千百三十二 過去ニヒリズム批判(中国の精神日本人、歴史ニヒリズムとの関係は)
平成三十戊戌
四月二十九日(日)歴史ニヒリズムとの相違
当ホームページは最近、過去ニヒリズムと云ふ語を使ひ始めた。過去が現在まで連続することに気が付かずに、過去を否定することは現在を否定することだ。それとともに更に有害なのは、過去を否定することで、現在を美化し現在を批判対象から外してしまふ。
過去ニヒリズムと云ふ語を思ひついたのは、中国に少数の精神日本人(略して精日)と呼ばれる若者が出現した。戦前の日本軍の軍服を着て写真を取り、それをインターネットに掲載する者まで現れた。 その対策として中国の全人代常務委員会は「英雄烈士保護法案」を審議し、共産党が指定する英雄と殉難者を敬ふことを義務づける。関係者は歴史ニヒリズムを防ぐために法律が必要だとする。
中国の歴史ニヒリズムと、当ホームページの過去ニヒリズムは異なる。前者は共産主義の歴史感を持たないと云ふ意味だが、後者は過去を否定することだ。

四月三十日(月)過去ニヒリズムに陥りやすい最新例
優生保護法で避妊手術を強制された人たちが裁判を起こすニュースが最近続いた。裁判を起こす人たちは当然の権利なのだからよいことだ。問題はそれを評論する人たちだ。
当時は専門家を始め多くの人たちが優生保護法を正しいとした。我々は、当時正しいとした背景を調査すべきなのに、昔はひどかった、権力が横暴だったと結論付けてしまふ。
当時は米ソ冷戦が国内に持ち込まれ、安保反対闘争や、社会党の大躍進や、革新知事市長の誕生など、今とはけた違ひに対立してゐた。労働組合は毎年ストライキをやった。その中で続いた制度だから、昔がひどかった訳でも、権力が横暴だった訳でもない。
昔はひどかったと結論付けると、何でも現在がいいやうになってしまふ。今が悪い例として、労働者派遣法。昔は労働者供給事業を労働組合ができるだけだった。とはいへ、突然廃止したら派遣会社が困るから、少しづつ範囲を縮小して将来は廃止すべきだ。
権力が横暴だったと結論付けると、結局は社会を破壊することになる。連合は大企業が中心だからやることがない。だから自由だ民主主義だと叫び、それは社会を破壊することだ。最近はそのことに気付き、七つの絆と主張する。新しい流れとして見守りたい。

五月二日(水)過去を未来に渡す精神
中国は人口が多いから、極端な人が出る確率も高い。中国全体で精神日本人は極めて少なく、おそらく数百万人に一人くらいだらう。それに対して、日本の精神アメリカ人の比率はどのくらいだらうか。イラク戦争の後が一番高く、或いは1/4くらいはあったかも知れない。
アメリカにはアメリカの国内事情がある。そのことを考慮せず、何でもアメリカの真似をすれば国内が混乱する。それなのにマスコミは自由と民主主義しか主張しない。
そんなときに西部邁さんが反米を掲げ、かなりの支持を集めた。昭和55年頃までは社会党や共産党の主張だった。社会党と共産党の組織票を除いた部分が保守に移動した。
このころ西部さんは、天皇は神主の最高位だと発言した。私はこの発言に賛成ではなかった。明治維新以前の法皇となられた天皇とは異なるからだ。数か月前に西部さんは宗教のことを「私はあんなものは信じないが」と発言されたので、神主の最高位発言はその延長で形式的に周囲と合はせるための発言だと理解した。
自由と民主主義と、あともう一つ必要なものは何だらうか。本当は神道がその役割を果たしてくれれば一番良い。しかし神仏分離後の神道は歴史が短いし、先の戦争で失敗することは明らかだ。仏教は江戸時代の寺請制度で活性を失った。過去を引き継ぎ未来に渡す精神。これこそ三番目ではないだらうか。過去の中には仏教も神道もキリスト教を受け入れた歴史もある。これらには絆も含まれる。(完)

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