千百二十(その百十) 麻生太郎は大臣失格だ
平成三十戊戌
四月十六日(月)煮え切らない麻生の態度
麻生太郎は副総理兼財務大臣を失格だ。財務省事務次官のセクハラ記事が週刊誌に載った。それなのに麻生は「長い間の実績を踏まえれば、あの一点をもって能力に欠けるという判断をしているわけではない」とでたらめな対応をした。
その後、まづいとおもったのか「事実だとするなら、それはセクハラという意味ではアウトだ」と述べたが、これはずいぶんぬるま湯の対応だ。まづ麻生は財務大臣だ。「事実だとするなら」では駄目だ。事実かどうか調査すべきだ。
次に「セクハラという意味ではアウトだ」は意味不明だ。何の意味だとセーフなのか。麻生に欠けるのは、セクハラを許さないと云ふ公共心だ。
麻生がここまで批判されるのは、偏に安倍を援護するからだ。猫を被って再び政権が転がり込むのを待ってゐるとしか思へない。
このままでは麻生の政治生命は絶たれる。それを避けるには、安倍批判を行ひ、特区廃止を明言すべきだ。

四月十七日(火)二重に悪質
事務次官が女性記者への発言を否定し、しかも訴訟準備中だと云ふ。これで、麻生と事務次官は二重に悪質になった。まづ訴訟準備中でマスコミを脅さうとした。訴訟準備中とは、つまりはインターネットで財務省の近くに法律事務所があるか検索するだけでも準備中だ。ここ二十年で増えたのが、裁判を起こしマスコミにも大々的に発表しておいて、あとになってこっそり訴訟を取り下げたり、敗訴にだんまりを決め込むやり方だ。週刊誌の記事が適正かどうかは、判決が出たあとで議論すべきで、訴訟準備中では話にならない。
次に麻生の意味不明な発言が、これでやっと判った。つまり「事実だとするなら、それはセクハラという意味ではアウトだ」と意味不明なことを言っておいて、あとになって事務次官が訴訟準備中だと発表して、世間をあっと云はせるつもりだった。これは事務次官も同罪で、今まで記者の度重なる質問に、それは発表のときに、としか答へなかった。
週刊誌の発表から事務次官の発表までの、意図的に作られた時間差の間の野党やマスコミの発言は、それまでに発表された内容から判断したものだから、発表後に多少の差異を生じても、それは今まで逐一発表しなかった麻生と事務次官が悪い。

さて、今回は録音された音声まで既に出てしまった。処分は免れない。過去に、何かの事件で世間を騒がせてゐる最中に、警察署の署長が飲み屋のボトルに町奉行と書いてゐることまで発覚し、信用失墜行為として処分されたことがあった。記事と録音を併せれば、厳重注意ごときで済むはずが無い。

四月十八日(水)信用失墜の基準
ここで、何もないときに署長が町奉行と書き、マスコミを騒がせる事件が起きたときに町奉行を違ふ名前に変へたのなら、一つの事項を除いては咎めるべきではない。一つの事項とは役職を特権意識にしてはいけないことだ。
判り易く説明すると、市民や一般の署員が奉行所職員と書いたなら、これは問題ない。しかし市民や一般の署員は書くことを躊躇する町奉行を署長なら使へさうだ。そして実際に使ったなら、役職を特権意識にしたといへる。
とはいへ、平時ならささいなことだ。口頭で注意すれば済む。しかし何かの事件で国民の目が警察に厳しいときにそのまま放置したら、これは信用失墜行為だ。

今回は財務省への国民の目が厳しいときに、事務次官の肉声録音が出てきた。明らかに信用失墜行為だし、もし録音が出てきたのは事務次官の責任ではないとするなら、少なくとも役職の更迭はすべきだ。
ここで、立場により信用失墜の基準が異なることを、もう一つ例を挙げたい。江戸時代も事情は同じだった。町民が江戸城のお堀端に向かってあくびをしても、咎められない。無役の旗本があくびをしたら、口頭で注意をされるだらう。老中や勘定奉行所与力がやったら即刻罷免だし、場合によっては切腹ものだ。

四月十八日(水)その二マスコミを賞賛
財務省の訴訟準備の発言に、マスコミはひるまなかった。被害を受けた女性記者が名乗り出る訳がない、風俗店や仲間うちの発言でもあの発言はセクハラ、と批判が止まない。マスコミは役所の脅しに屈せず、社会のために批判を続けてほしい。
マスコミと云へば産経新聞のホームページに安倍晋三首相、岸田文雄氏と会談 色濃くにじむ「禅譲」路線と題する記事が載った。岸田さんは禅譲をねらってはいけない。裏取引なくきちんと立候補すべきだ。思へば自民党の総裁選は、変な裏取引で禅譲するから政治が変になった。裏取引で首相になっても長くはない。ここはきちんと裏取引なしで立候補すべきだ。

四月十九日(木)事務次官辞任
マスコミは更にひるまなかった。セクハラ被害を受けたのはテレ朝の記者だったことを発表した。そして事務次官は辞任した。これで麻生さんの辞任も避けられない。安倍を批判するか道連れにして辞任すれば、麻生さんの評価が下がることはない。単に辞任するだけだと、評判は回復不可能なくらい下がってしまふ。(完)

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