千三百七十九 車内放送を英語の練習に使ってはいけない(同じことを繰り返すときは必要回数だけに留めよ)
己亥、西暦2019、ヒジュラ歴1440/41年、紀元2679年、仏歴2562/63年
十月二十五日(金)
京浜東北線下りの南浦和行きは、ときどき上りホームに到着する電車が設定されてゐる。朝夕のラッシュ時には無く、昼間の運転間隔の空いた時間帯だ。
ところが夕方のラッシュ時にダイヤが乱れたため、南浦和行きが上りホームに到着することになった。昼間もさうだがこのやうなときは、一つ手前の蕨駅に到着する前の車内放送で、南浦和より先に行く人は次の蕨で乗り換へると階段移動が無く便利ですと案内する。これは昭和40年代から50年間続く。今は階段の後にエスカレータやエレベータが付く。
私の乗った電車は、三つ手前の川口駅に到着するときに女性の車掌が車内放送で、南浦和より先に行く人は川口から蕨までで乗り換へると便利だと案内した。これは前過ぎる。
次の西川口駅に着くときに、再び乗り換への案内をした。今回はそのあと英語でも案内した。「お、がんばってゐるではないか」とそのときは好意的に聞いた。
その次の蕨駅に着くときに、三度目の乗り換への案内をした。しかも二度目の英語案内をした。これはくど過ぎる。仏の顔も三度までと云ふが、まづ三回放送した。だからこれだけでもイエローカードだが、更に英語の放送を二回した。これでレッドカードだ。更に、英語の放送が聞きにくい。これで没収試合だ。

十月二十六日(土)
一回目の西川口での英語案内で「ten platform」と聞こえた。南浦和駅にそんなたくさんプラットホームがあったかと一瞬思った。
二回目の蕨での英語案内で「same platform」だと判った。普通は「ten」と「same」を聞き間違へる筈がない。それほど聞きにくかった。
それは私のヒアリング力が弱いからでは、と云はれさうだが、先日聴いた講演会で、日本人とカナダ前首相が話し合ふときのことだ。同時通訳のイヤホンを付けたまま日本人の話を聞くと、会場のスピーカーと二重になるから、日本人の時は耳から外し、カナダ人のときは耳に付けた。或るときカナダ人なのに付けるのを忘れ、しかし意味は100%理解できるから、数分間付け忘れたことに気付かなかった。
発音が聴きやすいと意味も判る。発音が聞きにくいと、発音に神経を集中するから、聞き取れたとしても意味が解らない。英語が耳を素通りする。
------------------------ここから固定思想(兼、二百二十六の二)--------------------------------------
これは母国語の場合も同じだ。今から二十三年くらい前に、或るお寺にビルマ人(当時はビルマが正式名だった)の比丘が毎月瞑想指導に来るので一回だけ参加したことがあった。ところが通訳の話す日本語が半分くらいしか理解できない。
当時は上座の仏道に参加し始めた頃なので、瞑想のときにつひ日本の曹洞宗みたいに途中で目を半眼にしてしまふことがある。そのビルマ人通訳も瞑想に参加してゐたが、私の視野範囲内で居眠りをしてゐた。
とんでもない通訳だ、とはまったく思はない。日本語が不自由なのに通訳してくださった熱意に深く感謝してゐる。居眠りも疲れたのでつひ出たのであらう。スマナサーラ長老のお寺だと云ふことは、口が裂けても云へない。
日本語でも聞き取りにくい例が昨日もう一つあった。職場でSurfaceと云ふマイクロソフト製のノートパソコンが故障した。私が修理担当になり、インターネットで調べて改善策をすべて試した。それでも駄目なのでマイクロソフトに電話した。ドライバとパームの入れ替へと云ふので、ドライバは既に調べたから大丈夫だと答へた。念のため云はれたとほりの操作をして、やはり大丈夫だった。パームは初めて聞く言葉なのでファームウェアのことかと思ったが、違ふやうだ。云はれたとほりマイクロソフトのホームページからダウンロードしたが、ファームウェアのことだった。ファームウェアをパームウェアと聞き間違へることはない。しかしファームだけだとパームと聞き違ふ。

先行十月二十七日(日)
乗り換への案内の英語は、日本語の判らない外国人が、中国人も韓国人もフランス人もすべて聞くものだ。だから判り易く話さなくてはいけない。日本語は母音が優勢で、英語は子音が優勢だ。
インドヨーロッパ語族だからと言って、すべての言語で子音が優勢とは限らない。ラテン語やフランス語は母音が優勢で、ゲルマン系は子音が優勢だ。だから冗談で、子音の強い言語は野蛮だ、と云ふことがあるが、これは今言ったやうに冗談だ。野蛮か野蛮でないかは、個人でも異なるし、その国が置かれた状況でも異なる。釈尊が使ったと伝承されるパーリ語は、日本語と同じで母音が優勢だ。
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------------------------ここまで固定思想(兼、二百二十六の二)--------------------------------------
母音が優勢だと、空気圧が弱くなりがちだ。だから子音が聞き取りにくい。日本人が感じる流暢な英語と、聞き取りやすい英語は、ここで異なる。経験を積むと、流暢と聞き取りやすいが同じになるが、それは何十年も先の話だ。

先行十月二十八日(月)
一回言っただけだと判り難いことを繰り返すのはよいことだ。複数の駅で案内するのも同じだ。しかし何回繰り返したらよいかには、最適値がある。多すぎてはいけない。
最後に、JR東日本を批判する理由は、高輪ゲートウェイだ。こんな変な駅名は、聞き取りにくいし、理解しにくい。来日した外国人からも尊敬されにくい。(終)

「マスコミの横暴を許すな104」「マスコミとJR東日本の横暴を許すな106」

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