千百 労働組合は、退職と引き換への解決金を目指してはいけない
平成三十戊戌
二月二十五日(日)
各種学校専門学校の教員や職員の労働組合が、運輸業の解雇事件で労働争議に突入した。しかし短期で解決した。不本意ではあったが本人も解決金の退職を希望したとのことで、それは仕方のないことだ。この労働組合は、過去に雇用側の対応があまりに悪く、準学校法人を廃校に追ひ込んだから、決して解決金目当ての解決はしない。さう信じてきたので、私も本人の意思を尊重したい。
解決金が支払はれた場合は、その10%程度をカンパとして組合に払ふ。今から三十年くらい前の総評が解散する前は、全国一般傘下の零細組合は財政が厳しいし、その程度をカンパするのは当然との意識が本人にもあった。
ところがどんな組織でも時間の経過とともに堕落する。解決金カンパで一回味を占めると、それを当てにして労働組合を運営するやうになる。カンパも15%、17%と値上げしたところもある。総評が健在なときはその一員としての自覚がまだあった。選挙で社会党を応援することで、総資本対総労働としての意識もあった。総評が解散して二十五年。労働組合は意識を二十五年分リセットするべきだ。

二月二十六日(月)
以上は東京の一部悪徳組合の話だ。京都で行はれた全国の交流会で、講師から菓子折り組合員の話があった。争議が終ったあとで菓子折りを持ってきて脱退する。これだと組合は赤字になってしまふ。この話を聞いたときに、東京以外はまだまともなのだと思った。
もし組合員が加入しなければもっと赤字になった。それを考へれば、今まで組合費を払ってくれた上に、菓子折りまで持参してくれた。感謝すべきだ。

二月二十七日(火)
私が個人加盟労組に加入したときは丁度、総評の解散が決まったときだった。大企業の企業別労組の腐敗はひどく、隠しベースアップがマスコミで問題になってゐた。不思議と中小労組はそのことを問題にしなかった。
この個人加盟労組は総評全国一般の傘下で、そのことが労組の腐敗を防ぐ原動力となった。弱小労組なので資金繰りが苦しく、解決金が入ったらカンパをお願いしたいと云ふので快諾した。
当時はまだ、弱小の共産主義グループに資金を提供したいと云ふ人もゐて、私はその人たちの気持ちは判る。今さういふ人がゐたら判らないだらう。
資本主義が昔からの生活を破壊するから、共産主義を応援する。当時の共産主義は土の香りがした。当時は共産主義こそ、今の保守思想だった。

三月三日(土)
私が以前所属した労組で、資金繰りが厳しく専従の給料を歩合制にしたことがあった。その話を聞いて私は即座に「それはよくないですよ」と意見し、副委員長が「あれはxx(元書記長兼会計。その前にこの副委員長が会計が不明朗だと騒いだため脱退状態)が導入した」と云ふので、違ふのではないかとは思ったが一応納得し、その後、資金繰りが好転して事なきを得たことがあった。
歩合制なんかを導入したら、職場復帰を希望する組合員まで金銭解決で退職させてしまふ。歩合制は無くなったが、解決金カンパを予算案に組み入れるから、似た事情はその後もあった。
解決金カンパは、組合の経済事情でやむを得ずお願ひしたものだ。経済事情が悪くならないやう、連合、全労連、全労協の地方組織は自身が相談窓口を持つか、地域労組に金銭支援をすべきだ。
組合員も解決したら脱退するのではなく、長く在籍できるやうに解決金の一部を前払い組合費として預かる方法はある。次に来る相談者のために活動してほしい。活動しない場合は組合費を割り増ししてもよい。(完)

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