一四二、岡田、前原は平成のヒトラーだ(10月二十九日以降)
前原は外相失格である(10月二十八日まで)
平成二十二年
十月二十五日(月)「経済に大損害」
前原外相の一連の言動で中国に輸出している企業や日本の観光業界や中国に進出した企業は大変な迷惑を受けた。前原はこの損害をどう償うのか。
それだけではない。前原のやり方はアメリカの威を借りるものだから、日本はますますアメリカの属領化が進む。属領化すると社会が崩壊する。国内の社会問題の九割は属領化が原因といっても過言ではない。
十月二十六日(火)「アジアの価値観」
まず尖閣問題が一件落着し、日中双方の輸出企業、進出企業、観光業界、商店は安堵した。ところが前原と枝野は中国批判を続けた。しかも前原は中国を「ヒステリック」と評した。これについて中国外務省の報道局長が「一国の外相がこのような発言をしたことに驚いた」と述べた。
その後仙谷官房長官が「前原氏は中国との戦略的互恵関係を充実するのは一朝一夕にできず、双方の血のにじむ努力が必要だという観点で話している」と語った。これは筋違いも甚だしい。尖閣諸島を円満に収めるためにこれまでに多くの関係者が、血がにじむかどうかは別にして大変な努力をしてきた。それを前原が一朝一夕で壊した。前原がいつ血のにじむ努力をしたというのか。それでも「大きな気持ちで」と問題が解決しようとする姿勢は見えた。
ところが、日米が対中戦略強化を外相会談で合意していたというニュースが昨日突然流れた。アメリカの威を借りて中国に当たろうという戦略である。なぜ昨日突然流れたのか。そして昨日は、日本とインドが「戦略的グローバル・パートナーシップ」を今後十年間で強化するという共同声明に調印した。インドは国外である。誰もが知っている。当然のことだが国際関係となる。こんな判りきったことを「グローバル・パートナーシップ」という醜い表現で言う必要があるのか。この言葉の裏には、アメリカの影響下で日本とインドが提携しようと言う意図がある。
中国は大国だから周辺国が心配するのは当然である。だったら日本はベトナムやインドとアジアの価値観で連携すべきだ。そうすれば中国もアジアの価値観でそれに接近する。アジアの価値観を持てば大国意識はなくなる。アメリカの価値観で日印が「グローバル・パートナーシップ」を結んだら中国も大国意識を持つ。アジアに欧米の価値観を持ち込んではならない。それでは欧米の帝国主義を持ち込んだ戦前の日本と変わらない。
十月二十七日(水)「外交は信用が第一」
仙谷だけではなく前原も「戦略的互恵関係を築くとの大局に立ち、両国が関係改善に向けて努力することが大事だ」と発言し、中国の報道局長も「留意している」と評価し、二度目の落着(二件落着?)となった。
ところがその二日後に今度はインドと反中同盟である。グローバルという言葉にアメリカの影も見える。インドを親米に引っ張ろうという意図も見える。仙谷の「血のにじむ努力」や前原の「戦略的互恵関係」は嘘だった。外交は信用が第一である。嘘をつく人は外相になるべきではない。
十月二十八日(木)「どこまで堕ちる民主党」
民主党が企業、団体献金の受け入れを再開するという。幹事長岡田の差し金である。だいたい岡田は外相から幹事長になるとき、後任に前原をごり押しした。拝米反中の前原を外相にすれば騒ぎが起きることはわかっていたはずだ。
十月二十九日(金)「外交は信用が第一」
企業献金再開は悪質過ぎるので、「前原は外相失格である」を「岡田、前原は平成のヒトラーだ」に変更した。岡田や前原には政治理念がない。自民党政権の悪習を次々に破壊した鳩山代表、小沢幹事長のときとは大違いである。
政治理念がないのに政治家にはなりたい。だから最も流行している自由と民主主義を叫ぶしかない。幕府があるわけでも、薩長政権があるわけでも、軍部があるわけでもない。それなのにこの二つを叫ぶことは有害である。まず平衡が取れないから新自由主義になる。拝米になる。脱アジアになる。
政治理念がないのに権力欲が異常に強い人物にヒトラーがいる。当時のドイツは社会主義が流行していた。ほとんどの政党がカトリック政党を含めて社会主義を主張していた。一方でドイツを除く他の欧米列強は広大な植民地を持っていた。第一次大戦で失った領土の失地回復の声は強かった。ヒトラーは当時の流行二つを組み合わせて政権獲得を狙った。
