千五十三(その六十六) 続、中途半端は犬も食はない(実物政治屋、「お友達濡れ手に粟商売推進相」の場合)
平成二十九丁酉年
十一月二十四日(金)
前回の「中途半端は犬も食はない」は安倍ナカマロと云ふ架空の政治屋を扱った。今回は「お友達濡れ手に粟商売推進相」と云ふ実物の政治屋を扱ひたい。まづ最初は、各省庁の幹部人事は官邸が決めるとのは、実に中途半端だ。
アメリカみたいに、幹部は大統領と共にやってくる人事がまづある。かつての日本みたいに、人事は各省庁が行ひ大臣、副大臣、政務官が首相と共にやってくる方法もある。ところが今の日本は、前者と後者の中間で、実に中途半端だ。こんなことをやれば各省庁は「お友達濡れ手に粟商売推進相」の顔色を伺ひながら忖度を繰り返すことになる。

十一月二十五日(土)
「お友達濡れ手に粟商売推進相」は、獣医学部新設を知ったのが今年1月20日だと答弁した。この嘘も実に中途半端だ。加計学園理事長なる男が農水相を訪問したのが昨年8月23日、偏向発言ばかりの地方創生相を訪問したのが同9月7日、文科相は同9月6日。まづ普通の民間人が三人の大臣に会へるはずがない。お推相(お友達濡れ手に粟商売推進相の略)が三人に手配したはずだ(嘘つき放題堂へ)。
実際に手配したのはお推相の政務秘書官だとしよう。三人の大臣と面会したのだから、お推相はその事実を知らなくてはいけない。一人の大臣で完結するなら、その大臣の責任範疇だ。三人の大臣が関はるなら、お推相が責任者だ。判り易い例を挙げれば、戦前に陸軍相と海軍相と大蔵相が関係したら、それは首相が責任者だ。もし知ったのが今年1月20日だとしたら、重大な責任放棄、職務怠慢だ。
常識で考へて理事長なる男は安倍ゴルフに何回も参加したのだから、お推相が知らないはずはない。知ってゐても知らなくても辞任に値する。中途半端な嘘をつくから、かう云ふことになる。

十一月二十六日(日)
この件は悪質さが余りにもひどいので、もう一つ例を挙げたい。同じく戦前の話で、北支事変(当時名)は上海に飛び火し、蒋介石軍が日本海軍の陸戦隊を攻撃した。そして外務大臣、海軍大臣、陸軍大臣が協議した。それが仮に前年の九月だとして、しかし首相は国会で、三人が協議したことを知ったのは翌年の一月二十日だと答弁したとする。
もしさうなら重大な責任放棄、職務怠慢だ。或いは一月二十日が嘘だとすると、これも重大だ。どちらにせよ退陣は避けられない。

なぜ例に戦前ばかり採り上げるかと云へば、官邸が官庁の人事権を握ると、各官庁は独立性を失ふ。そんな状況で三人の大臣を論じても意味がない。また官邸が官庁の人事権を握る前は、米ソ冷戦が国内に持ち込まれ自民と革新の対立が続いた時代と、それが終結した後はその間に累積した堕落が続いた時代だった。これも特殊な状況下なので例とするには不適切だ。(完)

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