千百二十(その百九) 安倍のウソつきなら幾らでも証拠がある
平成三十戊戌
四月十二日(木)
モリカケ騒動のうち加計学園について「首相案件」と書かれた愛媛県の文書が出てきた。お朋だちが防衛相だったときの日報問題も再燃した。国会では次のやりとりがあった。朝日新聞のWebによると希望の党の玉木雄一郎さんが
「私、残念です。日本の総理がウソをついているかもしれないと思って質問するのは。でも、そういう疑念を持たざるを得ないのが現状だ」と指摘し、証人喚問を持ち出した。

これに対し安倍は
問われてもいないのに、自ら「ウソつきというなら証拠を示してもらわないといけない。わきまえていただきたい」

証拠なら幾らでもある。まづこれまで野党が証人喚問を求めるのに自民党側が拒否することがずいぶんあった。ウソではないなら関係者を証人に呼べばよい。なぜ拒否するのか。安倍は、国会の決めることだと云ふだらう。しかし安倍は自民党の総裁だ。野党は安倍に自民党総裁辞任を要求したほうがいい。政党交付金を受け取るのだから、行政府の長を兼ねる人間に対してはこれくらい云ったほうがよい。
愛媛県の文書について、朝日新聞Webは
中村時広知事が10日に会見し、職員が書いたメモだと認めた。だが政府側は「愛媛県が作成した文書で、政府としてコメントすることは控える」と存否の確認をしておらず、立場が食い違っている。

これだけでも、どちらが嘘をついたかは明らかだ。

四月十三日(金)
これまでも指摘してきたが安倍最大の嘘は1月20日問題だ。内容を再掲すると
「お友達濡れ手に粟商売推進相」が獣医学部新設を知ったと答弁したのが昨年1月20日。加計学園理事長なる男が農水相を訪問したのが一昨年8月23日、偏向発言ばかりの地方創生相を訪問したのが同9月7日、文科相は同9月6日。普通の民間人が三人の大臣に会へるはずがない。お推相(お友達濡れ手に粟商売推進相の略)が三人に手配したはずだ(嘘つき放題堂へ)。
実際に手配したのはお推相の政務秘書官だとしよう。三人の大臣と面会したのだから、お推相はその事実を知らなくてはいけない。一人の大臣で完結するなら、その大臣の責任範疇だ。三人の大臣が関はるなら、お推相が責任者だ。判り易い例を挙げれば、戦前に陸軍相と海軍相と大蔵相が関係したら、それは首相が責任者だ。もし知ったのが翌年1月20日だとしたら、重大な責任放棄、職務怠慢だ。

四月十四日(土)
愛媛県の文書にその名が登場する当時の首相秘書官柳瀬さんは「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」と否定した。この表現は便利だ。記憶の中身まで外部から確認できないからだ。
今から四十五年前のロッキード事件では、国会に証人喚問された国際興業社主小佐野賢治さんが「記憶にございません」を連発して顰蹙をかった。四十五年後に同じ手を使ふとは能が無さ過ぎる。
自民党の小泉進次郎さんは「『記憶の限りでは』という注釈を付けるのなら、『会ってない』と言い切ることはできない」と批判する。愛媛県知事の中村時広さんも「『記憶の限り』という言葉はちょっと気になる。」と語った。
しかも愛媛県の文書と類似したものが農水省でもみつかった。これで当時の首相秘書官は万事休すになった。日経新聞によると
柳瀬氏の発言をめぐっては、自民党の石破茂元幹事長も都内の会合で「行政は公平公正でなければならない。お友達だから便宜を図ってもらえるなら、ばからしくて行政に信頼なんて置かない」と苦言を呈した。岸田文雄政調会長は記者会見で「愛媛県側の発言と柳瀬氏の発言が食い違っている」と指摘し「真実を明らかにするのは当事者でなければできない」と述べた。


四月十五日(日)
プレジデントオンラインに沙鴎一歩さんが安倍首相が「逃げの答弁」をつづける事情と題して優れた記事を書かれたので紹介したい。
柳瀬氏が「首相案件」と述べたとする愛媛県の文書をもとに野党が質問すると、安倍首相は次のような答弁を何度も繰り返した。
「愛媛県が作成した文書なので政府としてコメントできない」
「柳瀬元首相秘書官の発言を信頼している」
実に苦しい逃げの答弁である。国民の前で真相をはっきりさせるためには、県の文書かどうかは関係ないだろう。なぜ明確に「愛媛県の文書はうそだ。首相案件などもない」と答えられないのか。

そのとほりだ。答へられない理由は、愛媛県の文書が本当だからだ。次に一読では客観的にみえる読売の巧みな社説と章の見出しがあり
(前略)書いているのは、論じることに手慣れた論説委員たちである。読者はだまされてはならない。(中略)「首相は予算委で、『プロセスに問題はない。私から指示を受けた人は一人もいない』と改めて強調した。国家戦略特区の指定から開学に至るまでの一連の行政手続きで、首相の直接的な関わりを示す事実は出ていない」
本当にプロセスに問題はないのか。安倍首相は指示をしていないのか。直接的関わりはないのか。すべて安倍首相周辺や霞が関官僚の「忖度」とでもいいたいのか。
読売社説を読むと、安倍首相のこれまでの答弁に、うそのかけらもないことになる。 決してそんなことはないだろう。「愛媛県の文書はうそだ。首相案件などもない」と明言できないところにその答えがある。

これもそのとほりだ。
(中略)さらに読売社説はこう指摘していく。
「四国は獣医学部の空白地で、公務員獣医師らの確保が長年の課題だった。(以下略)」
これまでの安倍首相の答弁と同じ主張である。読売は安倍政権擁護の論陣を張っているが、なかでも加計学園の問題になると、その擁護が一段と強くなる。 「加計学園が新設した岡山理科大獣医学部獣医学科には、募集人員を大幅に上回る出願があった。1期生を迎えて今月開学しており、影響が出ないよう配慮したい」
この書きぶりもどうだろうか。若い新入生の学生たちを人質にとるような書き方である。1期生と加計学園問題をいっしょに論じるようでは情けない。

せっかく入学したのだから一期生が卒業するまでは獣医学科が存続してほしい。しかし読売新聞なのか良心売り醜聞だったかの偏向文章を読むと、特区は廃止し一期生は転校するか他学科に移動。あとは加計学園と政権関係者に損害賠償をしてほしい、と言ひたくなる。ここで落としどころがある。一期生は全員が四国に就職する。そのためにも四国限定獣医免許を早く作る必要がある。一期生は特区と学科の設立経緯を知りながら入学したのだから、まさか加計学園や政権関係者に損害賠償を求めたりはしないだらう。
さて、読売の文章に気になるところがある。「獣医学部獣医学科には、募集人員を大幅に上回る出願があった」の部分だ。獣医学部の他の学科の出願状況も知りたいものだ。

四月十五日(日)その二
安倍が嘘をついたかどうかを調べるよい方法がある。すべてのマスコミは輿論調査のときに「安倍首相は嘘をついたと思ひますか」の質問項目を入れてほしい。国民の声に従はうではないか。(完)

前、(その百八)へ 次、(その百十)へ

メニューへ戻る 前へ 次へ