千百三十一 50Hzと60Hz(回転形周波数変換装置、混在地域)
平成三十戊戌
四月二十八日(土)JR東海の発表
綱島にJR東海の周波数変換変電所がある。先日外側を一周してみた。ここを知った理由は、一年ほど前に綱島温泉を調べたところ、JR東海が綱島周波数変換変電所の回転形3台のうち1台を静止形に替へると発表する記事を見つけた。それまで綱島に施設が存在することを知らなかった。
発表によると、綱島に回転形3台と静止形1台、西相模に回転形3台があり、綱島と西相模の回転形1台づつを静止形に交換する。これ以外にも大井と沼津に静止形が1台づつある。
以上をまとめると全部で9台のうち現在3台が静止形なので、これが5台になり半分を超える。それにしても、これまで周波数変換を回転式で行ってきたとは知らなかった。あと静止形に交換しても電力削減が2%に過ぎないことも知らなかった。50Hzの電力でモータを回転させ発電機で60Hzを作る。何となく電力が無駄になりさうだ。

四月二十八日(土)その二インターネットと実地調査
電力の専門家が綱島周波数変換変電所の外から撮った写真と解説をインターネットに掲載されてゐる。これは大変参考になった。敷地内は大きな建物と中型の建物があり、回転式は大きな建物に2台と中型の建物に1台。解説によると中型の建物に1号機と降圧と昇圧の主変圧器。大型の建物に2号機と3号機で降圧、昇圧主変圧器は建物の両側。敷地の建物から離れた南側に正方形に近い建物で静止形1台。
1992年3台目の回転形、用地狭隘のため受電設備をGIS化、2004年4台目を静止形、送電設備をGIS化、2009年沼津変電所に単相60Hzの静止形で新幹線き電系へ直接の送電。以上の説明もある。新幹線が開業した昭和39(1964)年には1号機だけだったのだらう。
銘板をガムテープで隠した写真も掲載されてゐる。
JR東海旅客株式会社
綱島周波数変換変電所

と書いてあったさうだ。私が見に行ったときは銘板そのものがなかった。1号機を静止形に交換する工事広告があるから、その後ろに隠れたかも知れないし撤去したのかも知れない。工事広告には会社名と名古屋市の本社所在地が書いてあるから、頭隠して尻隠さずみたいだが、横浜市の条例で工事広告を掲載しなくてはいけないから、これは仕方がない。
私は建物名を書かないことに反対ではない。埼玉県内で建物名が無いものがあり、しかし市役所の道路地図に「日本銀行」と書いてあるものを見たことがあるし、或る駅の近くに建物名の無いものはGoogle地図に或る地方銀行事務センターとある。必要のない情報は公開しないほうが犯罪を誘発しなくて済む。しかしインターネットで調べれば判るやうにはすべきだ。そこまで秘密にすると、悪い世の中になりかねない。

四月二十八日(土)その三混合地域
50Hzと60Hzの境界は、富士川から糸魚川だ。例外として混合地域が長野県にある。長野県は中部電力で60Hzだが、松本市の上高地附近と安曇野市の飛騨山脈の部分。面積では松本市の1/4、安曇野市の1/8くらいで連続する。本来は安曇村など別の村だったが今は合併された。あと飯山市の1/4、野沢温泉村の6割、栄村の1/4の地域が連続する。栄村は反対側も1/4あるから合計すると村の半分が50Hzだ。中部電力は地名と地図を明示してあり親切だ。
それに対して東北電力と東京電力は不親切だ。群馬県、新潟県にも混在地域があることを今回始めて知った。新潟県は東北電力だが、佐渡市全域、妙高市・糸魚川市の各一部は60Hzだ。このことは東北電力が公表しないから民間会社のホームページで判った。自社の製品が動かないと大変だから、民間会社ではきちんと公開する。
群馬県も東京電力が公表しないから安中市・甘楽郡南牧村・吾妻郡の各一部が60Hzであることを知った。尤もこれについては南牧山村ぐらし支援協議会のホームページに
東京電力の50Hzです。長野県境をまたぐマサカ(南牧村間坂、長野県佐久市田口の馬坂集落)も50Hzです。噂話レベルで50Hzと60Hzが混在していると言われますが、嘘です。(中略)(県境をまたいだ長野県は全般的に中部電力60Hz)

とある。噂が流れたりそれを否定しなければならないのは、東京電力がきちんと情報を公開しないからだ。

四月二十八日(土)その四佐久間、新信濃、東清水
日本列島には佐久間周波数変換所、新信濃変電所、東清水変電所の三か所に静止型周波数変換装置がある。これにより東京電力と中部電力の間で電力の融通ができる。
しかし面倒だ。手間を省くために日本中を統一できるとよい。統一するとすれば西日本の60Hzだ。首都圏は大きくなり過ぎたから、これくらいの不便は受け入れるべきだ。あと60Hzのほうが、交流の特性がよいと思ふ。ところが新たな問題が見つかった。世界ではアジアとヨーロッパは50Hz、アメリカは60Hz。世界地図の多くは50Hz地域だ。やはり統一は無理だ。

四月二十九日(日)回転形
今回周波数変換に興味を持ったのは回転形の話だったからだ。昭和30年くらいまで路面電車の直流600Vを作るのに、変電所で交流のモータが直流の発電機を回して整流した。後に水銀整流器が現れ、さらに遅れて半導体の整流器が現れ現在に至る。
周波数変換は、静止形だと交流50Hzを直流に変へ、それを交流60Hzに変へるから二重手間になる。それなら回転式で一度に変換したほうがよかった。しかし近年はパワー半導体の進歩が著しい。とはいへ、負荷の変動に対処するため4台は回転形のまま残すさうだ。民間の方のホームページによると、150%2時間、200%1分の過負荷に対応できるらしい。(完)

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