だから平成において自由と民主主義を組み合わせて叫ぶ連中は極めて有害である。ヒトラーと同じで理念がない。権力欲だけが異常に高い。ここで自由民主党は党名に自由と民主が入っているが問題はない。自由党と民主党が合併しただけである。
十月三十日(土)「首脳会談中止」
日中の首脳会談が中止になった。前原の一連の言動を考えれば当然であろう。前原はズデーテン割譲後のヒトラーにそっくりである。チェコスロバキア領のズデーテンには多くのドイツ人が住んでいた。ヒトラーは割譲を要求し、イギリスとフランスはこれ以上の領土要求を行わないことを約束させてこれを認めた。しかしヒトラーはその後も次々に要求を出し第二次世界大戦になった。
約束をしたら守らなくてはならない。前原のやっていることはヒトラーと同じである。今回の騒ぎでアメリカが本音を出した。船長を日本側が拘束しているときには、日本の領土問題にアメリカ軍は関与しないことを発表した。
日本が船長を解放し軍事衝突の危険がなくなるや、尖閣諸島には安保条約が及ぶと発言を始めた。火事のときには出動しない。火事がないときには口先だけで住民の安全のため日夜がんばっています、と繰りかえす。こんな消防署があったら税金の無駄遣いだと大変な非難を浴びよう。こんな消防署がアメリカ軍の実態である。アメリカが日本の領土問題で血を流す訳がない。
日本のすべきは拝米を深化させることではない。自衛隊を増強することでもない。ASEANやインドとアジアの視点で連携し中国もこれに加入させることである。
十一月二日(火)「ロシア大統領が人類史上初訪問」
ロシアの大統領が人類史上初めて国後島を訪問した。旧ソ連時代にも帝政ロシア時代にもなかったことだ。原因は前原にある。ロシア外務省は昨年十月一九日、当時国交相兼沖縄北方担当相の前原がその二日前に北方領土を視察し、北方領土がロシアに「不法占拠」されていると言い続けると述べたことに対し、鳩山政権の対話路線と矛盾すると批判声明を出した。
前原は外相には向かない。それだけではない。閣僚に向かない。どの大臣をやってもアメリカに媚びて中国やロシアに強く出るだけである。信頼関係がまったくない。
信頼関係を築かず軍事力だけに頼るところはヒトラーそっくりである。ヒトラーは自国の軍事力に頼った。前原はアメリカの軍事力に頼る。しかしアメリカは日本の領土問題には係わらないと明言している。
十一月三日(水)「アメリカの信託統治領」
読売新聞に次の記事が載った。
「米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、日本外交の基軸である日米関係はぎくしゃくしたままだ。」
その結果、中国と尖閣諸島問題が起こり、ロシアの大統領国後島訪問問題が起きるのだという。この記事は偏向も甚だしい。沖縄の基地問題を解決するのは当然だし、美しい海を埋め立ててはいけないのも当然である。それなのにアメリカが譲歩しない。だからぎくしゃくした。悪いのはアメリカであり日本ではない。
読者は、アメリカのいいなりにならないといけないと洗脳されてしまう。それでは独立国とは言えない。アメリカの信託統治領である。
十一月四日(木)「信託統治領はどこが悪いか」
なぜアメリカの信託統治領ではいけないのだろうか。それは外国の圧力は長い年月をかけて築いた平衡状態を壊すからである。
その代表は文化破壊である。文化破壊はこれまでに何回も取り上げたから今回は別の例を紹介しよう。アメリカの黒船が浦賀に現れ、平衡が壊れ徳川幕府が崩壊した。そして明治政府は軍国主義になり敗戦した。中国もアヘン戦争や列強の侵略で清国が崩壊しその後は軍閥による混乱が続いた。
ヒトラーのやったことは、他国侵略のほかにはユダヤ人迫害とドイツ文字の廃止が思い浮かぶ。ユダヤ人を迫害した結果、アインシュタインなど優秀な人が国外に流出しただけではない。戦後は欧米の後押しでイスラエルが現れ未だにアラブ諸国と平衡に達していない。ドイツ文字を廃止した結果、筆記体ではchやschを一文字に書けなくなり発音と相違を生じた。
前原のしていることは平衡状態の破壊に他ならない。やはりヒトラーにそっくりである。
(國の獨立と社會主義と民主主義、その十六)へ
(國の獨立と社會主義と民主主義、その十八)へ
メニューへ戻る
前へ
次へ