百三十九、日本における社会主義への道・平成版(四)第二部、本文

十一月二一日(日)「序にかえて」
かつて日本社会党という政党があった。昭和二十年に結成し左右分裂後に急成長したことがあった。全国に社共系の知事、市長を誕生させたこともあった。しかし三分の一の壁を越えられず平成八年に消滅した。
大塩平八郎という儒学者がいた。幕末に貧民救済のため米を放出することを奉行所に主張。しかし受け入れられず乱を起こして失敗した。日本社会党に欠けていたのは大塩平八郎の精神である。奇しくも昭和三九年の「日本における社会主義への道、第二部」では鈴木茂三郎が冒頭に「序にかえて」と題して大塩平八郎を引用している。その後社会党は大塩を引用することさえできなくなった。社会党が消滅した原因はここにある。
今の日本は拝米を売り物にした売国奴どもがうごめいている。それだけではない。アメリカは地球を温暖化で亡ぼそうとしている。残された時間は少ない。

十一月二二日(月)「社会主義とは」
社会主義とは社会を考えることである。社会派と言い換えてもよい。もう一方の資本主義とはカネがカネを儲ける仕組みである。資本主義が誕生したときは事業のために出資しそれで社会をよくしようとする意図もあったかも知れない。しかしすぐに堕落し帝国主義となって世界を支配した。今は新自由主義となってカネを吸い上げようとしている。
それだけではない。グローバリズムとなって非欧米地域の文化を破壊し、温暖化となって地球を破壊しようとしている。もはや一時の猶予も許されない。地球は滅亡寸前である。

十一月二三日(火)「部分的な社会主義を許すな」
敗戦直後の財閥解体により、主要産業の多くが社会主義化された。しかし部分的な社会主義は資本主義よりたちが悪い。資本主義の最大の欠点は失業者である。部分的な社会主義も失業者に責任を持たない。勤め先が倒産すると資本主義より悪くなる。再就職先がない。だから部分的な社会主義では経営層の責任が労働者に転嫁されている。
このようになった責任は労働組合にある。企業別組合を禁止し同一労働同一賃金を確立すべきだ。そして企業別ではない本当の労組は失業対策にも目を向けることだろう。これだけでも日本の社会主義は達成できる。

十一月二四日(水)「個人経営と中小企業の育成」
財閥が解体されたとはいえ、主要産業が本当に社会主義化されたわけではない。根底に利益追求が横たわる。だから下請けや派遣労働という邪悪なやり方が発生する。大企業は日本全体から見ると害悪が大きい。特に経済全体を考えずに輸出するから、農業を含む伝統産業が打撃を受ける。
戦後にビール会社が分割されたように一定規模以上の大企業は分割すべきだ。個人経営や中小企業にできることは個人や中小にまかせる。終身雇用が難しい新規事業は労組の労働者供給か官庁の失業対策から供給する。日本の貿易黒字の元凶とも言うべき長時間残業は禁止する。これくらいの政策はすぐにでも取るべきだ。取れない理由は既得権守旧勢力にある。

十一月二五日(木)「プロレタリア独裁」
プロレタリア独裁は語感が悪いから、プロレタリア政権または国民政権と呼ぶべきだ。しかしその思想は正しい。
本当の民主主義は自分の利害を離れて社会のために決めなくてはいけない。しかし議会は利害取引の場と化している。既得権を持たない、あるいは持っていても手放せる人たちをプロレタリアと呼ぶとすれば、プロレタリア独裁は正しい。まず現行の議会で過半数を確保し、次に選挙法を改定して既得権議員は立候補を禁止する。更に憲法を改定して議員は無報酬にする。これでプロレタリア政権は誕生する。
ここで企業別ではない労組が失業対策も考慮すれば社会主義は達成できている、と前回述べた内容を考察してみよう。社会党が論争を繰り返してきた改良主義との違いはどこだろうか。企業別ではない労組も堕落する。労組の構成員も堕落する。だからプロレタリア政権は必要となる。
現在の選挙を見てみよう。偏向マスコミと既得権勢力と組織票と世襲で当選が決まる。西洋の猿真似をするからこんなものを受け入れている。国民政権とは西洋式の選挙に寄らざる選挙ということになる。

十一月二六日(金)「国民意識の発動」
安保闘争は日本始まって以来存在しなかった外国軍に出て行ってもらうという正統な国民意識の発動であった。資本主義を打倒する闘いも明治維新以降に発生したカネがカネを儲ける不当な方法を不愉快に思う闘いであった。産業の発達により個人事業ではできない分野は多い。ここに社会主義の存在意義がある。
社会主義こそ真の保守であり、自由主義は守旧勢力、拝米勢力、地球破壊者に過ぎない。その行き着く先には新自由主義と文化破壊と地球滅亡がある。

十一月二七日(土)「米帝国主義は全人類、全生物の敵である」
地球温暖化の防止は人口一人当たり最も化石燃料を消費するアメリカをどうするかに掛かっている。全人類はコロンブスのアメリカ大陸上陸前の状態を基準に考えるべきだ。だからアメリカは先住民と野生生物の保護区とすべきだ。そうしないと地球は滅びる。アメリカの住民は独立時の十三州に移動すべきだ。
十一月二八日(日)「容共派の正体」
資本主義と西洋文明は制御装置の壊れた内燃機関である。だから経済を加熱させることしかできない。全人類は今こそ資本主義の限界に気付くべきだ。地球滅亡の寸前にあることに気付くべきだ。

かつて社会党は容共派と呼ばれた。米ソが対立する中で、ソ連を容認する。即ち米国に代表される西洋文明に反対する心情が根底にあった。資本主義との決別は非西洋文明たるアジアが率先しない限り、地球を救うことはできない。


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