてきた。自覚的な偽善と無意識の偽善のどちらの罪が重いか、である。
かつての革新勢力は、米ソ冷戦で、ソ連側に立つ勢力と、中立と云ふ名の反米(日米安保条約破棄)に立つ勢力の共通項として九条を掲げた。だから九条には、意義があった。
それなのに米ソ冷戦が終結するや、憲法それ自体を一字一句変へてはいけないと云ふ、人類史上最悪の戦争犯罪人、トルーマンとマッカーサ崇拝者が現れた。
憲法は 全面改正 するべきだ 出来ないならば 前文の 削除だけでも 独立の為
(反歌)
九条は 安保条約 破棄と云ふ 大目標を 背負ふ条文
私自身は、安保条約破棄論者ではない。時間を掛けて、日米納得の上で少しづつ縮小すべきだ。(終)
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