千二百五十六 アメリカと中国の、どちらが最強国になる事が望ましいか
平成三十一己亥年
一月九日(水)
アメリカと中国の、どちらが世界の最強国になる事が望ましいだらうか。結論は、米中が対立しながらも平和を保つ事がよい。
アメリカと中国を二極として、その他の国々はそれら中間に位置するのがよい。EUはアメリカ寄りの中間、AAA(アジアアフリカ中南米)は中国寄りの中間か。日本はEUとAAAの中間になるだらう。
勿論、本当は三極が安定する。しかし高望みしてはいけない。三極は将来の話だ。

一月十日(木)
アメリカは移民の国であり、特殊な国だ。地球温暖化の今となっては、移民国が許されるのかどうかも議論の対象だ。当ホームページは、移民の受け入れを停止することを主張してきた。
それなのに移民国が世界の最強国だと、地球滅亡を早める。アメリカが世界の最強国になったのは、第二次世界大戦に参戦してからだ。或いは第一次世界大戦の後だ。長い人類史を考へれば、移民国が世界の中心になってはいけない。

一月十二日(土)
もし欧米が中国とインドを対立させようとするのなら、中国とインドはそのことを自覚して戦略として友好を保たなくてはいけない。欧米が中国とインドを対立させようとしないのなら、中国とインドは自然体で友好関係を築けばよい。
インドは、仏法を中国に伝へた。そのインドでは一旦は仏法が滅びたものの、釈尊はヒンドゥーの神の一人として今でも残る。だからインドと中国は共通項がある。
マルクスの弁証法的唯物論は、産業革命や資本主義と云ふ単純唯物論に対抗するために考へられた。当時は科学が急速に発展するから、文明とその一旦を担ふ宗教は科学に取って替はると考へられた。しかし実際には、文明は消滅しなかった。そればかりか、共産主義と資本主義が世界の覇権を争った時代に、共産主義は民族、つまり個別文明を前面に立てて帝国主義に対抗した。
だから中国共産党は、個別文明の重要部分である宗教と敵対してはならず、さうすればインドと友好関係を築ける。勿論パキスタンとも友好関係を続けられる。

一月十三日(日)
単純唯物論である資本主義国は労働者が貧困、弁証法的唯物論である共産主義国は労働者が生活できる。マルクスはさう云ふ世界を予想したはずだ。
しかし資本主義国は自然資源を浪費することで、共産主義国より裕福になった。しかしこの裕福は期限付きだ。判り易い例を挙げれば、癌患者の体内には正常細胞と癌細胞がある。正常細胞は毎日一所懸命に働く。癌細胞は正常細胞が送ってくれる栄養や酸素を奪い気ままに増殖を続ける。しかし永久に増殖できる訳ではない。いつかは死に至る。
共産主義国こそ、自然資源の浪費中止を主張すべきだ。資源を消費しないなら、共産主義国のほうが豊かになる、と言ひたいがならないかも知れない。資本主義と社会主義を比べると、社会主義が有利かどうかは不明だ。それより人類が永続してきた自然経済こそ有利だ。

一月十七日(木)
中国が世界最強になると、文化大革命や天安門事件みたいなことが起きて困ると心配する人は多いだらう。しかしこれまで、欧米のほうがはるかに酷いことをしてきた。ガス室(ドイツ)、二回の原爆(アメリカ)と云ふ人類史上最悪の戦争犯罪を始め、アメリカ大陸先住民の滅亡(スペイン、ポルトガル、アメリカ合衆国)、帝国主義、地球温暖化(これは日本も加担)。
日本は日露戦争後、或いは第一次世界大戦で帝国主義の側に行ってしまったが、これも帝国主義が世界中を植民地にした結果、まだ植民地になってゐない地域が不安定になったと解釈できる。

一月十九日(土)
中国の文化大革命とそれを真似したポルポトは、唯物論の最も醜い行為である。唯物論の資本主義に反対するはずが、唯物論の本家になってしまった。
唯物論と反唯物論の違ひは、人類の長年の文化を無視する(唯物論)か、尊重するか(反唯物論)だ。米ソ冷戦時代に、ソ連は西洋列強以外を味方に取り込むため、民族解放を打ち立てた。非共産主義の孫文でさへソ連になびいた。
民族と云ふ語は、デジタル思考で文化を無理に二つに分けるものだから、本来は西洋野蛮人の考へた悪質な思想だ。とは云へ現代にあっても西洋列強の文化が優勢だから、その対策として民族独立を掲げるのは悪いことではない。
共産主義は、民族の伝統を尊重すべきだ。ベトナムはローマ字を用ゐる限り経済成長が望めないし、北朝鮮もハングルを用ゐる限り望めない。
なぜ人を殺してはいけないかとの問ひに対し、人類は文化でしか回答を出せない。僅かな例外を除いて人を殺してはいけないことは人類の文化だ。僅かな例外とは、罪人の処刑だ。戦争は例外ではなく非常事態だ。
天安門事件は、極左や強硬派ではなくても、人を殺すことへの抵抗感がないことを示した。共産主義の弁証法的唯物論は単純唯物論と対決するためにあり、文化の尊重は共産主義にとり必須であることに気付けば、共産主義政権は世界から受け入れられる。(終)

(歴史の流れの復活を、その三百三十九)へ (歴史の流れの復活を、その三百四十一)へ

メニューへ戻る 前へ 次へ