千四百三十八 自宅と職場近隣の話題(老人介護は役者だ、教員も役者だ、或る日のパソコン保守作業)
庚子(仏歴2563/64年、西暦2020、ヒジュラ歴1441/42年)
六月五日(金)
我が家では、食事のときに大皿からの直箸を禁止して一年半が過ぎた。母は自分でおかずを取るのが難しいので、食事前にあちこちのお皿から取っておく。
ところが昨日、母が冷蔵庫を開けて中を見てゐるので、開けっ放しだと中が温まってしまふよと注意すると、箸を手に持つ。中から直接食べたのだった。直箸は駄目だと云ってるじゃないか、と箸を受け取り、バキっと折って流しに放り投げた。
母はぼけたので、普通に云ったのでは駄目だ。わざと大袈裟にした。云はば演技である。映画の撮影所風に直すと
助監督「それでは本番、行きます」
カチッ(拍子木の音)
息子役の役者「お母さん!、駄目だよ。(以下略)」
と箸を折って投げる。
助監督「カット」
撮影を確認の後
監督「お疲れさまでした。今日の撮影はこれで終了です」
出演者それぞれ「お疲れ様」「お疲れ」等々解散
ちなみにテレビはVTRを使ふので、映画フィルムみたいに拍子木は使はない。音声の位置を合はせる必要がないためだ。

六月七日(日)
今から三十年前に、教師は五者でなくてはいけない、と云ふ表現が現れた。五者とは学者、役者、芸者、医者、易者ださうだ。私は芸者を省いて四者がいいと思ふ。芸者の機能は役者に含まれる。
老人介護も同じだ。特に、役者が重要だ。役者は演技を過剰にし過ぎてもいけない。あと、冷静でなくてはいけない。
コンピュータのプログラムを作る途中で、動かしたら止まらないことがある。どこが悪いか調べるためには、デバッガと云ふソフトウェアを動かして、その中でプログラムを実行する。これだと途中で止めることができるし、1行づつ実行することもできる。役者とは、デバッガの上で行動することでもある。

六月九日(火)
Lixilがビバホームを売却するとニュースがあった。ビバホームの武蔵浦和店は既に閉店が決まってゐる。もう少し売却が早ければ、閉店はなかったかも知れない。惜しかった。
それより埼玉新都心にあるビバホームは、同じフロアに本社があることを知った。なるほどそれでは、武蔵浦和店の閉店はやむを得ないのかと考へ直した。

六月十二日(金)
役者と云へば、四年前まで都立特別支援学校でコンピュータを教へたときに、財務省事務次官が午後視察に来ると云ふ。私の授業は午前なので会ふことはないと思ったが、私の授業を見に来られた方がゐた。
普通の視察は、集団で入室し、数分見て退室する。あのときは一人で来て、15分ほど見学された。しかし私のほうを敵意のある目付きで見る。事務次官だと確信した。
私は、そんな感想を顔に出さず、その方にもにこやかに、生徒に対してはいつもと変はらない授業をした。私のほうが役者が上だと思った。給料や権限は、財務事務次官のほうがはるかに上だ。しかし、にこやかに演技し、しかも演技はいつもと変はらない。
役者とは、私心を顔に出さず、いつもと同じ演技をする。演技なんて云ふと、腹の内を見せない二枚舌だと思ふ人もゐよう。さうではなく、相手のために私心を出さない。
財務次官が変な顔つきでこっちを見たのは「名せえゆかりの増税小僧、菅之助たあ俺がことだ」(歌舞伎「シロアリ五人男」へ)のせりふが原因かな。

六月十三日(土)
昨日の職場でのパソコン保守作業を記すと
「前半の部」
(1)パソコンを廃棄のため、物理フォーマットするノートPCが一台出た。ところがハードディスクパスワードを入力すると、エラーになる。何回やっても駄目だ。
(2)三回失敗する毎にロックが掛かり、電源を入れ直さないといけない。前の使用者に入れてもらっても駄目だ。ところが前の使用者が何回か試すと、無事に入力できた。Windowsが起動し、更新プログラム実行中の為、再起動になった。
(3)再起動時にハードディスクパスワードを入れると、またエラーになる。何回やっても駄目だ。前の使用者にやってもらっても駄目だ。
(4)キーボードの特定キーの接触が悪いのではないか。私の外付けキーボードを外さうと考へて居ると、同じことを考へる人がゐた。前の使用者が自席で外付けキーボードを接続し入れると、無事先へ進んだ。
(5)キーボードごと借りて、私の席でパスワードを入力するとやはり駄目だ。前の使用者に入力してもらっても駄目だ。ここまで1時間近くやってみて、キーボードが原因ではないことが判っただけが、唯一の成果だった。

「後半の部」
(6)ここで信濃のコロンボみたいに推理を始めた。私が入力するとすべて失敗する。前の使用者が入力するとたまに成功する。私が入力したあと、前の入力者が入力しても失敗する。たまの成功は、自席に戻ったときだ。
(7)ここでNumLockキーを疑った。例へばパスワードが書類上は「Seireki-2020」のときに「Seireki-」と設定されたのではないか。試しに「Seireki-」と入力すると成功した。ここで前の使用者は事務職だから、責任はない。電源投入直後のNumLockと、OSのNumLockはそれぞれ別だと知ってゐる人は、技術職でも全員ではない。ノートPCのNumLockランプの輝度が低いことも原因だ。
(8)このノートPCを廃棄する理由は、電源投入時の起動が極めて遅い。廃棄のため物理フォーマットをしようとして判ったことは、パーティションが10くらいある。Windows10は四つだから、複数のWindowsをインストールしたのかも知れない。もちろん事務職は無関係だ。その前に使用した技術者が設定したのだらう。
(9)パーティションを全て削除し、新たにパーティションを作り、Windows10をインストールしたところ、起動の遅さも治った。と云ふことで、このパソコンは廃棄することなく、再び使用されることになった。

「保守作業終了後の部」
(10)今回の保守作業で、社内のすべてのパソコンは、Windows7が使用中止になったときに、メモリを8GBに上げたことが判った。ところが、私のパソコンは4GBのままだ。これまでも、ブラウザと、メール、Excel、Wordを起動したときのメモリ使用率が85%くらいで、ぎりぎりだとは思ってきた。
(11)機器管理担当に云ふと、2GBなら2つ余ってゐると云ふ。6GBで我慢しようと増設してみると、増設した分が無視される。念のため、もう一つの余ってゐるメモリを見ると、2GBではなく4GBだ。と云ふことで、私のパソコンも8GBに追ひついた。
(12)なぜ私のパソコンだけ4GBのまま放置されたのだらうか。再び信濃のコロンボみたいに推理してみた。結果は、Windows7からWindows10にバージョンを上げたパソコンは8GBに増設した。しかしその前からWindows10のパソコンは、対象から外れた。
今回のメモリ増設の後に、メモリ使用率を見ると40%だ。これなら安心だ。メモリは多いからといって速くなる訳ではない。おそらく95%までは速度が落ちない。それを超えるとスワップが始まって、速度が極度に落ちる。(終)

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